担当/中島 淳
この10月28日(土)、29日(日)に大阪市内各所で開催される「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2023」の開催に先駆けて、その立役者の2人である髙岡伸一先生と倉方俊輔先生が、10.17(火)のナカノシマ大学に登壇する。
開催まで2週間を切ったこのタイミングで登壇するのはお二方とも正直な話、「それどころやないわ」の状況だと思うが(よくぞ今年も!)、それだけに値打ちがありますので、建築好きの人はぜひご参加くださいませ。
筆者自身、大阪の近現代建築物のとてつもない集積についてはホンマに無知だった。知っているのはナカノシマ大学の会場である大阪府立中之島図書館(1904年)や大阪市中央公会堂(1918年)、綿業会館(1931年)、そして弊社の設立後に入居した(140Bというのはこの部屋番号である)旧ダイビル本館(1925年)ぐらい。
そんな状況であったが、中之島のフリーマガジン『島民』(2008〜21年)の発行を重ねるうちにこちらも建築物のことを少しずつ学習するようになるし、これまでにお付き合いのなかった人とも交流ができる。その一人が髙岡伸一先生だった。
「説明」ではなく「建築愛」を感じさせた髙岡伸一先生の街案内とテキスト
実は2011年4月から2012年3月まで、140Bは戦前から続く雑誌『大阪人』(発行・財団法人大阪市都市工学情報センター)の編集を1冊まるごと行っていて、1年間で隔月刊誌を6冊、増刊号を4冊企画・編集した。
思い出深い号の一つがこちらの2012年4月号増刊「ザ・大阪のデザイン」である。
特集の一つ「街のかたち。グッドデザインの散歩道」として、船場の近現代建築の「いちばん美味しいところ」を通る三休橋筋の、名建築の集積ぶりを髙岡先生に案内してもらった。歩きながらの案内だけでなく、北は重要文化財の適塾、大阪市立愛珠幼稚園から南は綿業会館(重文)、70年代らしい超高層ビルの大阪国際ビルまでなんと20の建築物。
それを実に楽しそうに、かつ初心者にもよく分かるように案内してくれて、かつ建築物への愛がたっぷりの原稿を書いてくれるので、いっぺんに髙岡先生のファンになった。「建築物を見るって、楽しいもんなんや」感化されていったのである。
「陽気な人たらし」倉方俊輔先生の人間力
倉方先生は、イケフェス大阪が始まった2014年以降に出会うのだが、ナカノシマ大学では、この人の醸し出す「華」と明るさで会場がどんどんほぐれていくのを、いつも目の当たりにした。
弊社の販売隊長アオキは、「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」の公式ガイドブック(同実行委員会発行)を書店でも扱ってくれるように倉方先生と一緒に書店営業をした2016年のことを「版元ドットコム」のブログに書いている。以下はそこからの抜粋。
販売初年度の2016年は実行委員会さんとの直取引ということで大阪の主要書店さんに「イケフェス大阪」とガイドブックの必要性を説明するところから始まった。(中略)倉方さんはまず、売場担当の書店員さんへの挨拶もそこそこに、いきなり「イケフェス大阪」について説明し出すのだが、倉方さんは大学の先生であり、実行委員会のメンバーであり、イケメンでもある。大方の書店員さんは、はじめ「イケフェス大阪」ってなんぞやとかなり怪訝な、しかし緊張した表情で説明を聞いているのだけど、次第に倉方さんの熱量溢れる隙のない、そして何よりも楽しそうなセールストークに心を掴まれ、「イケフェス大阪」が大阪の街中をミュージアムに見立てて公開された建築物を見て歩く企画だとわかると、途中からほとんど全員が笑顔になっていく。特に建築に興味がなくても、大阪の人でなくても、ほぼ例外なくみなさん「楽しそうですね」と声に出してもらったり、笑って話を聞いてくれる。
現在、『生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪公式ガイドブック(OPEN HOUSE OSAKA 2023)』はトーハン、日販、楽天ブックスネットワーク販売会社経由で書店に並んでいるが、初年度の2016年だけは違っていた。「直取引」というと書店さんにとっては「めんどくせえなぁ」と思う人もいる。だから相当のハードルだったと思うが、それを楽々とクリアする倉方先生、おそるべしである。
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このような無敵のコンビが登壇するイケフェス大阪2023直前の、10.17(火)ナカノシマ大学は18時から19時45分まで。おもしろくないはずがないと断言します。満席にならないうちに、こちらへお申し込みよろしく。
会場である大阪府立中之島図書館(重要文化財)2階のミュージアムショップでは、一般書店と同様に、すでにこの公式ガイドブックを販売中。ナカノシマ大学当日はもちろん、イケフェス当日の10/28(土)までずっと販売しているので、先にご購入していただくと、2日間の予定が考えられますよ。