第6回 駅・空港

南海 なんば駅
3連窓のアーチと古典様式の柱がリズミカルに並ぶ。列柱は柱頭にアカンサスの葉を戴くコリント様式
クラシックな外観の屋上に、現代的なガラスのボックスを新たに設けた。
東側の延長には、ガラスカーテンウォールに旧館のデザインを転写した新館を建設した。
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■南海ターミナルビル
【国登録有形文化財】
建設年:1932年(改修:2011年)
所在地:大阪市中央区難波5
設計者:久野節(改修:プランテック総合計画事務所)
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造他

 御堂筋の終点に、揺るがぬミナミのランドマークとして鎮座するのが大阪タカシマヤのある南海ターミナルビル。大阪の百貨店が次々と新しく建て替えられるなか、近代建築の良さを残して、再生リニューアルという手段を選択した英断にまずは拍手を送りたい。
 170mもの長大な壁面に、16本のコリント様式の柱が並ぶクラシックな外観は、1932年に久野節が設計した。細かな装飾はテラコッタという焼きものだが、当時他に例を見ないほどの量が使用されたという。
 その後増改築が重ねられて機能と動線が輻輳し、建築自体の魅力も損なわれていたため、21世紀に入って抜本的な改修と増築を行うことになった。設計を担当した建築家・大江匡率いるプランテックは、オリジナルの良さを引き立てながら、現代的な要素を加える大胆な再生計画を提案した。ミナミの待ち合わせのメッカであったかつての「ロケット広場」は、巨大なガラス屋根で覆われた大空間、なんばガレリアへと生まれ変わった。