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「服の話」で思い出す江弘毅との会話 in 1987

2023年8月16日 水曜日

8月31日(木)のナカノシマ大学には弊社の看板編集者で文筆家の江弘毅が登壇するが、お題は彼の生家(岸和田の洋装店)にも関係ある服の話である。

江は2006年の『「街的」ということ〜お好み焼き屋は街の学校だ』(講談社現代新書)をはじめ、京阪神の「店」や「街」について数多くの著書を残しているほか、「岸和田だんじり祭」についても著書が2冊ある。けれど服についての本は初めてだ。

『なんでそう着るの? 問い直しファッション考』2023年6月発売(亜紀書房)。ナカノシマ大学当日も会場で販売

本の中身については詳しく書かないが、「服を着ていく場所」について、「寿司屋」「鰻屋」などについての考察はこの人ならではの視点だし、ドラマ「孤独のグルメ」の松重豊さん(井之頭五郎役)の背広姿がまことに理にかなっている、という指摘もその通りだと思う。服を着るというのはとことん「社会的」な行為なので、周りにいる人が「うっとおしぃなあ」と思わないことが前提、というのも腑に落ちる。

しかしコミュニケーション旺盛な江弘毅がナカノシマ大学で「周囲から合格点をもらえる着こなし」なんて話をするわけないので(会場からの質問次第でするかもしれないが)、当日はコロナで大きく変わった、服の「社会性」についてもう少し深く、おもろい、かつアホな話に着地するのではないかと思う。だからみなさん、この本を読んでいようといまいと関係なく楽しめること請け合いです。

当日は東京から、この本の編集者である亜紀書房の斉藤典貴さんも登壇し、江にファッションの本を書いてもらおうと思ったきっかけ(同社のブログ「『お洒落』考」に2019.12〜2022.5月連載)や、東京ネイティブの斉藤さんが江の原稿や服に感じた「新鮮な驚き」についても話してもらいたいし、会場からの質問なども取り込みながらわいわいと進めていきたい。

最近は「あさイチ!」にもよく登場するライターの永江朗さんがこの本のことを『Meets Regional』9月号の書評に書いていた。

「この本も『へえ』とか『なるほど』がいっぱいある。もっとも、だからといって『そうか、これは取り入れよう』とか『真似しよう』とならないのは、こちらも初老になったからで、いまさら自分の服装のルールは変えたくない。ぼくはジーンズの裾をロールアップしてはくし、アメリカン・トラッド風のスーツでもタイはウィンザーノットにする。ポロシャツは着ない。とりわけ無印良品についての考え方は、江さんとぼくとでは正反対だ。……てなことがあれこれ浮かんでくるのがこの本のいいところだと思う。何をどう着るかについての思考を促す」

……たしかにこの本を読んでいたら、持っていた服のことや、その服にちなんだことを思い出した。

デカい声で電話をかけまくっていた編集者

 

私が江弘毅に初めて会ったのは、堂島2丁目「堂北ビル」に京阪神エルマガジン社があった昭和の頃。

筆者は月刊誌『Lmagazine』(1977〜2008)の編集部にいた。江はそのLマガの別冊で、勢いのある「シティマニュアル」シリーズの編集長をしていた。

Lマガは「エンタテインメント情報誌」で、先行していた『プレイガイドジャーナル』(1971年創刊)を3年目ぐらいに抜き去り、当時大学生だった関西の若者に圧倒的に支持があったように思う。とくに学園祭特集は部数を増やしてもすぐに完売するような人気だった。

しかし、東京にはエンタテインメント情報誌ですでにブランドを確立している『ぴあ』があり、予想通り1985年に関西に上陸。Lマガの部数は少しずつ減っていった。

会社はそれに対して食べたり飲んだり買ったりの店を通じた「街のおもしろさ」を伝えるLmagazineの別冊「シティマニュアル」シリーズを年に1〜2回出すようになり、Lマガの部数減に反比例するように右肩上がりの伸びを示した。「ひと月で古くなる映画やコンサート情報」よりも、「一度行ってみたい街の店」のほうが、Lマガを卒業した社会人読者には刺さったのだと思う。

持ってる人もきっといるでしょう。藤原ヒロユキの表紙イラストがバシッときいたLmagazine別冊『京都・大阪・神戸シティ・マニュアル』1984年2月

その「シティマニュアル」の指揮官が、神戸新聞マーケティングセンターから出向してきた江弘毅だった。

筆者が在籍していたLmagazineは、「興行元がどんなイベントをするか」によって誌面が左右される媒体だったので、8割方のネタ(上映・上演スケジュールなど)は主催者や劇場、ライブハウス、そして出演者などから入ってはくるが、編集者のセンスが入る余地は「扱いの大小」や「順番」以外にはあまりなかった。Lマガは自らの見本とした『ぴあ』のジャンル分けを流用し、親会社(新聞社)の「政治面」「経済面」「社会面」「海外面」「文化面」「家庭面」「地方面」などのシステムを踏襲していたと思う。

ところが江たちが作る「シティマニュアル」シリーズは、「こんな切り口でこんな特集をしたら当たる」ありきの媒体で、「自分たちがネタを作り出す」ところが生命線だった。「特集の切り口」がどれほど新鮮かつおもしろそうかで取材先や読者の食いつきも変わってくる。江は最初は神戸を拠点に仕事をしていたが、「シティマニュアル」の刊行頻度が高まるにつれて来阪することが多くなり、その仕事ぶりを間近に見られるようになった(やがて1988年に京阪神エルマガジン社に移籍、1989年にMeets Regionalが江を中心としたチームで創刊される)。

江が午前中に編集部に入ってきたら、お昼までは延々といろんな人間に電話をかけ続けていた。あの声なので内容はまる聞こえである。

「注目したい若いバーテンダーってページ作ろう思ってんねんけど、〇〇くん最近行ったバーでええとこ知らんか?」

「きのうポートピアランド行ったんやけど、ババリアンマウンテンレールロードに4回も乗ってふらっふらやわ(ようやるわ)。あんなマシンでおもろいページでけへんかな?」

「2ページ増えたんや。それで一人ずつお気に入りのLPを持ってコメントするなんてどやろ?」

当時のLmagazine編集部にはおとなしい人間が多かったが、電話がまる聞こえなので、そんなネタなら……と江が電話を切った瞬間に「江さ〜ん、〇〇やったら✕✕があるやん」「あ〜そやな、✕✕があったわ」みたいな形で近くの席の人間からもネタが入ってくる。お昼になると特集の企画がいくつか出来上がり、それをライターやカメラマンに伝え、一方ではグラフィックデザイナーに手描きのラフをfax.(当時はメールなどない)で送ってイメージを共有し、ずんずん仕事を進めていた。

「手離れの早い人」「会話によるコミュニケーションで仕事をどんどん進める人」というのが江弘毅という編集者の印象だったが(声がデカいのは「だんじり」だというのも後に知った)、机が離れていたし、媒体が違っていたので接点はほとんどなかった。

唯一、当時のLマガ副編集長Мさんが、江が作る「シティマニュアル」のデスクでもあったので、彼の席で話をしていたら顔を合わせることがあった。ある時、着ていた元町高架下の[ミスターボンド]で買ったボタンダウンシャツを見て、話をしたことのない江がいきなり言った。

「色見本帳みたいなシャツ着てはりますね!」

ブランケットやウールのゴツいシャツなどでおなじみPENDLETONに、Pen Westというセカンドブランドがおました

派手な柄のアロハシャツを着た(と記憶する)男にそう言われて「はは……(苦笑)」としかよう返さんかったが、確かにシアンとマゼンタがそれぞれ濃くなっていくとこんな感じかいな。

ウマいこと言うなぁ。ホメてんのかイケズなんかよう分からんけど(きっと後者や)。

もちろんその時、「36年後に、この男が服のことを話すナカノシマ大学で、主催者として司会をする」なんてことは知る由もない。このシャツはもう売ってはいないけどたまに着るし、[ミスターボンド]は初代・岡保典さんの孫、幸雄さんがモトコーで続けている。人の縁は不思議である。

「大阪のこと知らんかった」と知った『アルキメトロ』の2年半

2023年7月31日 月曜日

担当/中島 淳

OsakaMetro(大阪市高速電気軌道株式会社)のシニア向け沿線行楽フリーマガジン『アルキメトロ』が第10号「記憶をのせて  祝! 御堂筋線90周年」を最後に発行を終了した。

コロナ禍真っ最中の2020年10月に、「自然や植物をテーマに、OsakaMetroや大阪シティバスでアクセスできる、沿線の行楽情報を届ける」ことを目的に発刊されたフリーマガジンで、140Bが企画・編集を最終号までずっと担当させてもらった。

発行元が「名の通った企業や行政機関」である場合、担当者によってメディアの「手ざわり」はホンマに左右される。

その人が会社上層部のご意向(多くは訳の分からんことが多いが)を配慮し過ぎてしまうと、忖度ブレーキがはたらいて記事の中身や誌面のノリにまで口を挟んでしまうことがよくあるのだが、『アルキメトロ』担当者のKさんやSさんはむしろ「もっと面白くしたい」ことにベクトルが向く人たちで(それでも社内調整は大変だったと思うが)、私らも「期待に応えんとな」という感じでページを作った。奥付には弊社のクレジットも入れていただいた。有り難かった。

「面白がって仕事する」スタッフに恵まれた

当初は取材先・掲載ネタは感染リスクが少ない「野外」というのが重要で、どちらかというと「飲食・物販店」「美術館・博物館・図書館」が多かった弊社的にはあまりなじみのないジャンルだった。

それなら、これまで仕事をしたことがない人たちとこの新しいメディアを立ち上げたほうが面白い……ということで、表紙と誌面デザインは画家でグラフィックデザイナーの神谷利男さんにお願いした。岡本京子さんが第4号まで編集を担当してくれて、『アルキメトロ』という見事なネーミングと第1号の企画案「世界有数のバラの都・大阪」を考えてくれたので、それをもとに神谷さんはコンペに提出する表紙と誌面デザイン案を仕上げてくれた。

自作のバラの絵と、遊び心があってシュッとしたロゴ。

一瞬で「コレはいけますな」であった。

せっかくなので……とプレゼン当日にこの表紙をB全ポスターにして3人がかりで広げて披露したことでとどめを刺したかもしれない。神谷さんは食品のパッケージデザイン(ロッテ「Ghana生チョコレート」や東海漬物「きゅうりのキューちゃん」など)も数多く手がけているので「一瞬で人の目を惹ける」引き出しが実にたくさんあったのだと思う。

神谷さんの驚異的なところは、毎号フルカラーで3案、表紙を描き下ろしてくれたことである。通常、イラストの表紙を制作する場合はモノクロの下描きを2案ほど出して、OKが出た方を清書・着色してもらい、その画像に文字をデザインして印刷入稿することが多いのだが、神谷さんはすぐにでも印刷できるような精巧な表紙を3案つくってくるのだ。

「これは悩ましすぎるな〜」OsakaMetroに送る前に、弊社スタッフの間でもいつも意見が分かれていた。

 

第5号からは放送作家の奥村康治さんが企画と執筆を数多く担当し、大阪城公園や淀川べりなどの野鳥観察に携わる人たちが協力してくれなかったら絶対に実現しなかった「とりどり大阪」をつくることができた。

第6号では企画と執筆に放送作家の関真弓さん、編集に川嶋亜樹さんが新たに加わり、「ハスの沼へようこそ」という超季節限定のエッジな特集も展開することができた。

 

第7号あたりから当初の「植物や自然」という縛りも徐々にユルくなり、以前から上町台地界隈の情報紙『うえまち』に子どもが読みやすい連載「大阪をつくった『なにわのヒーロー』」を執筆していたライターの須藤みかさんに「大阪ヒーロー推しの旅。」を取材・執筆してもらった。

この号のみ、井上ミノルさんにヒーローのイラストを描いてもらい、それをもとに神谷さんがヒーローたちの頭文字をロゴ風にデザインした。華やかでカラフルな表紙である。

月面のクレーターにも名を残す江戸中期の天文学者・麻田剛立(あさだ・ごうりゅう)の頭文字は「ジョルジオ・アルマーニとおんなじG.Aやな」なんて話を打ち合わせの時にしていたが、それを聞いていた神谷さんが表紙にさりげなく活かしている。手練れである。

「身体を現場に連れて行く」意味を思い知る

筆者の一番の思い出は、何度も足を運んで書かせてもらった第3号「大阪『八低山』をゆく」である。

古くは4世紀末〜5世紀初頭に築造された帝塚山古墳から、新しきは「SWEET MEMORIES」を松田聖子が歌っていた昭和58年(1983)に誕生した鶴見新山まで、すべて「人間の手で造った」8つの低山をOsakaMetroや大阪シティバスでめぐる特集である。

山を造った目的も、時代とともに大きく変わっている。

「支配者の埋葬」「軍事要塞の構築」「船舶通行のために河川を浚渫し、その工事で出た土砂の観光地化」「廃棄物を盛土で埋めて公園緑地造成」など実にバラエティに富んでいるが、一番高い鶴見新山でも標高39mしかない。

ふるさとの山に向ひて言ふことなし(啄木)は好きな歌であるが、頂上の手前まで来ないと「向ひて」になるような状況にはならないような、低い山ばかりである。

それでも、大阪の歴史の中で1500年ほどの時代変化を文字通り体感でき、1日乗車券を使えば八低山をその日のうちに回ることができて、それぞれの街の食堂やカフェ、パン屋さんに立ち寄れば幸せは増すばかり……これにハマり、この号の取材から何度も八低山をめぐっている。それぞれの山には古代から現代までゆかりの「人」がいるが、それはまた時期を改めて書きたい。

8つの山で筆者が一番「山らしい」と感激した大正区の昭和山(標高35m・1970年造成)に対しては、作家の柴崎友香さんが芥川賞を受賞する直前に『大正島(アイランド)体感地図』(大阪市大正区)に寄稿してくれたテキストを読んだ時からずっと気にはなっていたが、7年後にやっと「登頂」が実現した。

昭和山頂上直下からは、土の山道で登れる

登った感想はただ一つ。「現場に来てみんと大阪は分からへんなぁ」である。

こんなに素晴らしい場所が、工場や巨大構造物が建ち並び、表通りを大型車両がひっきりなしに走る大正区にあったとは。そんなことも知らずに40年近くの間「大阪の編集者でござい」と言うてたのがほんまに恥ずかしい。

『アルキメトロ』の日々は、イコール大阪に対する自らの無知に毎回気がつく日々であった。そんな経験を与えてくれたOsakaMetroや愛読してくださったみなさまに心より感謝したい。

誌面に寄稿し、写真を撮影・ご提供いただいた小林渡さん、藤田雅矢さん、髙岡伸一さん、髙島幸次さん、馬場尚子さん、陸奥賢さん、伊藤廣之さん、元山裕康さん、小川流水(清)さん、小川勝章さん、湯川真理子さん、浜田智則さん、北川央さん、Brenda Chenさん、吉川公二さん、釈徹宗さん、橋爪節也さん、大西ユカリさん、楠木新さん、武部好伸さん、松井宏員さんたちにお礼を申し上げたい。

そしていきなりの「飛び込み」取材にもご協力いただいた関係者のみなさん、『アルキメトロ』をお店や施設に配架してくださった大阪の街のみなさんに、ほんまにお礼を申し上げます。

ありがとうございました。また別なところでお会いしましょう。

『アルキメトロ』のバックナンバーはこの行をクリックしたら全10号ともダウンロードして見られます。

7/25~紀伊国屋書店梅田本店さんでの合同フェアに参加します

2023年7月24日 月曜日

7/25(火)から紀伊国屋書店梅田本店さんで開催の「今年もやります! 地元やからおもろいと思うで、知らんけど 関西の出版社合同フェア」に140Bも参加します。

昨年の大盛況に続き今年も(主に)関西の出版社7社で手作り感のある売り場でそれぞれの出版社の新刊あり、推し本あり、グッズ販売あり、ガチャガチャの景品ありで、所狭しと商品が並ぶ盛りだくさんのフェアとなります。

8/16(水)までの期間中、著者や出版社によるイベントなどお客さま参加型のフェアでもありますのでぜひ、興味のある催しにあわせて紀伊國屋書店梅田本店さんにお越しください。詳細等は紀伊国屋書店さんのHPSNSで随時お知らせされています。

【参加7出版社】
インセクツ / 京阪神エルマガジン社 / 創元社 / 西日本出版社 / ミシマ社 / ライツ社 / 140B

 

7/15-16浅草での BOOK MARKET 2023 に出展します

2023年7月12日 水曜日

毎年恒例の浅草でのBOOK MARKETに今年も出展します。

いつものように刊行書籍だいたい全点と今年は缶バッジ3種類も販売もおこないます。

 

 

 

 

 

さらに7/15(土)、現在「まえだおうこ」名義でZINEなど制作されている『京都観光生活』の著者ハンジリョオさんの一日限定復活のミニサイン会を行います。リアル・ハンジさんの登場はおそらく10数年ぶりです!

 

 

 

 

【140B ブース39】 11:00~『京都観光生活』購入先着20名様。ZINE2種も限定販売します。

この機会にぜひ!

みなさまのお越しお待ちしております。

BOOK MARKET 2023
7/15(土)-16(日)
10:00~17:00
会場:台東館 7階南側会場

https://www.anonima-studio.com/bookmarket/

缶バッジは、
『すごいぞ!私鉄王国・関西』
『まんが 墓活』
『大阪キタと中之島 歴史の現場 読み歩き。』
の3種になります。

 

水都ラブ・サスペンス「樽屋おせん」にヤラれてください

2023年7月7日 金曜日

担当/中島 淳

春野恵子さんがナカノシマで浪曲を演じるのは2009年12月以来、14年ぶり!

7/20(木)のナカノシマ大学で春野恵子さんが演じる浪曲「樽屋おせん」は、戦乱を経た大坂が国内最大の「経済都市」としてめまぐるしい変貌をとげていく17世紀後半に生まれた、井原西鶴の『好色五人女』の一篇です。

秀吉の時代に造られた「町割り」は、大坂夏の陣で勝者となった徳川政権下でいっそう本格化していきます。交通と物流は、当時は陸上を「水運」が圧倒していました。交通の拠点は大川(淀川)沿いの八軒家浜。いまで言えば大阪駅・新大阪駅・伊丹・関空を一つにしたような巨大ターミナルだったかと。長〜い熊野街道もこの八軒家浜から始まります。

物流では、承応2年(1653)に八軒家浜の対岸に「天満青物市場」(現・南天満公園)が誕生。市場は亀岡街道(天神橋筋商店街)の終点でもあり、水路・陸路から各地の名産が集まってきました。青物市場の目と鼻の先にある大阪天満宮は、これまでの数倍の規模でにぎわいを見せたことだと思います。

当時の地図。オレンジの印を付けた天満宮から天満青物市場も樽屋橋も徒歩数分の場所にある(1691年『新撰増補大坂大繪圖』より〜国際日本文化研究センター所蔵)

近世の天満宮界隈では「醸造業」が盛んでした。味噌や酒が造られると、必ず必要とされるのが「樽」。天満宮から300メートルほど西に「樽屋町」があり、その名の通りの「樽製造の町」として栄えていました。出来上がった樽には天満の酒や味噌が入り、これらが16世紀末に開削されたばかりの「天満堀川」を下って大川本流に入り、青物市場経由で旅立っていきました。

……以上はざっくりした前置きですが、当日は髙島先生が浪曲がはじまる前に詳しく解説します。さて。

春野恵子さんの「樽屋おせん」は、かつて奉公していた天満の麹屋で営まれる法事の手伝いに来ていたおせんが、ふとしたことから御寮(ごりょん)さんに店主・長左衛門との「不義密通」を疑われ、夫の伊助からも愛想を尽かされ、追い詰められていく話です。

健気で働き者で器量良しのおせんがいじらしさ満点な一方、彼女を容赦なくいたぶる嫉妬深い御寮さんが、表情も含めてほんまにえげつない!  男女4人の演じ分けがお見事ですが、とくに御寮さんには、釘付けになってしまう迫力満点です。

髙島先生による、近世の水都大坂の解説も請うご期待

しかし、おせんはただ追い詰められるだけではありません。

ラストは西鶴の原作を少しアレンジしていますが、こちらの浪曲のほうが水都大阪らしく、「その後」の行方をあれこれ想像したくなるような結末です。

井原西鶴×春野恵子の近世版ラブ・サスペンス。どうぞお楽しみに!

お申し込みはこちらから

 

6/25(日)天神寄席はゲストに内田樹先生。二葉さんも出演!

2023年6月22日 木曜日

担当/中島 淳

7月を除く毎月25日に天満天神繁昌亭で開かれている「天神寄席」は、プロデューサーでブッキングマネジャーで鼎談(ていだん)のホストを務められる髙島幸次先生のテーマに沿った落語を4〜5席聴けて、中入り後の「鼎談」はゲストと高島先生、桂春若師匠のお三方がテーマに沿った(横道にも入ります)トークを展開して……というたまらん催しで、弊社も全面協力しています。

とくに内田樹先生がゲストで出られる6月は満席必至。でもキャンセルが出ました!  繁昌亭での前売はソールドアウトしているので、「行こうかなぁ……」と思っている人は迷わず一番下の行をクリックしてお申し込みを!

6月25日(日)はトリに笑福亭伯枝師匠が名作「阿弥陀池」を、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの桂二葉さんは「向こう付け」を演じます。それに加えて鼎談の内田先生がゲストなので強力きわまりないですな。私も当日はナカノシマ大学枠の受付をしています。

6/25(日)18:00開演(受付17:15〜) at天満天神繁昌亭(地下鉄南森町駅・JR大阪天満宮駅から徒歩5分) ※ナカノシマ大学枠はちょっと割安です

こちらからお申し込みください

夏の夕暮れの繁昌亭かいわいの雰囲気は実にええ感じです♬

6/29(木)ナカノシマ大学の定員を増やしました!

2023年6月19日 月曜日

担当/中島 淳

楠木新(くすのき・あらた)さんが登壇される6/29(木)のナカノシマ大学「シン・淀屋橋人生〜〈もうひとりの自分〉を楽しみながら育てよう」は受講申込多数となり定員に達しましたが、まだ当日まで10日ありますので、会場の大阪府立中之島図書館と協議して、定員を60人から100人へと増員いたしました。

受講ご希望の方、お早めにお申し込みください。

なお、7/20(木)のナカノシマ大学、春野恵子さんの浪曲、髙島幸次先生の解説による「樽屋おせん」の受講申込も開始しております。こちらも併せてどうぞ!

楠木新さんの「シン・淀屋橋人生」は必聴です!

2023年6月12日 月曜日

担当/中島 淳

6月29日(木)のナカノシマ大学に登壇される、文筆家でビジネス評論家の楠木新(くすのき・あらた)さん。

25万部のベストセラーとなった『定年後:50歳からの生き方、終わり方』(中公新書)をはじめ、『人事部は見ている。』(日本経済新聞出版社・日経BP)、近著『75歳からの生き方ノート』(小学館)などが有名だ。とくにここ10年あまりは多くの著書の発刊と並行して各地で講演を行い、NHK「日曜討論」にもコメンテーターとして出演しているお忙しい人である。

今年3月19日の「日曜討論」で「社会人のリスキリング」についてコメントしていた楠木さん

そのような人がナカノシマ大学に登壇されるのは珍しいことかもしれないが、そのきっかけは弊社の江弘毅である。

江は神戸松蔭女子学院大学都市生活学科の教授でもあり、神戸には40年以上住んでいて『いっとかなあかん神戸』(140B)や『神戸と洋食』(神戸新聞総合出版センター)などの著書がある。楠木さんも定年後に同じ学科の教授に就任し(2018〜22年)、キャンパスで江と顔を合わせることも度々あったという。

ある日、江がこんなことを言った。

「同じ松蔭で教えておられる楠木新さん、『定年後』という本でベストセラーになった人なんやけど、話がおもろいし、ほんまに感じのええジェントルマンやで」

加えて

「聞いたらな、生まれも育ちも新開地で、福原の薬局の息子さんやねん」

三宮・元町だけでなく新開地にも「なじみのええ店」をいくつか持っていて、著書でも度々紹介している江としては、自分が好きな下町の「リアルなおもしろさ」と「知的さ」を兼ね備えた楠木さんとの出会いは、久々に心おどるものだったのだと想像する(20年以上前に、江が内田樹先生の著書を読んだことがきっかけで、Meets Regionalの連載を頼んだという当時の興奮を思い出した)。

江を通じて楠木新さんにお会いすると、定年まで「淀屋橋に本社のある生命保険会社」で働いておられたことを知った。ラッキーである。というのも弊社が企画編集していたOsaka Metro発行のフリーマガジン『アルキメトロ』で御堂筋線90周年記念特集を編集していたからだ。執筆をお願いしたら、快諾いただいた。

この『アルキメトロ』はナカノシマ大学当日にも配布しますが、待てない人はぜひ地下鉄駅へ

楠木さんに「御堂筋線と淀屋橋の記憶」について執筆いただいたことで、別の欲が出た。

「この人にナカノシマ大学に登壇していただいたら、受講者のみなさんはすごく喜んでくれて、これまでにない講座になるのではないか」と。

ナカノシマ大学というのは「ちょっとへそ曲がり」な市民講座である。

「ビジネス」の現場で活躍している人が登壇することがあっても、「日本経済の再生を!」とか「今こそ万博を通じて大阪復権!」みたいなことは間違っても言わないし、「仕事でのサクセスストーリー」とも無縁なところでやってきた。

楠木さんは「日本資本主義の本流」の一つである淀屋橋の生命保険会社に大学卒で入社して以降定年まで働いてこられた人だが、40代の後半にうつ状態に入り、長期休職したという。その時に深呼吸して人生を見直した結果、「会社をリタイアした人、50代で別の職業に転身した人」から話を聞く……ということを通じて、自分の方向性が少しずつ定まってきたそうである。

子どもの頃から新開地界隈で「オモロイおじさん」を数多く見てきた楠木さんは、人間観察が天職のようになっていったのかもしれない。建前しか言わない大企業のビジネスマン(の勤務中の姿)には魅力を感じなかったが、「会社という鎧をはずした場所で本音で語ってくれる人」に対しては大いに親近感を抱いたであろうし、相手が心を開いて話してくれることを通じて、楠木さん自身も精神的に回復していったのではないだろうか。

取材対象者は150人。毎日休まず一人ずつインタビューしても軽く5カ月かかる。「話を聞く」ことは正直、疲れる作業だが、それ以上に楠木さんはこのインタビューの日々を、何とも言えない充実感の中で生きていたのではないかと想像する。

そういう人が語ってくれる話のほうが、ナカノシマ大学らしくておもしろいかと。実際におもしろいです。

300年前の享保9年(1724)、淀屋橋の南詰近くで、身分に関係なく誰でも学べる「懐徳堂」という私塾が開かれた。奉行の子どもだろうが大店の子息だろうが丁稚だろうが、仕事の合間に懐徳堂で学ぶことができた(山片蟠桃のようなスーパースター学者を続々輩出した)。

それがやがて適塾や大阪大学などに発展し、今日に至っていることを考えると、淀屋橋という街には「ここで働き、自分の新しい可能性を育てるために学ぶ」というDNAが大昔から息づいているのだと思う。

そう考えると楠本さんは、淀屋橋からハミ出した人どころか、淀屋橋で生まれた懐徳堂のDNAを現代に引き継いでいる人だと言える。その証拠に「懐徳堂跡の碑」は、楠木さんが勤務した生命保険会社の壁面に建っています。

今橋通は楠木さんが勤務した生命保険会社や鴻池本店、大阪倶楽部など「エスタブリッシュメント」バリバリの通りだが、そこに「身分や貧富に関係なく誰でも学べる場」があったということが大阪のおもしろいところだったと思う

楠木さんが執筆した『アルキメトロ』のタイトルは「淀屋橋は『想い出まくら』」。昭和歌謡好きなあなたはもうピンとくると思いますが、そんなフレーズが当日も連打必至です(笑)。

講座の定員は実は8割以上埋まりましたので、申し込みはこちらから、どうぞお早めに!

 

 

拝啓・古地図サロンから37

2023年6月7日 水曜日

2023年5月26日・本渡章より

【今回の見出し】

■5月の古地図サロンレポートと次回予定

  • 最近と今後の古地図活動★6月~9月(講座・テレビ・イベント・執筆など)
  • 古地図ギャラリー第17回
    東畑建築事務所「清林文庫」コレクション〈その17〉
    青山大介作品展2023

■古地図サロンのレポート

開催日:5月26日(金)午後3~5時 御堂筋の大阪ガスビル1階カフェ「feufeu」にて。

皆さま、お元気でいらっしゃいますか。今年もホットな夏が近づいてまいりました。

前回お知らせの大阪ガスビル大改修にともない、ガスビルカフェでの古地図サロン開催は終了までのカウントダウンが始まりました。最終回がいつになるかは未定ですが、隔月ペースであと数回にてお別れです。おそらく場所もスタイルも変えて生まれ変わることになると思いますが、詳細の報告はしばらくお待ちください。

さて、今回は大阪府の古い地図を中心に、兵庫、近畿エリアの地図をまじえて公開しました。表紙を見ているだけで、まったりとしたレトロな味わいが、だんだん現代風のすっきりした趣に変わっていくのがわかります。中身の地図はどうかというと、こちらはぱっと見ただけでは時代を特定するのが難しく、第一印象はあてにならないと思い知らされるのが、また愉快。

時代がさかのぼるほど地図に付けられた解説は詳しくなり、小冊子が綴じ込み付録になっていたりします。その文言が古めかしく、今はなくなってしまった名所、名物の紹介なども見られて、興味深いものです。一例を挙げると、昭和28年版「新日本分県地図・兵庫縣」(和楽路屋)に載っている当時の兵庫懸3大名物は何かといえば、灘の銘酒・揖保の素麺と並んで明珍火箸が挙げられていて、家庭で炭火が日常的に使われていた時代が思い出されます。昭和20年代の地図の題名に県の旧字の「縣」が用いられているのも、書籍など出版物に旧字・旧仮名が生きていた頃を記憶している世代には懐かしいでしょう。

古いものが、その後の世代の目にはどんな風に映るのか、聞いてみたいです。

では、7月のサロンでまたお会いいたしましょう。

◉今回のサロンで展示した古地図
◆地図(原図)

日本新分縣地図・大阪府 昭和21年(1946)日本地圖株式会社
新日本分県地図・兵庫縣 昭和28年(1953) 和楽路屋
新日本分県地図・大阪府 昭和36年(1961) 和楽路屋
新日本分県地図・大阪府 昭和46年(1971) 日地出版
最近実測大阪交通地図  大正7年(1918) 大阪朝日新聞社
里程町名早わかり大大阪実測地圖  大正14年(1925) 文進堂
イロハ引早わかり大大阪市街新地圖 昭和12年(1937) 駸々堂旅行案内部
近畿遊覧交通略圖 戦前 作者不明

★次回は2023年7月28日(金)午後3~5時開催予定

会場は御堂筋の大阪ガスビル1階カフェにて。私の30分トークは午後4時頃からです。サロン参加は無料(但し、カフェで1オーダーしてください)。途中参加・退出OK。勉強会でもなく会員制でもありませんので、どなたでも気軽にご参加ください。

諸事情により開催中止の場合は、事前にこの場でお知らせします。

 

【最近と今後の古地図活動】

大阪府立中之島図書館 ・3階多目的スペース

江戸時代の災害に令和の私たちが学ぶこと」6月17日(土)午前10~12時
江戸時代の人々はどのように災害に立ち向かってきたか。古地図・絵図・瓦版などを読み解き、そのたくましさ、明るさを知る講座。

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大阪府立中之島図書館 ・2階多目的スペース

「大阪戦災画展 絵師・井沢元晴が歩いた〈1945〉瓦礫の街」8月1日(火)~15日(火)
終戦まもなく、広島から大阪へ、焼跡の街を歩き描いた絵師がいました。歳月を経て完成された戦災画を遺品とともに公開します。展示構成を担当。

テレビ大阪の番組出演・難読地名ベスト10

TVO誰も知らんキング」なにわの難読地名編・6月17日(土)18時58分~20時54分
大阪府下の知られざる難読地名ベスト10の現地を訪ね、その由来を紹介。2時間番組の中の30分が難読地名編。取材班が作成したVTRを見ながら地名の解説をします。

●NHK朝の番組に出演

「おはよう関西」6月27日(火)7時45分~8時
古地図を通して過去を知り、災害を前向きにとらえなおす。古地図の面白さは街を新た
な目で見なおすきっかけになる。古地図サロンも出て、盛りだくさん。そんな話をしま
す。

※ニュース番組につき、諸事情によって放送日時が変更になる場合があります。

日カルチャーセンター中之島での講座6~9月

「地図で訪ねる戦中大阪」6月30日(金)午前10時30分~12時
戦争中、検閲と統制で地図はどう変わったか?終戦直後に起きた地図をめぐる事件とは?

「古地図地名物語」7月28日(金)・8月25日(金)・9月22日(金)
阿倍野区・平野区・天王寺区の地名を訪ねます。

季刊「ひょうご経済」7月号に執筆

季刊「ひょうご経済」7月号(7月20日発行)の「ゆたかな時間」コーナーに、古地図の話を執筆。
このブログに登場した青山大介さんの「兵庫津鳥瞰図1868」も紹介しています。同誌は財団法人ひょうご経済研究所(神戸に本店を置くみなと銀行グループのシンクタンク)の季刊誌。

●8月の夏休み企画/東大阪

講演&親子で楽しむ古地図体験(タイトル未定)8月20日(日)時間帯未定。
「古地図って何?」東大阪市文化財の旧河澄家を会場に、もしかしたら日本初かもしれない親子連れ夏休み古地図イベントをいたします。東大阪観光協会の後援で実現。

9月初旬にもうひとつの企画/東大阪

グリコのおまけミュージアムとして知られる宮本順三記念館・豆玩舎ZUNZO(近鉄八戸ノ里駅前)で、新企画が進行中。詳細は近日お知らせします。

平野区民センターで講演

「古地図が語る大災害(仮題)」9月24日(日)13時30分~15時
6月の中之島図書館「江戸時代の災害に令和の私たちが学ぶこと」に続き、災害がテーマの講座です。主催・平野区民センター。

●「大阪の地名に聞いてみた」ブログ連載、全12回24編が完結!

誰よりも大阪を知る「大阪の地名」の声、地名にひかれ地名で結ばれる人の想い。一年間の連載が2023年1月に完結(題字と似顔絵・奈路道程)し、書籍化が決定! 追加取材を加え、ブログの内容を大幅に再構成し、刊行されます。
それまではブログ「大阪の地名に聞いてみた」でお楽しみください。

第12回ここは水惑星サンズイ圏【前編・後編】
第11回島の国の島々の街【前編・後編】
第10回仏地名は難波(なにわ)から大坂、大阪へ【前編・後編】
第9回人の世と神代(かみよ)をつなぐ神地名【前編・後編】
第8回語る地名・働く地名【前編・後編】(仕事地名・北摂編)
第7回古くて新しい仕事と地名の話【前編・後編】(仕事地名・河内編)
第6回街・人・物・神シームレス【前編・後編】(仕事地名・泉州編)
第5回場所が仕事をつくった【前編・後編】(仕事地名・大阪市中編)
第4回花も緑もある大阪【前編・後編】
第3回桜と梅の大阪スクランブル交差点【前編・後編】
第2回続・干支地名エトセトラ&その他の動物地名【前編・後編】
第1回大阪の干支地名エトセトラ【前編・後編】

●動画古地図でたどる大阪の歴史」続編、作成中

江戸時代の大坂、近代以後の西区編に続き、街歩きスタイルの編集による港区編公開。他に「古地図サロン」、著書『古地図で歩く 大阪24区の履歴書』紹介編の動画もあります。「此花区・港区・大正区」の動画も作成中。(制作・大阪コミュニティ通信社)

|古地図ギャラリー|

地球萬國山海輿地全図天保15年(1845長久保赤水

長久保赤水(1717~1801)は水戸藩主徳川治保(はるもり)の侍講を務め、地理学者として地図・地誌を作成。刊行日本図として初めて経緯線で位置を示した「改正日本輿地路程全図」は、それまでの主流だったデフォルメの多い刊行図と一線を画し、赤水図と呼ばれました。以後も同様の形式の赤水図が作られ、広く流布。伊能忠敬の実測地図の登場後も重用されました。長久保赤水は近世を代表する地図作者といえます。その手腕は世界地図の作成にも生かされ、元禄年間刊行の「地球萬國山海輿地全図」は、作成から百数十年を経た幕末期まで模倣図が出回るほどの人気を得ました。中国をはじめ東アジアを中心に描いた構図に、宣教師マテオ・リッチが北京で刊行した「坤輿(こんよ)万国全図」を参照したあとが見られるのも、江戸期の文化形成の一端がうかがえ、興味深いものがあります。
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図中に記載の解説文(抄訳) ※掲載写真は地図部分のみ。

この図と同じ様式の世界地図は、オランダ製が広く出まわっている。大東洋、小東洋、大西洋、小西洋を四大海と呼び、アジア、ヨーロッパ、リビア(アフリカ)、北アメリカ、南アメリカ、メカラニカを6大州という。地球の南北の真ん中に赤道があり、南北の緯度はそれぞれ90度である。日本は30~40度、北海道は40~47、8度、ロシアはおよそ52度に位置する。太陽は寅時(午前4時頃)にアメリカの東洋に出て、同日の申時(午後4時頃)日本の上に出る。その間180度、距離にして4万5千里(約18万㎞)。また、その日の丑時(午前2時頃)に大西洋にあるイスパニアの福島に行く。その間180度、距離は4万5千里。太陽は一昼夜に9万里(約36万㎞)を行き、地球を一周する。一時(2時間)に太陽が移動する距離は7千5百里(約3万㎞)で、矢よりも速い。

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東畑建築事務所「清林文庫」は、同事務所の創設者東畑謙三が蒐集した世界の芸術・文化に関する稀覯本、約15000冊を所蔵。建築・美術工芸・絵画・彫刻・考古学・地誌など分野は幅広く、世界有数の稀覯本コレクションとして知られる。古地図に関しても国内外の書籍、原図など多数を収め、価値はきわめて高い。
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【青山大介作品展2023】6/29(木)~7/4(火)こうべまちづくり会館ギャラリー

古地図ギャラリー第4回で紹介した「梅田鳥観図2013」の作者・青山大介氏の作品展「鳥観図に見る神戸都心の景観変遷」が開催されます。7月2日(日)には講演会と巨大絵図の上を歩いて体感できるコーナー「姫路城下絵図を歩こう」も実施。申込先着順。

 

過去の古地図ギャラリー公開作品

第16回(2023年3月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「天王寺・石山古城図」

 

第15回(2023年1月)

①東畑建築事務所・清林文庫より長谷川圖書「摂津大坂図鑑綱目大成」

 

第14回(2022年11月)

①東畑建築事務所・清林文庫より久野恒倫「嘉永改正堺大絵図」

②鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「私たちの和田山町」

 

第13回(2022年9月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「淀川勝竜寺城跡全図」

 

第12回(2022年7月)

①東畑建築事務所「清林文庫」より秋山永年「富士見十三州輿地全図」

 

第11回(2022年5月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「大日本分境図成」

 

第10回(2022年3月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「新改正摂津国名所旧跡細見大絵図」

③鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「笠岡市全景立体図」

 

第9回(2022年1月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「暁鐘成・浪花名所独案内」

②本渡章所蔵地図より「大阪市観光課・大阪市案内図

③鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「躍進井原市」

 

第8回(2021年11月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「友鳴松旭・大日本早見道中記」

②本渡章所蔵地図より「遠近道印作/菱川師宣画・東海道分間絵図」「清水吉康・東海道パノラマ地図」

③鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「吉備路」

 

第7回(2021年9月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「石川流宣・江戸図鑑綱目坤」「遠近道印・江戸大絵図」

②本渡章所蔵地図より「改正摂津大坂図」

③鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「倉吉市と周辺 文化遺跡絵図」

 

第6回(2021年7月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「石川流宣・日本海山潮陸図」「石川流宣・日本国全図」

②本渡章所蔵地図より「大阪師管内里程図」

③鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「倉敷美観地区絵図」

 

第5回(2021年5月)

①2007清林文庫展解説冊子・2019清林文庫展チラシ

②本渡章所蔵地図より「近畿の聖地名勝古蹟と大阪毎日」

③フリーペーパー「井沢元晴漂泊の絵図師」・鳥観図「古京飛鳥」「近つ飛鳥河内路と史跡」

 

第4回(2021年3月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「大阪湾築港計画実測図」

②本渡章所蔵地図より「大阪港之図」

③鳥観図絵師・井沢元晴の作品より「福山展望図」

④鳥観図絵師・青山大介の作品より「梅田鳥観図2013」

 

第3回(2021年1月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「江戸切絵図(尾張屋版)」「摂津国坐官幣大社住吉神社之図」

②本渡章所蔵地図より「摂州箕面山瀧安寺全図」

③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「小豆島観光絵図」

 

第2回(2020年11月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「メルカトル世界地図帳」「オルテリウス世界地図帳」

②本渡章所蔵地図より「A NEW ATLAS帝国新地図」「NEW SCHOOL ATLAS普通教育世界地図」

③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「大阪府全図(三部作)」

 

第1回(2020年9月)

①東畑建築事務所・清林文庫より「ブレッテ 1734年のパリ鳥観図」

②昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「ふたつの飛鳥と京阪奈」

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●電子書籍のお知らせ

本渡章の著書(古地図・地誌テーマ)のうち、電子書籍になった10冊(2022年末現在)は次の通りです。
(記載の刊行年は紙の書籍のデータです)

『鳥瞰図!』140B・刊(2018年)

思考・感情・直観・感覚…全感性を目覚めさせる鳥瞰図の世界にご案内。大正の広重と呼ばれた吉田初三郎の作品群を中心に、大空から見下ろすパノラマ風景の醍醐味を味わえます。併せて江戸時代以来の日本の鳥観図のルーツも紐解く、オールカラー・図版多数掲載の決定版。

『古地図で歩く大阪 ザ・べスト10』140B・刊(2017年)

梅田・中之島・御堂筋・ミナミ・天満・京橋・天王寺。阿倍野・住吉・十三・大正・平野の10エリアを古地図で街歩きガイド。さらに博物館、図書館、大書店、古書店での古地図探しの楽しみ方、大阪街歩き古地図ベストセレクション等々、盛りだくさんすぎる一冊。オールカラー・図版多数掲載。

*上記2冊は各電子書籍ストアでお求めください

*下記8冊は創元社(オンライン)の電子書籍コーナーでお求めいただけます

『図典「摂津名所図会」を読む』創元社・刊(2020年)

大阪の地誌を代表する「摂津名所図会」の全図版を掲載。主要図版(原寸大)には細部の絵解きの説明文、その他の図版にもミニ解説を添えた。調べものに便利な3種類の索引、主要名所の現在地一覧付。江戸時代の大阪を知るためのビジュアルガイド。

『図典「大和名所図会」を読む』創元社・刊(2020年)

姉妹本『図典「摂津名所図会」を読む』の大和(奈良)版です。主要図版(原寸大)には細部の絵解きの説明文、その他の図版にもミニ解説を添え、3種類の索引、主要名所の現在地一覧も付けるなど「摂津編」と同じ編集で構成。江戸時代の奈良を知るためのビジュアルガイド。

『古地図が語る大災害』創元社・刊(2014年)

記憶の継承は防災の第一歩。京阪神を襲った数々の歴史的大災害を古地図から再現し、その脅威と向き合うサバイバル読本としてご活用ください。歴史に残る数々の南海トラフ大地震の他、直下型大地震、大火災、大水害の記録も併せて収録。

『カラー版大阪古地図むかし案内』(付録・元禄9年大坂大絵図)創元社・刊(2018年)

著者の古地図本の原点といえる旧版『大阪古地図むかし案内』に大幅加筆し、図版をオールカラーとした改訂版。江戸時代の大坂をエリアごとに紹介し、主要な江戸時代地図についての解説も収めた。

『大阪暮らしむかし案内』創元社・刊(2012年)

井原西鶴の浮世草子に添えられた挿絵を題材に、江戸時代の大坂の暮らしぶりを紹介。絵解きしながら、当時の庶民の日常と心情に触れられる一冊。

『大阪名所むかし案内』創元社・刊(2006年)

江戸時代の観光ガイドとして人気を博した名所図会。そこに描かれた名所絵を読み解くシリーズの最初の著書として書かれた一冊。『図典「摂津名所図会」を読む』のダイジェスト版としてお読みいただけます。全36景の図版掲載。

『奈良名所むかし案内』創元社・刊(2007年)

名所絵を読み解くシリーズの第2弾。テーマは「大和名所図会」。全30景の図版掲載。

『京都名所むかし案内』創元社・刊(2008年)

名所絵を読み解くシリーズの第3弾。テーマは「都名所図会」。全36景の図版掲載。

※その他の電子化されていないリアル書籍(古地図・地誌テーマ)一覧

『古地図でたどる 大阪24区の履歴書』140B・刊(2021年)

『大阪古地図パラダイス』(付録・吉田初三郎「大阪府鳥瞰図」)140B・刊(2013年)

『続・大阪古地図むかし案内』(付録・グレート大阪市全図2点)創元社・刊(2011年)

『続々・大阪古地図むかし案内』(付録・戦災地図・大阪商工地図)創元社・刊(2013年)

『アベノから大阪が見える』燃焼社・刊(2014)

『大阪人のプライド』東方出版・刊(2005)

 

●本渡章(ほんど・あきら)プロフィール

1952年大阪市生まれ。作家。(財)大阪都市協会発行時の「大阪人」編集などを経て文筆業に。1996年第3回パスカル短篇文学新人賞優秀賞受賞。短編が新聞連載され『飛翔への夢』(集英社)などに収録。編著に『超短編アンソロジー』(ちくま文庫)がある。その後、古地図・地誌をテーマに執筆。
著書『鳥瞰図!』『古地図でたどる大阪24区の履歴書』『古地図で歩く大阪 ザ・ベスト10』『大阪古地図パラダイス』(140B)『古地図が語る大災害』『カラー版大阪古地図むかし案内』『図典「摂津名所図会」を読む』『大阪暮らしむかし案内』(創元社)など多数。共著に『大阪の教科書』(創元社)がある。

5/31(水)ナカノシマ大学は釈先生「ナマ白板講義」で

2023年5月26日 金曜日

担当/中島 淳

いよいよ来週となりました。

今回のお題である「御堂筋」というのは、相愛大学の学長であり、浄土真宗本願寺派の住職でもある釈先生にとっては「当事者」のお話です。

南港の相愛大学にて釈先生

江戸時代初期、各地の門徒たちが「御堂さん」の近くで商売をするために集まってきて、船場という商人の街が形成されました。20世紀初頭に至るまで、大阪の水運の発展と共に船場は巨大化し、日本経済の中枢へと変貌していきました。後半で林家染雀師匠が演じる「宗論(しゅうろん)」などの、船場を舞台にした上方落語の名作はこの時期に作られたものです。

そして昭和の初め、さらに驚天動地のプロジェクトが船場に降りかかります。

「大阪駅から難波までの道をつなぎ合わせて幅40mに拡張し、あたらしい『御堂筋』と名付けてその下に地下鉄を通す」というもの。沿線の商家は立ち退きを迫られ、北御堂(津村別院)・南御堂(難波別院)の両寺院とも境内を削って土地を提供しなければならない……。

このあたりの重要なエピソードを、あのよく通る声で紹介するにあたって、照明を消してプロジェクターで画像を投影するよりも……

「白板を使ってお話しさせてください」

と釈先生が仰ったので、当日は「ナマ白板講義」に切り替えました。

パワポをプロジェクター投影するのは、それはそれで視覚的に効率が良くてええんですが、やっぱりライブで「登壇者」の顔と身ぶり手ぶりの「伝える熱」を感じ取ってほしいですから。

定員が6割増なので当日はこの形でやります。白板は高座の右側に立てる予定。お楽しみに!

画像などの資料は、『アルキメトロ』御堂筋線90周年記念号と共に受講者のみなさんの席上に置きますので、当日はぜひ、学者であり御堂さんの当事者である釈先生のナマ白板講義(私も初めて体験します)をたっぷりとお聴きください。後半の染雀師匠の「宗論」まで1時間45分、ノンストップでいきます。

事務局から、「あと10人で締め切り」と連絡が来ましたので、申込はほんまにお早めに!

https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20230531