第1回 カドマル建築(前編)

大阪証券取引所ビル【旧称:大阪証券ビル市場館】 
低層部の重厚な石張りと対比的に、高層棟はガラスの箱としてデザインされた
戦前のレトロ建築もこの頃になると、装飾的な要素は少なくなる。長谷部・竹腰のコンビの設計はその代表格。よくみるとささやかな波形が円柱を飾る
オリジナルの部分の外壁をよく見ると、一枚の石の大きさが非常に大きいことがわかる。現在では再現困難だ
窓の金属格子は昔の写真から推測して復元されたもの。ステンドグラスはオリジナル
前に屹然と立つのは大阪経済の立役者・五代友厚の像
1935年築
大阪市中央区北浜1-8-16
設計:長谷部竹腰建築事務所
大阪の金融センターとして栄えた北浜のシンボル的存在。交差点に面した三角の頂点に設けられた巨大な円柱は、大阪の栄枯盛衰をずっと見守ってきた。装飾の殆どない幾何学的なデザインながらも、全体に古典様式のような重厚さを漂わせるあたり、さすが実力者の長谷部鋭吉と竹腰建造の設計である。2004年に円柱部の外壁のみを保存して、高層ビルへと建て替えられた。
厳密には外壁の角を丸くしたカドマルではなく、巨大な円柱を建物に埋め込んだようなデザイン。ここが金融の中心であることを、かたちで表現している。
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