大阪で最初に開通した地下鉄駅は、いずれも凝ったデザインが施されたが、とりわけ力が注がれたのが心斎橋駅だった。なにしろ心斎橋といえば「心ブラ」、ヴォーリズの設計による竣工間もない大丸百貨店と、2年後に竣工が予定されていた村野藤吾設計のそごう百貨店にも直結していた。大阪で最もモダンな街の玄関口に、武田五一は得意としたヨーロッパ発のデザイン、ゼツェッション様式を採用する。
オリジナルからは随分と改変されてしまったが、それでも柱のない天井の高いヴォールト天井と、蛍光灯を即物的にデザインしたシャンデリアの組み合わせは、大阪が誇る、いや日本が世界に誇る地下鉄駅だ。