拝啓・古地図サロンから②

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

本渡章のサロン「古地図ものがたり」

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


 

☆2018年2月23日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

窓の外は、ぽかぽか陽気の御堂筋です。春は目の前。みなさま、お元気でいらしゃいますか。

本日、大阪ガスビル1階カフェfeufeuにて、第2回目の古地図サロンをひらきました。先月のように月刊「島民」での案内もなく、ほかに宣伝らしいことはしていなかったのですが、午後3時のオープンから切れ目なく来訪があり、それでいて、ゆったりとした空気が流れ、古地図を見たり、おしゃべりしたり、珈琲を飲んだり、今回はなかなかサロンらしいひとときが味わえた気がします。第1回サロンを盛り上げた「はじまりの熱気」はおさまって、これからはサロンとしての色あいがだんだんと出てくるのでしょう。サロンは12月まで続ける予定ですが、御堂筋の四季のようにいろいろな色を楽しめたらいいなと思います。

オープン前の準備中に、「島民」編集・発行人の大迫さんが来られました。サロンのことや次の本(只今執筆中)のことなど、ちょっとお話。今日の展示の古地図もひととおりご覧になると、鞄からとりだした「島民」最新号をひと山置いて風のように去っていかれました。いつも多忙な大迫さんです。こちらのカフェにも先月から「島民」は置いてありますが、きっと、またすぐになくなるでしょう。

さて、今回も3時のオープン前後からぽつぽつと、来会の方がありました。「こちらが古地図サロンですか」とたずねてこられた女性は、中央公会堂のスーベニア・ショップでサロンの案内を見て来ました、とのこと。案内はどこにもお願いしていないので、たぶんショップの方が「島民」を見て、中之島近辺の催しとして紹介してくださったのでしょう。ありがたいことです。その女性は古地図をひととおり見たあと、展示していた本を手にとり、椅子に座って静かに読んでおられました。テーブルでは数人の方たちが、古地図をのぞきこみながら、あれやこれやとおしゃべりしておられます。

サロン・スペースはとても小さいのですが、つかず離れずの距離感で人それぞれの時間を過ごすには、ほどよい広さともいえそうで、そこまで計算していたわけではないのに、雰囲気ができあがりつつあるのは、やはり中之島、御堂筋という場所柄が大きいように思います。オープン直後の雰囲気は、そのあとも人が入れ替わりながら、終了まで変わりませんでした。

本日、公開した古地図で人気があったのは、江戸時代の京都絵図、それと明治中頃の大阪・和歌山の地図でした。江戸時代の地図は、どれもそうですが、見れば見るほど縮尺も方角もいいかげんで、見せたいものを大きく、そうでないものは小さく描かれていて、当時の人々が何を思っていたのか、いろいろ想像させられます。もうひとつの図は、明治の陸軍大演習記念という内容も興味深いですが、今は消えてしまった地名がたくさん記されていて、歴史のうつろいをまのあたりにできます。それは今まで本にくりかえし書いてきたことですが、来会の方といっしょに古地図を囲んでお話ししたり、質問に応えたりしているうちに、私ももういちど新鮮な目で古地図を見る時間が持てました。

本日の来会者は12人。男女比は2対1。初めての方が3分の1。前回も来られた方が多かったです。ナカノシマ大学の受講者や島民読者が多く、ほとんどがサロンではじめてお話する方です。リアクションは次につながるエネルギー源でもあります。なんとなく、こういう場があったらいいなという感じではじめたサロンでしたが、やっぱり、はじめてよかったです。

本日の主役となった展示の古地図の題名は、次のとおりです。

「文久改正・京都指掌図」(文久2年・1862)★
「大演習枢要地図」(明治31年・1898)
「大大阪最新地図」(大正14年・1925)
「全日本最新名物名勝地図」(昭和7年・1932)
「大大阪氏街新地図」(昭和12年・1937)
「大阪市案内図」(昭和15年・1940)
「最新大阪地図」(昭和27年・1952)
「近畿名勝遊覧・最新大阪市街地図」

 

以上8点、すべて☆〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点、1970年万博前の「大阪写真集」も展示しました。

★「京都指掌図」のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。本日のジャンケン勝率は前回に続き、ぴったり5割でした。惜しくも敗れた方、泣かないでください。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

 なお、本も4冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
(私の最新刊。これを読んだら歩きたくなる)
『大阪古地図パラダイス』本渡章
(古地図と遊ぶ本。付録が吉田初三郎の大阪府鳥瞰図)
『電車道』磯崎憲一郎
(時空の感覚を拡大する鳥瞰小説。表紙が初三郎式鳥瞰図)
『鳥たち』よしもとばなな
(生死を越えて、人は鳥の目を持てる。著者代表作になるかもしれない小説)

 

古地図サロンはどなたでも参加できます。地図が読めない、方向音痴だとおっしゃる方も大丈夫です(じつは私も方向音痴)。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、気軽にお越しください。古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

今回は、店長の松田さんがご不在で、女性スタッフのみなさんにいろいろお世話になりました。ありがとうございました。

では、次回サロン(3月23日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

                                                           敬具
平成30年2月23日
本渡章

★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第3回は3月23日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。