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「モノクロの線画」の豊かさをコジマユイさんのイラストで

担当/中島 淳

いまや日本最大の建築物公開イベントとなった「生きた建築ミュージアム大阪2024(イケフェス大阪2024)=10月26日(土)・27日(日)」に先駆けて、17日(木)のナカノシマ大学で建築イラストレーター、コジマユイさんにご登壇いただくことになった。

建物自体が雑貨のような伏見ビル(中央区伏見町・1923年)

 

コジマさんの建築イラストはほとんどがモノクロの線画なのだが、温かみと面白さがあって「見る人と、建築物との距離を一気に縮める」力がある。この絵そのものが彼女の人柄というかキャラクターのなせる業かと。写真は「きれい」だし「シュッとしてる」と感じるけど、なかなかそこまでの親しみは湧かない。

作者に出会ったのは、2019年9月14日。奈良女子大学で開催された、クリエイターや大学・企業・行政関係者の集まる会合で、「近代建築とイラストの関係について」というお題でプレゼンをしていたのだ。

「何となくええ感じの絵やなぁ」と思って自己紹介し、「いっぺん作品展を観に行こう」となって、京都白川通の画材屋さんのギャラリーでその年の暮れか年明けに再会した記憶がある。コロナが大流行する直前だった。

その後、コジマさんは東京に拠点を移してもずっと創作活動を続けていた。いまや大阪・東京の建築物の作品集を自前で編集・発行し、ギャラリーや雑貨店、カフェで販売してもらっている。その行動力にはほんまに頭が下がる。

伏見ビルの東隣に立つ青山ビルの階段(同・1921年)

今回のナカノシマ大学では、大阪の名建築を描いた作品を一挙に投影するだけでなく、それぞれの建築物に対する「見どころと愛を感じるポイント」をじっくり解説してもらいます。

ナカノシマ大学がはじまったのは2009年の10月。15年の歴史の中で、初の「平成生まれの講師」が今回のコジマユイさんである。

この先は平成生まれどころか、「21世紀生まれ」の講師もどんどん登壇してくると思うので、楽しみである(別に昭和生まれを排除するわけではありません、念のため)。

あの、人なつっこい語り口で話してもらうと、近代建築なんて「こむずかしい」「かたくるしい」と今まで敬遠していた人も、その距離が一気に縮まるのでは、と思う。

会場は、チラシに描かれた明治37年(1904)竣工の重要文化財、大阪府立中之島図書館3階です。

現在、7割以上埋まっていますので、お早めにどうぞ。受講料は当日精算です。
https://nakanoshima-daigaku.net/

これに先駆けて、10月15日(火)からイケフェス大阪2024最終日の27日(日)までの間(10/21休)、これまた近代建築の名作中の名作、芝川ビル(1927年)B1のMole Galleryにて、彼女の個展「絵で楽しむ大阪市外の近代建築」が開催されるのでこちらもぜひ♬

http://mole-and-hosoicoffees.com/%e7%b5%b5%e3%81%a7%e6%a5%bd%e3%81%97%e3%82%80%e5%a4%a7%e9%98%aa%e5%b8%82%e5%a4%96%e3%81%ae%e8%bf%91%e4%bb%a3%e5%bb%ba%e7%af%89/

現役を退いたが、近くで優美な姿を見せている南海本線浜寺公園駅舎(1907年)