『濃い味、うす味、街のあじ。』
定価:1,200円+税
判型:A5判・並製
頁数:168ページ
著者:江弘毅 奈路道程(画)
発刊:2016年7月15日
江弘毅の「街的本」、いよいよ当社から発刊です。
2013年4月から始まった毎日新聞夕刊で大人気の同名連載(関西版・毎月第4火曜日に掲載)が1冊の本になりました。江弘毅の単著としては9冊目です。
うまいものを求めてあっちこっちと食べ歩くことは楽しいが、グルメ情報ばかり追い求めていると、「店に行く」という楽しみのストライクゾーンが狭くなってしまう。
街に出て店で食べたり飲んだりすることは、映画やコンサートに行くことと同様に独特の特別感がある。だから繁華街で遊ぶにしても、チェーン店系のカフェやファストフードに行くよりは、その街ならでは喫茶店やうどん屋に行く方が楽しい。
その際に味わえるのが「街のあじ」であり、それは店と街の相互嵌入、あるいは店が街と溶けあって渾然一体となっている「もの」や「こと」かなあと思っている。それらは建築やデザイン、流れる音楽や客のファッションまで、表現の変数群がぐちゃぐちゃ入り乱れているから、単純にx軸y軸で数値化したり情報化したりしにくい。したがって情報誌やガイドブックに載ったり、グルメサイトに書き込みされることが少ない。(「はじめに」より)
街や店は「取材」で何度か行って書けるようなものではなく、自分の身体と時間をかけて付き合い、「(泣き笑いも含めて)しあわせな記憶」を積み重ねてきた人間でないと、手練れの読み手(あなたのことです)はなかなか「おもしろい」「たまらん」「そやそや」とは思ってくれません。
ここに紹介しているのは大阪を中心に神戸・阪神間・京都など37の街と店ですが、いずれも「そこにしかありえないもの」ものばかり。どの街、どの店にも「かけがえのない時間」が塗りこめられていますが、その中に、著者が過ごした「時間」も含まれているところに、この本の「ほんまの味」があります。
街や店が好きで、それを星や点数で「評価」することを「アホくさい」と思っている人にこそ、手にしてほしい1冊。表紙と挿画はMeets Regionalの表紙以来20年以上コンビを組んできた奈路道程さん。現場の「体温」を感じさせるイラストとともに綴る「いい店、たまらん街」37の物語です。
◎本書に掲載されている店
大阪=バー・ウイスキー(道頓堀)/大阪一とり平本店(新梅田食道街)/マヅラ(駅前第1ビル)/ヘミングウェイ(東心斎橋)/一芳亭(難波)/いこい(中津)/伊吹珈琲店(黒門市場)/空(鶴橋)/松寿し(文の里)/てらまえ(近大前)
神戸・阪神間=丸萬(新開地)/バー・ローハイド(三宮)/グリルミヤコ(元町)/ル・パッサージュ(北野)/アモーレ・アベーラ(宝塚南口)/やすもり尼崎本店(阪神尼崎)
京都=有次(錦市場)/篠田屋(三条京阪)/先斗町百練(先斗町)