担当/中島 淳
11月28日(木)のナカノシマ大学は、15周年記念講座のハイライトである、釈徹宗先生(相愛大学学長・浄土真宗本願寺派如来寺住職)と河瀬裕子館長(泉大津市立図書館シープラ)が登壇する「図書館をつくり、育てる愉しさ」。
それでお二方には無謀を承知で、「今回は図書館がテーマなので、お二人が拠点とされている図書館をお互いに訪ねるという趣向はいかがでしょうか?」とお願いしたら、超多忙なスケジュールの合間を縫ってご快諾してくださった。ありがたい!
まずは釈先生と一緒に泉大津市立図書館シープラにお邪魔する。
急行停車駅である南海泉大津駅前(東側)の「アルザタウン泉大津」の4階だ。
「アルザタウン泉大津」は地下にスーパーが、1階に百均やドラッグストアが入り、2階はカフェや物販、5階には子ども英会話教室やヨガスタジオ、トランクルーム、そして6階には保育園が入る(3階は工事中)。いわば「生活密着型商業施設」で「せわしないトコかなぁ」と思っていたら、ぜんぜんそうではなかった。
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館内には結構な人数の人たちが本を読んだり自習したりしている。10代が多いので「これだけいたらウルサいのでは」だが、ほんまにそうではない。強制された訳でもなく、みな自分のペースで館内の秩序を守っている、という感じ。
「アレはだめ、コレもだめっていう張り紙がたくさんある図書館ってイヤじゃないですか」
河瀬館長はこの館のオープンにあたって、「◯◯してはいけないをなるべく言わない図書館」という画期的なコンセプトを打ち出し、そして利用者にはこう呼びかけた。「一緒に快適な空間をつくりましょう」
「うるさい」と感じさせない適度の「ざわめき」というのは逆に心地よいもので、どのコーナーに行ってもそれが感じられる。
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河瀬館長は熊本県出身。2000年に熊本県内の学校図書館での勤務で図書館員のキャリアをスタートさせた
その後、鹿本町(かもとまち)図書館・益城町(ましきまち)図書館の館長を経て、「くまもと森都心プラザ図書館」の館長に就任したが、就任早々にあの熊本地震(2016年4月14日)に見舞われる。
「熊本県内でも、書架が一番悲惨な状況になった図書館でした。夜だったからまだよかったのですが、開館中なら確実に死者かケガ人が出ていたのではないかと思いました」
その教訓をもとに、こちらの図書館では書架のそばにいる人が書架から離れられる時間をつくるために、ある「仕掛け」をするに至ったという(その内容はナカノシマ大学でご披露します)。
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「商業施設の1フロアを使った図書館」というと、ネガティブな印象を持つ人もいるかもしれないが(正直言って最初はそう思っていた)、ここは某社が業務委託先になっているような露骨な商業主義とは明確に一線を引いている。
それでいて、旧来の図書館ができなかった「館内で熱いコーヒーを飲みながら本を読んだり自習したり」とか「ある程度のおしゃべりはぜんぜんOK」とかだけでなく、「手のひらサイズの植物貸し出しサービス」なども人気だそうで、やっぱり図書館も店と一緒で「人」で決まるよなぁ……と実感した次第。
さて、この新しい図書館を回った釈先生が抱いた感想は、あえて書きませんでした……それは11月28日(木)のナカノシマ大学でたっぷりとご披露します。