2020年3月27日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。
【今回の目次】
■新・古地図サロン(3/27)のレポートとサロンの今後
●2020年1~3月|朝日カルチャーセンター中之島「新・古地図地名物語」講座・レポート
●2020年4月以降の朝日カルチャーセンター中之島古地図講座について
●2020年3/14|住まいのミュージアム「災害古地図に学ぶもの」講座・中止
●その他(出版関連)
■古地図サロンのレポートと今後について
開催日:3/27(金)午後3~5時 大阪ガスビル1階カフェ「feufeu」にて
皆さま、お元気でいらっしゃいますか。3月のサロンはいつもどおり開催されました。新型コロナウィルスの影響でイベントの中止があいつぐ中、1時間短縮での実施です。すでに「島民」誌や読売新聞に案内が掲載されていて、来会者がいる可能性がある以上、中止は考えていませんでした。結果、リピーター及び新規の来会と合わせて、いつもと同じ10人ほどの参加者があったのは、外出自粛の声が日増しに大きくなる3月下旬時点で「どうなのか」との批判が出るかもしれませんが、今回に限っては中止しなくてよかったと思っています。
ただ、このレポートを書いている4月12日時点で、事態は形容できないほどの深刻な局面に突入しています。次回は5月22日(金)3時からの開催を予定していますが、それまでに事態が収束に向かう見込みは薄いでしょう。中止の場合は、予定日の一週間前には、この場でお知らせいたします。これまでの来会の方々とは他に連絡の手段がないのが心苦しく、開催の可能性が低くても、現時点では結論を保留といたします。
さて、気をとりなおして、3月27日のご報告です。この日のサロンは前回のテーマ「明治期の大阪の古地図」の後編となりました。明治20年以降の地図をいくつか広げて、見ていただきました。地図でありながら当時の名所の絵をふんだんに描いた明治25年(1892)発行の「大阪市明細全図・名所細密挿画付」が目立っていましたが、みなさんが長い時間見入っていたのは、明治43年(1910)の「実地踏測大阪市街全図」のほうでした。
市街の描き込み方が細かく、情報量が多いぶん、現在との違いがいろいろと見えてきて面白いのでしょう。私からの話は、天王寺で開かれた内国勧業博覧会の地図2点を中心にいたしました。この2点は今回が初公開です。
前回の宿題だった「改正新版大阪市街新図」の発行年判定については、次回以後に持ち越ししました。今回の時点では、どうも当初予想していたより後の年代に作成されたものらしい、というところまでわかりました。宿題を残しているので、もし次回が中止になったとしても、きっと復活いたします。というわけで、皆さまとまたサロンでお会いできるのを楽しみにしております。
今回のサロン古地図
《原図》
「改良大阪明細全図」明治20年(1887)
「大阪市明細全図・各名所細密挿画付」明治25年(1892)
「大阪市新地図・第五回勧業博覧会開設地」明治35年(1902)
「第五回内国勧業博覧会場明細図」明治36年(1903)
「実地踏測大阪市街全図」明治43年(1910)
★「改正新版大阪市街新図」明治初期
他に復刻版古地図約10点
※2020年後半も奇数月の第4金曜(7月のみ第3金曜)開催の予定ですが、新型コロナウィルスの状況によって中止になる場合は、この場で事前にお知らせいたします
■最近の主な古地図活動
●2020年1~1月朝日カルチャーセンター中之島
「新・古地図地名物語」講座・レポート
古地図とともに大阪の区をめぐる新シリーズの第1期は、月1回計3回の講座が終了しました。テーマは「江戸時代の大坂三郷」「東区」「南区」。最終回の「南区」は3月27日に実施。今は中央区の一部になった南区の生い立ちを昭和初期の南区図をテキストに振り返りました。
もっとも面積の小さな南区が大阪ナンバー1の商業地域に成長していく経緯は、同じく中央区を形成する東区が近代大阪誕生の牽引車だった足跡とは、大きく色合いが異なります。区の単位で見ることで、大阪の歴史を動かしてきた主役が時代ごとに交代してきたのがわかります。区が市の歴史をつくってきたのです。
●2020年4月以後の朝日カルチャーセンター中之島・古地図講座について
以下の2講座を予定しています。
(1)4月27日・5月11日の午前、阿倍野の熊野街道をテーマに教室講座と街歩き・計2回
(2)7月24日・8月28日・9月25日の午前、古地図地名物語「北区・大淀区・福島区」の教室講座・計3回
ただし、現時点でコロナ・ウィルス対策のため朝日カルチャーは4月第2週または第3週まで休講。上記の講座に参加を希望される方は、開催か中止かを事前にご確認ください。
問い合わせ/06-6222-5222または朝日カルチャーセンター中之島で検索
●2020年3月14日住まいのミュージアム
「災害古地図に学ぶもの」講座・中止
残念ながら、この講座は中止になりました。このテーマに関心をお持ちの方は、ぜひ『古地図が語る大災害』(創元社)をお読みください。
●その他(出版関連)
★『図典・大和名所図会を読む』(創元社)が刊行されました。副題は「奈良名所むかし案内」。江戸時代の観光案内『大和名所図会』の全図版180点余を掲載し、説明文を添えました。奈良の鹿は江戸時代にも鹿せんべいを食べたか、貝原益軒が訪ねた岩飛びの名所とはいったいどこか等々。詳しくは本書をご覧ください。なお、本書の紹介記事が5月初めの朝日新聞(文化面)に掲載される予定です。
★姉妹編の『図典・摂津名所図会を読む』(創元社)は6月20日刊行の予定です。副題は「大阪名所むかし案内」。『摂津名所図会』の全図版300数十点を説明文付で掲載しました。
★ナカノシマ大学での連続講座、大阪24区物語の書籍化についての新情報は、もうしばらくお待ちください。それまで、22区時代の大阪市全図をお楽しみください。