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「天神寄席で逢いましょう」早10年。9月は玉岡かおる先生

担当/中島 淳

天満天神繁昌亭の天神寄席(7月を除く毎月25日開催)に弊社が関わるようになったのは最近だと思っていたら、もう10年も前のことだった。

まだ寒い頃だったように記憶するが、天神寄席のプロデューサーでありブッキングマネージャーであり鼎談のホストである髙島幸次先生と、当時、上方落語協会副会長を務めていた桂春之輔師匠(現・四代目桂春團治)がわざわざ弊社を訪ねてきて、天神寄席への全面協力と、その頃毎月発行していたフリーマガジン『月刊島民』に寄席の告知記事を掲載するなどを打ち合わせした。

『月刊島民』69号(2014年4月号)で天神寄席の告知がはじまった

その後、残念ながら『月刊島民』は季刊『島民』に変わり、2021年3月にはメインスポンサーの京阪電車がコロナ禍で大幅に業績が悪化したため発行を続けられず、13年の歴史にいったんピリオドを打ってしまったが、幸いなことに『島民』なき後も「天神寄席」はずっと続いている。ありがたい話である。

筆者は「天神寄席」の25日には繁昌亭の専用受付で接客させていただくことが多いが、扉を開けた入り口のところで暑い寒い過ごしやすいなどを感じながら、ちょっと華やいだ夕暮れの天満に身を置いていると、「やっぱり大阪はええな」と感じることが多い。

9月25日は彼岸も過ぎてもう少し涼しくはなっていると思うので、ぜひお越しいただきたいものである。ということで髙島先生にバトンタッチ。

脳内で、髙島先生の声と節回しが再現されるはずですので、あのリズムでお読みください。

今回のゲストは玉岡かおるさんです。作家さんがゲストのときは、たいがい近刊の小説をテーマにお招きするのですが、今回は事情があって、2021年刊行の『帆神 北前船を馳せた男・工楽松右衛門』(新潮社)がテーマです。

昨年秋には新潮文庫版も登場(定価1,045円)

なぜ3年前の小説が? と思われるかも知れませんが、実は今年の4月に、この作品に登場する高砂市の十輪寺境内に「玉岡かおる文学の碑」が建てられたのです。そこで、新田次郎文学賞、舟橋聖一文学賞の受賞に加えて、文学碑まで建立された同作について、改めてお話を伺いたくお招きした次第です。

さらに、11月16日(土)には玉岡さんもご出演される「文士劇」の公演があります。演劇は素人である文士(作家)が芝居をする文士劇は、130年の歴史を持ちますが、大阪では66年ぶりの公演となります。今回は、なにげに文士劇2024旗揚げ公演『放課後』と銘打って、サンケイホールブリーゼでの公演です。作家・玉岡かおるさんの芝居への意気込みもお聞きしたいですね。

……ということで、ここからは当日のゲスト、玉岡かおる先生のメッセージを。

こちらは、華やいだ衣装で笑みを浮かべつつ、壇上から客席の隅々までを視界に収めながら高らかに講義するあの口調を想像しながら、どうぞ(2022年11月のナカノシマ大学を思い出してしまいました)。

江戸時代、天下の台所・大坂をささえた海運の拠点、難波(なにわ)津。
北前船はここから出航し、また入港を受け入れ、日本の物流をささえたわけですが、その北前船の動力である風力を効果的に使う「帆」を発明したのが工楽松右衛門です。
江戸城中期以降の絵で帆船として描かれている船の白い帆は、すべて松右衛門の帆なんです。

でもねー、庶民にとっては海は遠く、船にまつわる落語なんてあるのかしら?
……と思っていたら、なんと今回の天神寄席では、船にまつわる落語を一挙に集めてくださいました!

題して「秋の夜長の船尽くし」

そんな落語があるなんて、と、落語好きの方々にもきっと新鮮な噺。
一挙にネタ揃えとは、こんな機会はもうないかも。
ぜひぜひお運びくださいませ。

……今週は週末から雨マークが4日間ほど灯っていますが、9月25日(火)はきっと晴れです(ホンマか)。

ナカノシマ大学から申し込むと、前売りで200円安く、当日では700円安く入れます。10年間ずっとです。どうぞよろしく♬


●天神寄席九月席のお申込はこちら→ナカノシマ大学web