編集担当/中島 淳
書名/大阪キタと中之島 歴史の現場 読み歩き。
著者/松井宏員(毎日新聞大阪本社夕刊編集長)
体裁/四六判ソフトカバー本文288ページ
定価/1,980円(本体1,800円+税) ISBN978-4-903993-46-1
発売/2022年6月13日(月)
毎日新聞大阪本社夕刊編集長の松井宏員(まつい・ひろかず)さんの新刊、『大阪キタと中之島 歴史の現場 読み歩き。』が2022年6月13日(月)からリアル書店・ネット書店にて一般発売となりました。
17年以上続く、毎日新聞のロングラン連載から抜粋
著者の松井さんはこの道36年のベテランで、夕刊編集長の要職にありながら紙面に連載を3本も4本も抱えるツワモノ記者でもあります。なかでも最も有名でファンが多いのが、17年前の2005年4月にはじまった「わが町にも歴史あり〜知られざる大阪」です。隔週土曜日に、毎日新聞大阪版(朝刊)に掲載されていて、2022年6月4日(土)現在、576回も続いている超ロングラン連載。「歴史」といっても教科書や大河ドラマではほとんど知られていない大阪の街と人、川と橋、大阪らしい建築物、事件や事故などの「現場」を訪ねるストーリーです。
「現場」といっても、ふだん私たちが歩いている「ターミナル」や「盛り場」「オフィス街」「川べり」などで、それが「歴史の入り口」だとはなかなか気がつかないものです。松井さんは、案内人の西俣稔さんと共に歩いて、「大阪の街は、なぜこんな『かたち』をしているのか」を現場で考え、時代時代で大阪のひとびとを救ったり元気づけたり笑わせたり泣かせたりした有名無名のヒーローやヒロインに思いを馳せます。
「私自身、別に歴史好きでもなかったが、教科書には出てこない大阪の歴史を知るにつれ、次第にのめり込んでいった。名もない先人の営みがあったからこそ、今がある。町のたたずまいは変わろうとも、時間の縦糸が現在につながっている。そんな当たり前のことに気付かされた。」(「あとがき」より)
お恥ずかしいことに、私がこの連載の存在を知ったのは、たしか2017年の夏頃でした。「新聞連載」と聞くと、「堅っ苦しくて上から目線」だと思っていた私は、記事を2〜3本拝読してそれが浅はかな思い込みだと知りました。「きのうまで知らなかったが、現場でそれを知って驚いている」という読者と同じスタンスで歩きながら、それをストレスなくすらすら読める「手練れ」の、読者フレンドリーな文章に仕上げられています。「これなら、歴史好きの小中学生から80代、90代の人まで楽しめるわ!」と引き込まれました。
本として着地するまでの、長い長い道のり
そこまではよかったのですが、数百回の連載原稿はボリュームがありすぎて、1冊の本ではぜんぜん収まらない。「どこをどう切り取って本にするか」について、著者である松井さんとの間で何度も話し合いをしました。本のたたずまいを決めるデザインも「ちょっとこの感じでは松井さんの文章のおもしろさが前に出ぇへんなぁ……」と、これまた何度もやり直しをしました。
そんなこんなの紆余曲折を経て、やっとのことで「まずは松井さんのホームグラウンドである大阪市北区界隈」を、天満/曽根崎・梅田・堂島/中之島の3ブロックで構成しよう……ということに決まり、松井さんが連載時に訪ねた場所の再取材を一緒に行いました。それが2020年夏のこと。本人にとっては15年ぶりに訪れた場所も少なからずあり、当時と変わっているところは大幅に加筆・修正してくれました。
それでいよいよ出版……となりそうなのに、長引くコロナ禍で出版時期が延びに延び、この6月13日(月)にやっと日の目を見ることになりました。厳選された60篇の原稿に書かれた「歴史の現場」は、梅田や淀屋橋、南森町などの駅から徒歩数分で行ける「いつもの」場所ばかり。そんな場所で、古代から中世〜近世〜近現代と実にバラエティに富んだ人物や事件などの歴史が顔を出します。
「身近なところなのに、何故そんな大事なことを知らなかったのだろう」
大阪で雑誌や書籍の編集を40年近くやっている私でさえそう思ったほどなので、内容のおもしろさは保証します。読み物としても十分楽しめますが、できれば地図を頼りに「歴史の現場」へと足を延ばしていただければ、あなたなりのあたらしい発見が、必ず待っているはず。大阪という街のおもしろさ、深さを知ることができます。
〈お知らせ〉
●著者の松井宏員さんが、6月14日(火)朝8時頃から朝日放送ラジオ「おはようパーソナリティ小縣裕介です」に生出演します。
●『大阪キタと中之島 歴史の現場 読み歩き。』の発刊を記念して、6月30日(木)18時半からナカノシマ大学に講師として登壇します。テーマは「天満堀川・蜆川(しじみがわ)……消えた川と橋」。場所は大阪府立中之島図書館3階多目的スペース
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https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20220630