御堂筋の終点に、揺るがぬミナミのランドマークとして鎮座するのが大阪タカシマヤのある南海ターミナルビル。大阪の百貨店が次々と新しく建て替えられるなか、近代建築の良さを残して、再生リニューアルという手段を選択した英断にまずは拍手を送りたい。
170mもの長大な壁面に、16本のコリント様式の柱が並ぶクラシックな外観は、1932年に久野節が設計した。細かな装飾はテラコッタという焼きものだが、当時他に例を見ないほどの量が使用されたという。
その後増改築が重ねられて機能と動線が輻輳し、建築自体の魅力も損なわれていたため、21世紀に入って抜本的な改修と増築を行うことになった。設計を担当した建築家・大江匡率いるプランテックは、オリジナルの良さを引き立てながら、現代的な要素を加える大胆な再生計画を提案した。ミナミの待ち合わせのメッカであったかつての「ロケット広場」は、巨大なガラス屋根で覆われた大空間、なんばガレリアへと生まれ変わった。