第1回 カドマル建築(前編)

高麗橋野村ビルディング 
最上階は後年の増築
オリジナルの最上階だけ、デザインを変えている
水平の帯には瓦が用いられていて、独特の雰囲気を醸し出す
1階は天井高が高く、上部に格子状の明かりとりが設けられている
ピカピカに磨き上げられた真鍮製の送水管。
こういった設備もレトロ建築の魅力のひとつ
安井の東洋趣味がもっともよく現れた、唐破風のような壁の装飾
正面玄関の両脇に設けられた、門松のような彫刻。竹の上に三日月が載る謎のデザイン
1927年築
大阪市中央区高麗橋2-1-2 
設計:安井武雄建築事務所
近代大阪を代表する建築家・安井武雄の作品。クラシカルな近代建築が多く集まる堺筋沿いにあって、様式や時流に倣うことを嫌った、安井の奔放なデザインセンスが異彩を放つ。大学を卒業した後、中国の大連で仕事をした影響だろうか、全体の印象はどこか東洋的。現在、1階にはカフェと和菓子店が入っている。
上にせり上がった壁のアールが、独特の造形を生みだしている。カドマル部だけ窓を密に集めているのは、角部屋から眺める景色を楽しむためだろうか。このビルが建った頃は、きっと遠くまで大阪を見渡せただろう。
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