2020.04.20
封鎖二八日目
Lockdown Day 28 晴れ
キットカットやスニッカーズは日本でもすっかり定着してまっけど、なんといっても英国は「カドバリーズ」発祥の地(なぜか日本ではアメリカ訛りで「キャドべリーズ」と呼ぶのよね。不思議)。小さなコーナーショップでもレジ横にはその手のチョコレート菓子がわんさと積んであります。味やフレーバーというより材料の順列組み合わせと食感の違いで、それぞれにファンがついているみたい。
ちいこい頃のノスタルジーも手伝って、うちのツレはこれが大好き。糖尿患う前はいちんちに4本5本喰うていた。帰宅したら何を食べたかヤツのポッケをチェックすんのが儂の趣味でおました。なにしろ人とシェアするのが嫌で、お役所勤め時代は勤務中のおやつとして購入する際「ひとくちちょーだい」を避けるため同僚用に1本こーたはったくらい。
もちろん今日日はだいぶ摂取量減ってたんですが、それがこのコロナ禍で復活してまいよりました。しかもさほど興味なかった
山で遭難した人が崖にぶら下がったまま携帯してたチョコをちびちび齧って3日間やったか1週間やったか生き延びたゆう話を昔はよう聞きました。いま思えば菓子屋のステマやったかしれませんが、ものすご印象に残ってます。たぶん儂までもがチョコ駄菓子信者に堕ちてもたんは、このエピソードが与えてくれる安心感に縋ってるしやろな。
ロックダウンとは、すなわちクリフハンガー。崖に引っかかって、かろうじて生きてまんのや。 思ってるより救急隊員は早よ来てくれるかしらん。この身を繋ぎ留めてるロープも丈夫かしれん。実は爪先着くくらい低い崖の可能性かてある。そやけど宙ぶらりんで、どーしょーもないことに変わりはない。運を天に任せるしかないときチョコレートは象徴的な希望の味がする。
自己隔離の前はまだ桜が咲き残ってたのに、散歩をすれば英国の春真っ盛りを報せてくれるブルーベルがなんともはや満開。ポッケにはざくざくチープなチョコレート。駄菓子のご加護かどうかは存じませんが、なんとか2週間サバイバルでけた喜びが、ようやくじんわり湧いてきました。