講座担当/川嶋亜樹
次回のナカノシマ大学は2/18(土)。当大学、最多登壇数を誇る古地図コレクターの本渡章(ほんど・あきら)さんが、昨年春から連載してきたブログ「大阪の地名に聞いてみた」より、「梅地名vs桜地名。実はここが一番多かった!」というタイトルでお届けします。
本渡さんといえば「古地図」。その人が新たな題材に「大阪の地名」を選んだのは――
「大阪の地名を事典的ではなくキーワードで再編集することで、地域の風景を身近に感じ、新たな目で見直すきっかけにしたい」。こんな思いが出発点でした。
連載では動物、花や草木、職業、神様や仏、水……と普遍的なキーワードで「大阪の地名」を紐解いてきました。
地名というのは不思議なもので、まったく同じ名前であっても生まれや成り立ちはバラエティ豊か。いろいろな地域で育まれた名前を比較することで、街の歴史や昔の風景、地元の人たちの暮らしぶり、そして地名に込められた人びとの願いがより鮮明に浮かび上がってきました。
古地図を片手に大阪の街をあちこち歩き、大阪の歴史を誰よりも俯瞰的に見つめてきた本渡さんにとって、街の風景を何よりも記憶する「大阪の地名」に辿り着くのは、必然だったように思います。
講座ではそんな本渡さんの眼差しを通して、日本にある最も美しくて身近な地名の一つ「梅」と「桜」の花地名をテーマにお届けします。中之島図書館のある大阪市北区や、いま朝ドラで話題の東大阪の地名も取り上げます。
行かないと分からない! 地名が「息づく」場所
その東大阪へ先日、本渡さんの現地調査に同行してきました。ルートは生駒山麓に広がる瓢箪山から枚岡(ひらおか)まで。消えた「桜」地名を探すべく、住宅街の中にある小さな神社にはじまり、山の中を抜けて枚岡神社の梅林まで4時間かけてみっちり歩きました。が、これが想像以上につらかった!
実は、東大阪は筆者のホームタウン。けれど地元といっても、中小企業の密集するリアル『舞いあがれ!』な町工場の生まれなので、自然豊かなこのあたりを歩くのは、ほぼ初めて。特に枚岡神社に向かう途中、終わりなき上り坂を颯爽と進む本渡さんとは対照的に、息も絶え絶えで絶望すら感じてしまう。
でも、こんなに急勾配な坂が住宅街にあることも、消えたはずの「桜」地名が実は街のあちこちで大切にされていることも(地元の人が教えてくれました)、地図を眺めたり、本を読んだりしているだけでは分からないものです。たとえ、どんなにその地に思いを馳せたとしても。
「街のことは実際に街を歩き、街の人と会話し、体感してこそ分かることがある」
身近な場所であっても歩けば歩くほど、知れば知るほど、おもしろい発見がある。それが積み重なって愛着となり、いつもの道を歩いているだけで何だか楽しい。そんな体験をみなさんにお届けしたいと願っています。
さて、「梅」と「桜」の花地名。みなさんの住む街や生まれ育った街にもありませんか? どの地域にもある地名を比べてみることで、意外な歴史ドラマが潜んでいることに驚くはずです。
当日は、本渡さんの数ある著書の中から、『古地図でたどる 大阪24区の履歴書』『鳥瞰図!』『古地図で歩く大阪 ザ・ベスト10』『大阪古地図パラダイス』(以上、140B)を販売いたします。講座終了後にサイン会もあるのでお楽しみに!
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https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20230218