2020.06.18
封鎖八七日目
Lockdown Day 87 晴れのち曇り。
ツレの坐骨神経痛を鑑みて延び延びになっておりました中華食材店行脚を決行。ちょっと心配だったけどふたりとも普通に行って帰ってこられました。日本食の調味料などはほとんどなくて、欲しかったものすべては手に入りませんでしたが春菊や蓮根など予想外の野菜があったりして、まあ、満足。
ただ入店しようとしたらマスクがなきゃだめ! っていわれて、
もちろんそんな決まりはないし、開き始めたほかの店はそうじゃない。店の前にもウェブサイトにもそういう注意は見当たらない。むろん公共交通機関以外は政府の着用指示もありません。たぶん本国式なんでしょうが愛想も糞もない昔の華僑ビジネススタイルで〝命令〟されるとあまり気分はよくない。 ツレも同じ気持ちだったんでしょう。帰路、ずっと儂が行きたがってる別の中華食材店探訪を許可してくれました。セントラルロンドンではないけれど往復徒歩ではキツイ距離なので片道電車を使うことになりますが、もう、ここには来たくないでしょ、と。
90年代半ばまではチャイナタウンの店でもあんな感じだったけど時代は変わったんだよね。そしてこれからもっと変わる。旧態依然ではサバイバルも大変だと思うな。中華街の『旺记(Wong Kei)』レストラン名物だった吐き捨てるようにブッキラボーな中国訛りの英語――ウィキペディアにも書かれてるくらい――は懐かしくもありましたが(笑)。
そんなわけで、なのかどうかは知らないけれど、せっかく中華食材店で買い物してきたというのに本日購入したもののなかで食卓に出たのは搾菜だけ。しかもメニューは中華だったというのに(笑)。とはいっても日本中華。家庭酢豚ですけれど。
京都の、いわゆる鳳系と呼ばれる店の中華が好きで、とりわけ透明なたれがたっぷりかかったミニマリスティックな酢豚は大好物で、長年あれを家でも再現しようと頑張ってきました。が、もう、諦めた。カモメはカモメ。儂には無理。性格的に無理。いっぱい野菜を入れたいし。とりわけ玉葱欠かせないし。だけど玉葱が加わると絶対に鳳系にならないんです。美味しさの質が変わる。味が濁っちゃうんだよね。
パリパリに揚げた豚ばら角切り、玉葱、パプリカ、ズッキーニに乾燥パイナップルという具の布陣。本当は筍も参加させたかったけど今日の店には水煮缶なかったのよね。それでも隠し味にケチャップを入れると家庭酢豚の悦びが漲ってまいります。しかし、ごはんを食べすぎてしまわないように薄味にしました。
当たり前のことですが料理には「この方法でなきゃ」というのはない。鳳系も家庭中華も両方あっていい。というかどっちもないと困ります。しかしサービス業は……と、しばし考えましたが、もしかしたらこれもいろいろでいいのかもしれません。コロナ禍をやり過ごしてそう思うようになりました。