第6回 駅・空港

地下鉄御堂筋線 心斎橋駅
スリーセンターアーチと呼ばれる曲線でつくられたヴォールト天井。アーチ構造によって柱が不要になっている。
仕上げに使われているサイズの小さな天井パネルが、レトロな雰囲気を醸し出す(ただし竣工時のものではない)。
竣工時、当時はまだ珍しかったエスカレーターが2基設置された(現在のものは後に入れ替えられたもの)。
心斎橋駅のインテリアを大きく印象づけるシャンデリア照明。工業製品である蛍光灯をうまくデザインしている。竣工時は和風の行灯のようなシャンデリアだった。
地下鉄サイン。全体を見直して、優れたデザイナーに任せれば、もっと素晴らしい空間になるのに…。
マウスを乗せると説明を表示します。 クリックすると説明画面に移動します。

■地下鉄御堂筋線 心斎橋駅
【土木学会選奨土木遺産】
建設年: 1933年
所在地:大阪市中央区心斎橋筋1
設計者
原設計・監修:武田五一
実施設計:大阪市電気局臨時高速鉄道建設局
構造: 鉄骨鉄筋コンクリート造

 大阪で最初に開通した地下鉄駅は、いずれも凝ったデザインが施されたが、とりわけ力が注がれたのが心斎橋駅だった。なにしろ心斎橋といえば「心ブラ」、ヴォーリズの設計による竣工間もない大丸百貨店と、2年後に竣工が予定されていた村野藤吾設計のそごう百貨店にも直結していた。大阪で最もモダンな街の玄関口に、武田五一は得意としたヨーロッパ発のデザイン、ゼツェッション様式を採用する。
 オリジナルからは随分と改変されてしまったが、それでも柱のない天井の高いヴォールト天井と、蛍光灯を即物的にデザインしたシャンデリアの組み合わせは、大阪が誇る、いや日本が世界に誇る地下鉄駅だ。