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拝啓 古地図サロンから⑭

2019年5月28日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

〈今回の目次〉
■新・古地図サロンの(5月24日)のレポートと次回予告
●4/30|森之宮ミューズモール「まちライブラリー・ブックフェスタ」レポート
●4/22・5/13|朝日カルチャーセンター中之島「天王寺七坂めぐり」レポート
●6/2|「文学・歴史ウォーク」で案内と60分トーク
●7/17|ナカノシマ大学「大阪24区物語③」予告編
●7/26・8/23・9/27|朝日カルチャーセンター中之島「古地図地名物語」予告編
●月刊誌『望星』に登場予定
●日本経済新聞に登場予定

 

■新・古地図サロンのレポート

今日はアイスコーヒーが美味しい夏日和。開始時刻早々から数人のお客さんが地図を囲んで、見入っておられました。リニューアルした古地図サロンも、去年の旧サロンでおなじみの風景が続いています。

今日のテーマは、大正時代の終わりの大大阪誕生から昭和半ばの高度成長期への区の変遷です。今はなくなった東区の地図、大淀区の地図が注目を集めました。特に、大淀区の地図は「こんな細長い地図、見たことない」というくらい特徴的なスタイルで人気に。4時からの私のトークも、地図の中身を順番に大阪の区が人口増加ととともに増えていった歴史を、あれこれ質問にも答えながら、紹介しました。

その後、みなさんで、大正14年の大大阪誕生で13区になった頃の地図や、戦前の北区地図裏面を埋め尽くした広告をネタに歓談。しかし、サロンがいちばん盛り上がったのは、裏面が「西成区・阿倍野区・浪速区・住吉区部分図」になった有名家具店のチラシです。チラシですから発行年は書いていません。そこで、内容から見て、いつ作成されたものなのか、全員で推理してもらったところ、ああでもない、こうでもないと言いあいながら、1954年、1960年、1970年の3説にしぼられ、最終的に1960年作成でほぼ間違いなしとの結論になりました。めでたしめでたし。また、次回も地図で遊びましょう

「大大阪最新地図・時事新報社編」大正14年(1925)
「地番入東区地図」昭和10年(1935)
「大大阪区勢地図・最新の北区」昭和13年(1938)
「大阪市区分地図 昭和27年(1952)
「大淀区詳細図」昭和29年(1954)
「最新大阪市街地図」昭和31年(1956)
「西成区・阿倍野区・浪速区・住吉区部分図」昭和35年(1960)推定
「大阪市詳図・舗装道路明細」昭和30年代後半
「大阪都市計画都市高速道路及び都市計画街路図」昭和39年(1964)
「大阪のすがた・大阪府地図付」昭和42年(1967)
他に復刻版の古地図など約10点をご覧いただきました。

★次回は7/26(金)午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェにて開催します。
トークは午後4時頃から。テーマは5月に続き大阪の区の変遷。
サロン参加は無料(但し、カフェで1オーダーして下さい)。途中参加・退出OKです。
★以後、年内の予定は9/20(金)、11/22(金)

【最近の主な古地図活動】
●4/30(火)森之宮ミューズモール
「まちライブラリー・ブックフェスタ」レポート

毎年恒例のブックフェスタ。今年は連休中に市内各所で多数(100以上と聞きましたが、最終はもっと増えたかも)のイベントが催されました。私の出番は、森之宮キューズモール「まちライブラリー」でのカフェ・イベントです。主催は[へんこや書房]の村上和也さん、当日は奥様とご一緒に運営していただきました。ありがとうございました。

前回の報告どおり、予約で予定席数が埋まっていたのですが、当日の参加希望者もおられて、席を追加しての開催でした。話のテーマは「森之宮大旅行」。ご当地ネタです。江戸時代~昭和の古地図を見ながら、森之宮エリアを詠んだ万葉歌から、地名の変遷、森之宮からはじまる伊勢参宮の街道の旅など、江戸時代~近代の地図を見ながらいろいろ。ドリンクでくつろぎながらの雰囲気がカフェならではでしたが、ある昭和の地図の発行年をノーヒントでズバリと当てた来場者がおられたのには、びっくり。その後も、来場の方それぞれのコメントが面白く、質問もいただき、私も楽しませてもらいました。

へんこや書房の村上さんとは、「また来年もやりましょか」ということに。他の展開もあるかも。
へんこや書房はネットの古書店です。お店のホームページはこちらから

●4/22・5/13|朝日カルチャーセンター中之島
「天王寺七坂めぐり」レポートと次回予告

教室での解説と街歩き案内の2回講座。街歩きの日は、七坂(真言坂・源聖寺坂・口縄坂・愛染坂・清水坂・天神坂・逢坂)の風景を味わいつつ、寺町の久成寺・銀山寺・法泉寺・生国魂神社・大江神社など逸話の多い寺社を訪ねました。天気が良すぎて汗をかく街歩きになりました。

坂と関係ないですが、梶井基次郎の墓のある常国寺で印象的な出来事が。過去に何度か訪れて、墓に毎回レモンが何個も置かれているのを見てきました。代表作の「檸檬」にちなんだお供えです。その日は今までで最高の20個近くのレモンが墓前にあり、そのうちの2個にサインペンで言葉が添えられていました。没後90年近く経っても根強い読者がいるんですね。梶井基次郎は若くして世を去りましたが、幸せな作者だと思います。写真は別の日に撮ったものです。レモンにどんな言葉が書かれていたかはナイショです。

次回の街歩き講座は、秋です。テーマは天保山周辺を予定しています。10~12月に実施します。申込受付開始は9月1日から。
→問い合わせは06-6222-5222、または朝日カルチャーセンター中之島で検索を

【夏の主な古地図活動・予告編】
●6/2(日)「文学・歴史ウォーク」で案内と60分トーク

200回以上も続いている講演とウォークを楽しむイベント。私の60分トークあり。更新時には終わっているかもしれませんが、いちおうご案内。6月2日(日)午前10時、地下鉄谷町線大日駅・改札口前集合。佐太天神宮、来迎寺、津嶋部神社など守口市の古社寺を訪ねます。当日参加OK。
→問い合わせは文学・歴史ウォーク事務局 080-5333-5783(担当・井尻)

●7/17|ナカノシマ大学「大阪24区物語③」予告編

3回連続講座の最終回。テーマとなるエリアは市街南部の住之江・住吉・東住吉・阿倍野・平野の5区。大阪の古層をかたちづくり、現在もディープに受け継ぐ5区の成り立ちと変遷を見渡します。区はただの行政区分ではなく、固有の歴史を持った文化圏です。

講座お申し込みの方全員に、講座当日に付録として昭和31年版・大阪市街図のオリジナル復刻地図を進呈!
→ナカノシマ大学の情報はこちらから

●7月〜9月|朝日カルチャーセンター中之島
「古地図地名物語」予告編

通算30回を数える古地図で大阪の地名と遊ぶシリーズ講座です。この夏は、次の3回を予定しています。地名はいちばん身近な足元の歴史です。古地図のビジュアルな面白さとともにお楽しみください。新規のご参加、歓迎です。
7月26日(金):桜ノ宮・淀川沿い周辺と交野市
8月23日(金):中之島西端・川口周辺と貝塚市
9月27日(金):住之江周辺と泉大津市
→ただいま申し込み受付中。問い合わせ:朝日カルチャーセンター中之島教室(06-6222-5222)
朝日カルチャーセンター中之島の情報はこちらから

●月刊誌「望星」に登場予定

東海教育研究所発行の月刊誌『望星』の取材をうけました。大阪特集号を出されるそうで、私のお題は古地図にちなんだ大阪散策コースとのことでした。インタビューの後、編集者と一緒に街を歩きました。中之島から堂島、天満、梅田をぐるっとめぐりながら話を続けたのですが、大阪らしさとは何かについて、これまでしゃべったことのない内容が多かったです。言って、すっきりしました。聴いて下さった編集のYさん、記事を予定外の2部構成でまとめていただくことになり、まことにお疲れさまでした。

『望星』大阪特集号の発売は6月15日だそうです。
「望星」誌の情報はこちらから

●日本経済新聞に登場予定

日本経済新聞の記者の取材を受けました。テーマは「大阪の区の変遷」で、私の著書『続々・大阪古地図むかし案内』を読んで、連絡してこられたそうです。ちょうど古地図サロンやナカノシマ大学で進行中のテーマなので、最新情報をプラスして記者にはお話しました。記事の掲載は7月初旬で、日は未定。詳細は次回更新時に報告できるでしょう。

 

 

●大阪24区をテーマにした古地図の新刊本の執筆、追い込み中です。

現在進行中のナカノシマ大学「大阪24区物語」の書籍化をめざしての原稿執筆が、佳境に入りました。都構想の住民投票がにわかに現実味を帯びてきたこともあり、「区」って何なの、と今こそ見直す時期が来たと思います。次回の更新の頃には、脱稿できているはず……です。

また、みなさんとどこかでお会いできるのを楽しみにしています。