担当/中島 淳
ナカノシマ大学誕生15周年の2024年。この2月講座には、マンガ家でイラストレーターの細川貂々(ほそかわ・てんてん)さんが登壇する。
ドラマ&映画化もされたベストセラー『ツレがうつになりまして』(幻冬舎)の作者として有名な貂々さんは、地元の宝塚市で「生きるのヘタ会?」を開催するだけでなく、神戸新聞のWEBでも展開している。
こちらのタイトルイラストを見ると気持ちのハードルが下がるし、自らの弱いところ、しんどいところを話してみる、という行為はシリアスで深刻そうに見えるけど、話すことで自分が楽になる。「あ、それ私もある」と近くの人と共感の橋がかかったりする。
この会では貂々さんは、「生きるのがヘタな人間のひとり」という立場で参加はしているが、あくまで「聞き役」に徹しているらしい。そのココロは参加者が、話すこと、他の参加者の話を聞くことを通じて自分を「研究対象」として客観的に見ることが目的だからということである。
貂々さんは自らを「ネガティブ思考クイーン」と思っていて、それが人生のいろんなところで顔を出すことがあって、ずっとうまくいかなかったという。
その彼女がマンガ家となりベストセラーを生み、この「生きるのヘタ会?」に至るまでの道のりについては、神戸新聞の中島摩子さんによるこちらのインタビュー記事がとても興味深くて面白かったので、お薦めです。
細川貂々さんの作品は『ツレうつ』だけでなく本当にたくさんあって絞るのが大変だけど、昨年にはじまった「がっこうのてんこちゃん」シリーズは必読です。
何かあるとすぐにネガティブ思考の「どうしようオバケ」が顔を出す「てんこちゃん」を含めた、10人のクラスメイトの群像劇。先生も含めてそれぞれのキャラクターが見事に立っていて、これがきっと「生きるのヘタ会?」で貂々さんが目指している、「そのメンバーの一人として、自分が無理せずいられる」感じなんだろうと思う。
1巻目は『はじめてばかりでどうしよう!』、2巻目は『きょうはおやすみします』。子ども向けの本だけど、大人も楽しめる。ささっと読めるけど、考えさせてくれる。
クラスメイト「てんいち」くんから「てんと」くんまで10人の登場人物のひとりに、「てんぱちくん」がいて、落語好きで、「すきな演目は『あたま山』」と紹介されている(1巻目)。
これは、パペット落語の第一人者、笑福亭鶴笑師匠へのリスペクトですな。師匠の「あたま山」は2月27日(火)のナカノシマ大学に、貂々さん×髙島先生のトークの後で登場します。みなさまお楽しみに!