第2回 カドマル建築(後編)

ダイビル  
外壁はタイルではなくスクラッチ煉瓦と呼ばれるもの。煉瓦からタイルへと移行する過渡期の仕上げ。建て替え復元時には、オリジナルのスクラッチ煉瓦が再利用されるという。
渡辺節は合理的な考え方の持ち主で、装飾を全面に施すのではなく、エントランスなど重要な部分に豪華な装飾を集中させ、その他の部分は非常にシンプルに仕上げた。
大阪のレトロ建築を代表する存在だったが、建て替えに際して惜しまれながら姿を消した。重要文化財の綿業会館を手がけた名建築家・渡辺節の設計による傑作で、大大阪時代のビルヂングの代表的存在だった。現在超高層ビルへの建て替えが進んでおり、低層部にその外観が復元される予定。
カドマルの頂点から見上げた姿はまさに豪華客船。敷地の制約から長さは異なるが、左右対称にデザインされている。
1925年築(現存せず)
大阪市北区中之島3-6-32 
設計:渡辺節