
さる4/6(日)隣町珈琲で開催された『マル』(集英社インターナショナル刊)刊行記念対談での平川克美さんと青山ゆみこさんのトークイベントでは、通常はある「生配信」も「アーカイブ配信」がなかった。閉じられた空間でその場にいたものだけが本の誕生への経緯や秘話、裏話を知ることが出来た貴重な時間だった。そして「閉じた」意味は、活字のかたまりが紙に刷られて本になっていくまでの話と本の内容とは別にしておいてもよいのではないかという配慮があったと感じた。表に出しにくい葛藤の時間について語られた本の誕生前夜の話だったと思う。

今回その『マル』の著者・平川克美さんを東京からお招きしての5/23(金)のナカノシマ大学5月講座では本の内容についてぞんぶんに語ってもらえることだろう。『マル』で描かれる舞台は1950年代の工場のある東京の下町であり、まだ何者でもない若き「マル」が少年から青年へ成長、そしていわゆるリタイア世代となって戻ってきた町と仲間の話。著者自ら「自伝的青春小説」と語るように本の中には虚実入り混じっているだろう、それでもその時代にその場に立ち会ってきた「マル」にしか見ていない世界が描かれているはず、「他者に語れない」個人の人生を記録して残しておくこのとの大切さがそこにあると思う。それは全ての人々が本来持っているオリジナルのドラマでもあるのだから。大阪にも多くの町工場のある町があるだろう、むしろ今や東京より大阪の方が多いのではないかと思う、そういった町で生まれ育つことの意味や人生への影響などを新刊『マル』に絡めて語られるだろう。
そして小説的アプローチという新しい試みだった「小説家・平川克美」誕生について、書き終わってからの著者ご本人の気持ちや刊行後のまわりの反響など現在の状況も聞いてみたい。
その後は『マル』を読んだ読者や、ナカノシマ大学を受講された方やこの本を引き取って未来に残しておく作業をしていくことが『マル』への最大の敬意だと思う、私も含めて。
まずはナカノシマ大学で平川克美さんの肉声を聞いていただければ幸いです(140B青木)
【ナカノシマ大学 5月講座】
「平川克美が肉声で語る「町工場で育つ」ということ」
5月23日(金)
18:00〜19:40(開場17:30)
大阪府立中之島図書館3階 多目的スペース
2,500円(小学生以下1,500円)
お申し込み→ https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20250523
























