2020.06.21
封鎖九〇日目
Lockdown Day 90 曇りときどき晴れ。
ロックダウン最後の砦、パブがいよいよ再開に向けて動き出しています。いまだにカフェやレストランも客を入れている店はほとんどありませんし、ポーチを解放していても席が撤去されていて立ち話状態だったり、少なくとも配慮された配置になっていたりだから、まだけっこう厳しいと思うんですけどね。
なにしろ英国のパブは混みます。いつもではないけれど、もちろん立地にもよるけれど、街中にあるパブはしばしば榊原郁恵が歌い出しそうにぎゅうぎゅう! 詰めのバスのなかーみたいになります。客が外にも溢れ出していて知らない人が見たら何の騒ぎかと思うでしょう。昼間からそんなところもあって、このおじさんたちは仕事がないのか? と訝しむくらい。
あとね、とりわけ地元サッカーチームのサポーターが根城にしている店は試合前後すごいことになる。『フットボール・ファクトリー』や『フーリガン』『2番目のキス』などの映画の描写を観ていただけばわかりますが、けっこう狂気じみた乱痴気。普通の人は入り込めません。日本にもそういう現象はあるんでしょうが本家は違うぞ! と断言できます。
先日も書いたようにまだ無観客試合しかやってませんので、パブが開こうものならストレス貯めた連中が煽情を吐き出そう、興奮を共有しようと試合ごとに大挙押し寄せるのが目に見えています。ニュースでズーム観戦して盛り上がってるサポーターたちの一喜一憂を見ました。その姿は微笑ましくもあり、なにもそこまでと
さすがにホーム近辺に留まって遠征はしないでしょうから、ときには死者も出る敵フーリガン同士のぶつかりあいこそないとは思いますが……いや、油断できないな。マンUとマンCとか、チェルシーとアースナル(英国で「アーセナル」ゆうたら笑われまっせ)とかのマッチならひと騒動あるかも。
ロックダウンといっても中途半端に終わった日本とは違ってこっちはずいぶん長く他人との接触を断っていた人も多いので、突然に多くの人々に直面すると、ある種のパニック障害に陥るのではないかと懸念されています。とくに心配されているのは子供たちで、環境に順応する能力が高いぶん封鎖生活に慣れていると学校再開が大きな心理的負担になるのではというレポートもあります。
この3ヶ月、食事について儂が気をつけていたのは、むろん出来合いものや冷凍食品にも頼りましたが、なるべく楽に流れないようにということでした。簡単で美味しいものなんていくらでもありますから「こんなときだから」を言い訳にしてしまうと際限がない。たとえば玉子ごはんとか意識的に避けていました。
本日ロックダウン後、初。ちょっと姑息に醤油ではなく自家製のお出汁を回してフリーズドライ醤油を振ってみました。おかずはアマゾンで買った英国製キムチ。完璧ランチです。でも、こういうのを続けてると、どっかおかしくなってきちゃう気がするんです。これもまた最後の砦と申せましょう。