第2回 カドマル建築(後編)

大阪ガスビル 
朝日ビルと同様、大阪ガスビルの最上階にも、モダンなガスビル食堂が設けられた。やはりレストラン部分だけガラス面が大きく取られている。
水平線を強調する黒い小庇には、かつて間接照明が仕込まれていた。夜になると純白の外壁を照らし出し、まさに白亜の殿堂のような輝きを放ったという。
北の半分は戦後の増築。安井の意思を引き継いだ佐野正一が設計した。
低層階の基壇部と上階の基準階とは、一般的にデザインを切り替えることが多い。大阪ガスビルでは黒と白の対比が徹底されていて、1・2階は黒御影石が外壁に用いられている。
道路に埋もれた1階のカドマル部に、かつてはたばこ屋があったという
1933年築
国登録有形文化財
大阪市中央区平野町4-1-2 
設計:安井武雄建築事務所
大阪を代表する建築家・安井武雄の後期の作品。自ら「自由様式」と名付けた安井のスタイルは、過去の様式や当時の流行に捕らわれない自由なデザインが特徴。大阪ガスビルもモダニズムの思想に基づきながら、カドマルだけでなく全体に丸みをもたせるなど、装飾がないのに無機質にならず、独自の解釈を加えている。
水平線を強調したカドマル。庇の先端に丸みをもたせ、外壁の白に対して黒のラインが効いている。
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