‘未分類’ カテゴリーのアーカイブ

楠木新さんの柔らかさとフットワークと眼差しがええなと思う

2025年12月2日 火曜日

担当/中島 淳

チラシの写真はメガネをかけていただいて撮影しましたが、こちらの方が笑顔が映えます

2025年の最後を飾るナカノシマ大学は、大手町のエスタブリッシュメント系出版社から弊社のような大阪のへそ曲がり版元までが大注目する、文筆家・ビジネス評論家の楠木新(くすのき・あらた)さんが登壇してくださる。

楠木さんは、神戸の歓楽街(という表現が相応しい街)新開地・福原の薬局の息子として幼少期から青春時代までを過ごし、京都大学を出て淀屋橋の某銀行を会社訪問したがその雰囲気に「なんか違うなぁ」と引き返し、卒業を1年遅らせて、同じ淀屋橋の比較的風通しが良さそうな某生命保険会社に入社して、定年まで勤め上げた。

カイシャというのは大なり小なり、従業員には「企業の論理」を刷り込んで「同調圧力」を迫ってくる。その某銀行の「圧」はしんどいなと判断されたのだと思う。

「ちょっと違うなぁ」という感覚を大事にすることは、人生のいつの局面でも必要なことなんやなぁと思った。

楠木さんのホームタウンの新開地・福原では「この人いったい何して食うてるんやろ」と思うような大人がごろごろいたそうだが(会社員とか公務員はほとんどいなかったとか)、一様に話が面白く、楠木さんのことを可愛がってくれた。

「街というコミュニティの人間関係」と「企業社会の同調圧力」はぜんぜん違うな、というところを就職する前に感じて、少しでもベターなところに身を置くことができた楠木さんは、「生きもの」としての判断力に優れた人だったと思う。

トークイベントでは質問多数。神戸市須磨区[井戸書店]にて(2025年11月9日)

楠木さんの生命保険会社でのサラリーマン人生については、申し訳ないがさほど存じ上げない。

ただ、40代に入った直後に阪神淡路大震災を経験し、先が見えない状態になって鬱になり、しばらく休職されたことが、楠木新(ペンネーム)という「もうひとりの自分」を誕生させることになったエピソードが心に沁みる。

「もうひとりの自分=楠木新」は、会社勤めの傍ら、50代以上のいろんなサラリーマンや定年退職者を取材し、そこからどんなことが導けるか、文章にまとめていった。

しかし、街でいきなり「お話を聞きたい」と言われて、果たしてあれだけたくさんの人が取材に応じてくれるだろうか……

それを思うと、楠木さんから声をかけられた人が「この人、おもしろそう」「話をしてみようかな」と思ったからこそ、取材でいろんなことを楠木さんに話したのだと思う。

三宮センタープラザ6階の「スペースアルファ三宮」で開催された、[働く悩みを解決するための書店 Work-Books]のトークイベントのゲストとして語る楠木さん。右はWork-Books店主の西澤明文さん(2025年11月24日)

「シニア市場の研究者やコンサルタント」みたいな人は、きっとそこまでの「突撃インタビュー」はしない(というよりできない)であろうが、楠木さんがそれができたのは、一つは幼少期からホームタウンで鍛えられたコミュニケーション力(「コミュ力」という物言いは薄っぺらいな)であっただろうし、もうひとつは話を聞くスタンスが「研究対象」「調査対象」ではなく「自分と同じ当事者」というところにあったからではないか、と思う。

今回のナカノシマ大学のお題は「淀屋橋サラリーマンに『たのしい老後』はあるか」。

本町や梅田は関係ないということではありません(そんなこと誰も思わないけど)。

勤め人として何十年間働いてきた人生が変わった時のことを、ちょっと先取りして、「あっという間にやってくる70歳になっても、自分なりの“おもしろいこと”を見つけて実行できることはどんどん実行しましょう」というお話を、楠木さん自身の新チャレンジのことや、取材で得たいろんな人のヒントも盛り込みながらお伝えする、というものです。

楠木さんが育った新開地・福原は演芸の街。実は子供の頃から「芸人として舞台に立つ」ことが夢だったので、なんと「R-1グランプリ」にも出場したそうだ。

結果は「でも1回戦で敗退したんですよね〜」ということをまた、楽しそうに話しておられる。この人を見ていると、「自分を笑える」というのが、いくつになっても大事な資質やなぁといつも思います。

2025年、けっこう大変な年ではありましたが、締めくくりに、肩の力を抜いてこれからのことを考えたくなる「楠木新」の言葉のシャワーを浴びてください。ええ気持ちにぜったいなります。

お申し込みはこちらから→ https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20251218

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カフェ付きおしゃれ系」ではない強み[正和堂書店]

2025年11月6日 木曜日

担当/中島 淳

11月27日(木)のナカノシマ大学に登壇する小西康裕さんの[正和堂書店]は、大阪市鶴見区鶴見3丁目にある。地下鉄長堀鶴見緑地線「今福鶴見駅」から徒歩3分ほどの幹線通り沿いなので、見つけやすい。

ソフトドリンクの自販機を模した、お薦め文庫本の棚。小西康裕さんは印刷会社にいた頃、販促ツールをたくさん作っていたそうだが、これにはマイった

最近、正和堂書店は「遊び心満載のブックカバー」で注目されているが、この店の強みは「どんな時にも頼りになる、品揃えオールジャンルの街の書店」だ。55年間続いているのはダテじゃない。

4年前に筆者がブログ「街と書店、大阪の場合」で紹介した店内風景は、ほぼそのまんま。180坪の店なのでゆったりしている。

そのココロは、「用事がなくてもふらっと入って時間を過ごし、目についた本があれば買って帰れる」というもの。通路は広いし、車椅子でもベビーカーでもストレスなく回れる。

最近は入り口近くにこのような棚がお目見えして、目を引いている。

一つひとつのパッケージに書かれたコピーにも注目

こちらは珈琲専門店や紅茶専門店とコラボした商品で、お薦めの1冊とカバー、そして「読書の友」であるドリップパックコーヒーまたはティーバッグの紅茶付き。

そして、最近メディアの注目を一手に集めるこちらの「牛乳石鹸カバー」は、レジ横に必ずあるだけでなく、こんな仕掛けもしているから侮れない。

牛乳石鹸共進社の本社は、ここから1kmほど西の城東区今福西2丁目にある。ご当地の地場産業同士のコラボなのだ

 

ここまで用意してもらったら、デカい箱を持ってポーズの一つもしようかな……という気になる。

こうやって写真を並べてみたが、大事なことはやっぱり「本」にまつわる商品ばかり。読書を楽しむ雑貨は増えたけど、雑貨屋さんではなく「街の本屋さん」なのだ。

休日になるとどっとやって来る遠方からのお客さんも、そのことをよく分かってくださっている、と小西さんは言う。

「『親戚の家に行ったような感じ』だとおっしゃるんです」

親戚の家って、おしゃれではないだろうけど安心感が半端ない。テンションも爆上がりはしないだろうけど、ずっとまったりしていたくなる。

康裕さんの弟、店長の悠哉さん。キーストーンの場所にこの人がいるからこそ、常連も一見客も「また来よう」と思うのである

そんな感想を、鶴見区か150m西の城東区に長いこと住んでいる人が言うのならともかく、新幹線や地下鉄を乗り継いでここまでやって来た遠方のお客さんが言う。なかなかおもしろいことだと思う。

そんな本好きたちと接していて、小西さんもお店に対して思うことがちょっと変わってきたという。

「カフェのある書店もいいんですが、あれはTSUTAYAさんの歴史の中でつくりあげられたものですから、ウチがその真似をしてもしょうがないかと。それより、街の本屋にしかできないことをもっともっとやっていきたいですね」

たしかに。

もし弊社が貢献できるとしたら、『大阪市鶴見区の本』とか作れたら、このお店でドカ〜ンと売ってもらえるかもしれない。「街の書店発の本」の可能性は、流行りの独立系書店だけでなく、正和堂書店のようなお店でもきっと有効な商品ではなかろうか。

大阪シティバス「鶴見西口」が目の前! 大阪駅行の36系統は便利です

などと考えつつ、お店を後にして、いつもの36系統のバスに乗ったが……

蒲生四丁目でええ感じの商店街の明かりに心変わりして途中下車し、肉屋さんでコロッケとミンチカツ、玉ねぎフライを、八百屋さんで大根、ししとう、茗荷、アボカド3個を買って(合計で1,000円ちょっと)買い物袋をいっぱいにして再びバスに。

酒場の明かりにめいっぱい後ろ髪引かれたが、それは次のお楽しみにしよう。

ナカノシマ大学で、小西康裕さんがどんな話をしてくれるか、ほんまに楽しみです。

選りすぐりのブックカバーも会場で販売しますので、どうぞお楽しみに! →https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20251127

 

 

大阪コトバのマイスター金水先生が、大阪人=ケチの謎に迫る!

2025年11月5日 水曜日

担当/中島 淳

毎月25日の夜席に天満天神繁昌亭で開催されている「天神寄席」、11月に登場するのは日本語学者の金水敏(きんすい・さとし)先生です

「大阪コトバ」については大阪に生きる私たちの大きなリスペクトを集める先生はナカノシマ大学でもお馴染みですが、2023年秋には北大路欣也、横尾忠則、川久保玲、観世清和らとともに「文化功労者」に選ばれた人でもあります。

言わば「権威」ですが、そのような人を「権威でござい」と奉らないのが天神寄席のおもしろいところ。今回も中入後の鼎談で、髙島先生のツッコミに対して飄々とした「金水節」で応戦されるやり取りが観られるかと思うと楽しみです。

寄席のお題は「けちん坊の柿の種」。出演も小梅、雀太、遊方、坊枝、そしてトリには四代目春団治と、たまらんラインナップなのでぜひ。

金水先生からは、こんなメッセージをいただきました。

私が今年出しました新書『大阪ことばの謎』では、大阪人のステレオタイプとして「守銭奴・けち、食い意地がはっている、おしゃべり、派手好き、やくざ」といったものがあると書きました。とくに「守銭奴・けち」という特徴に関しては、たしかにそういう人もいますが、大阪人は大事なものにはお金をポンと出す、金離れのいい面もたくさんあることも知られています。ではなぜ大阪人は「守銭奴」「けち」と思われているのでしょうか。

その原因は、ひょっとして上方落語にあるのでは、と思って調べてみたら、出るわ出るわ、お金に執着する人たちの噺がうじゃうじゃありました。たしかに大阪は江戸時代以来の経済の中心地、経済観念の発達した商売人がたくさんいましたが、そんな土地柄を誇張して、お金にまつわる噺がたくさんできたのでしょう。そこは落語のことですから、常人の思いも寄らないけちん坊、お金大好き人間がうじゃうじゃ出てきます。落語ならではの底抜けのアホもいますが、一度聞いただけではからくりの分からない知能犯もいます。ままにならない世の中ですが、せめてお金の噺で笑いに笑って、不景気を吹き飛ばしましょう!

 

株価ばかりが高くなるだけで、私らの懐はぜんぜんお寒い限りですが(汗)、でも笑ってたら不景気はどこかに行ってしまいそうな気もしますね。楽しくやりましょう。

当日、会場ではこちらの『大阪ことばの謎』(SB新書・税込1,045円)も販売します。

筆者は天神寄席では受付にいますが、今回はそれに加えて「キンスイ先生本」の売り子もしますんで、この機会にぜひ。受講申し込みはこちらへ→ https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20251125

 

個展とナカノシマ大学、コジマユイさんをダブルで

2025年10月13日 月曜日

担当/中島 淳

建築画家・イラストレーターのコジマユイさんの10月20日(月)ナカノシマ大学登壇に先駆けて、彼女の個展が10月14日(火)〜26(日)の13日間、淀屋橋駅近くの芝川ビルB1 [Mole&Hosoi Coffees]にて開催される。

お題は「イラストで解説! なめりかわ建物フェスのみどころ」。

[Mole & Hosoi Coffees]のHPより

建築好きユニット「わくわく建築」のパートナーである藤沢うるうさんと共に富山県滑川市のアンバサダーであるコジマユイさんが、現地に何度も出向き、旧い日本家屋や学校校舎などにも限りないリスペクトを抱きつつ描いたイラストが展示される。こちらも含めた彼女の画集も多数販売されるからどうぞお楽しみに。

この7月には東京・渋谷で個展「日本統治時代の台北近代建築」を開催したばかりで、最近は描く題材が国内外のさまざまな場所に広がっているので、楽しみな限り。

そして20日(月)ナカノシマ大学では、「わたしが船場の建築を ずっと描き続ける理由」というお題の通り、コジマユイさんの原点ともいうべき「船場」の近代建築物の魅力を、直近の作品解説をしつつあらためて語っていただく。

この人が船場や中之島の名建築物を描きはじめて芝川ビルの[Mole&Hosoi Coffees]で個展を開いてからもう10年が経過しているが、足を運んで描くごとにたぶん「見方」も「味わい方」も変わったと思うので、そんなこともぜひ聞きたいと思っている。

ちなみに、コジマユイさんが140BのHPで2025年1月から連載している『絵で残したい船場の近代建築たち』では、これまでに4つの建物を現地取材のうえ描いてもらった。

建物の名前をクリックしたら読めます。※( )内は竣工年

大阪ガスビルの階段から見える丸窓の前で、同社の方から説明を受けるコジマユイさん。この丸窓も連載で描かれています

第1回……大阪証券取引所ビル(1935年)

第2回……小川香料大阪支店(1930年)

第3回……武田道修町ビル(1928年)

第4回……大阪ガスビル(1933年)

こちらの連載はいずれ、コジマユイさんの著書として1冊の本にまとめる予定だが、取材にご協力いただける建築物の関係者のみなさんや(一社)生きた建築ミュージアム事務局長の髙岡伸一先生にはいつもほんまにお世話になっています。

この場を借りて深く感謝。

ナカノシマ大学では、こちら4つの建物だけでなく、他の建築物や、25日(土)、26日(日)に開催される「生きた建築ミュージアムフェスティバル(イケフェス大阪大阪2025」の、コジマユイさん的楽しみ方も話してもらえるはずです。

質疑応答のコーナーが昨年以上ににぎわうと思いますが、できるだけ時間を取って会場との楽しいやり取りができるようにします。

では、20日(月)は大阪府立中之島図書館でお会いしましょう。お申し込みはこちらで、お早めに!

https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20251020

 

 

 

 

 

 

 

『大阪市商店街の名店ガイド59選』配架してます!

2025年10月10日 金曜日

担当/中島 淳

大阪の街を知る強者ライターたちと一緒に作ったこちらのA4判中綴じ20ページのパンレットは「大阪商店街にぎわいキャンペーン実行委員会(大阪市・大阪市商店会総連盟)」発行の冊子。

現在Osaka Metro各駅、大阪市内各区役所、市民情報プラザ(大阪市役所1階)、大阪市内各スポーツセンター、大阪市サービスカウンター(梅田・難波・天王寺)、観光案内所(大阪・難波・新大阪)などで絶賛配架中でございます。https://www.osaka-nigiwai.com/

デザイン&イラストはOsaka Metroのフリーマガジン『アルキメトロ』や、日本経済新聞の焼酎特集でいつもお世話になっている。神谷利男デザイン事務所の力作で、表紙&本文イラストもすべて神谷さん。

紹介店は各区の区商連さんで「唯一無二のええ店」を選んでもらってその59軒を手分けして取材したのだが、お店だけにピンポイントで行く、という感じではなく、アーケードに入る「前後」の街並みや、自らの「買い物」「飲み食い」も楽しみつつ取材した。

各区の取材担当は以下の通り(敬称略)。

浪速区、天王寺区、阿倍野区、西成区、住吉区、住之江区、東住吉区、平野区、東成区、淀川区(一部)……曽束政昭

旭区、都島区、鶴見区、城東区……浅香保ルイス龍太

西淀川区、此花区、港区、西区(一部)……中島美加

東淀川区、淀川区(一部)……関真弓

福島区、中央区(一部)……道田惠理子(140B)

北区……青木雅幸(140B)

生野区、大正区、中央区(一部)、西区(一部)……中島 淳(140B)

誌面右下・左下の掲載区にちなんだコラムもお薦め。旭区はもちろん「千林商店街のあの歌」についてです♬

いまや商店街と言っても物販や飲食だけでなく、美容サロンやマッサージ&整体、本が読めて勉強ができるカフェ、人力車観光、ガラス細工の教室&工房などほんまに多彩で「大阪の商店街はここまで進んでいるのか!?」を知ることができる。

筆者的には、これまで通りすぎるだけだった生野区の長い長い商店街の名店を知ることができてとてもラッキーだった。あそこはまた寺田町駅か鶴橋駅あたりでチャリンコを借りてのんびり散策したい。

最終ページで別のライターが取材した「サッカー元日本代表・森島寛晃さんお薦めの商店街の店」が、なんと自分が最近何度かお邪魔していた長居商店街の「喫茶りんでん」だったと知って驚いた。

今度行ったら「森島さんも薦めてはりましたわな♬」とパンフレットをお見せして言いたいところである。

誌面に載せる写真は、「できるだけお店の人の姿をメインで」とスタッフに頼んだが、出来上がりを見てやっぱり「商店街こそ大阪の顔やわなぁ」とつくづく感じた次第である。

左は生野区にある、JR環状線寺田町駅から長いアーケードを構成する5つの商店街の4番目「ベルロード中銀座商店会」の和菓子店[あもや南春日 生野本店]の店主、南田孝雄さんと幸代さんご夫妻。

もちろん取材がてら、仕事机の引き出しに入れておく「常備お菓子」をゲットしたのは言うまでもない。

秋と商店街は、ほんまに「ええコンビ」だと思いますので、このパンフレット片手にぜひぷらぷらしてください。

パンフレットが手に入らなくともこちらからダウンロードして全ページ読めます♬

https://www.osaka-nigiwai.com/images/osaka_syotengai_guide2025.pdf

建物のええとこを「可視化」して、仲良くさせてくれる人

2025年10月3日 金曜日

担当/中島 淳

コジマユイさんが描く建築物の絵は、黒ボールペンの線だけで描かれたものがシンプルなものが多い。

モノクロの世界なのに、色とりどりの絵よりも華やかな写真よりも、建物に対する「親近感」が湧いてくるから不思議である。この人の作品を通じて建築好きになった、という人も少なくない。

大阪証券取引所ビルのエレベーター(『絵で残したい船場の近代建築たち』より)

建築物のビジュアル表現にもこんなアプローチがあるのだ、という新鮮な驚きを多くの人に知ってもらおうと、今年の1月から不定期連載で「絵で残したい船場の近代建築たち」をスタートさせて作品を描いてもらっている。

この連載のためにお江戸から来阪して現場を見て描いてもらい、すでに3回アップしていてまもなく4回目がアップされるはずだ(お楽しみに)。

そしてこの10月20日(月)のナカノシマ大学に登壇していただけることになった。お題は「わたしが船場の建築をずっと書き続ける理由」。

すでに半分以上が埋まっているから、こちらもお早めにお申し込みください。

昨年のナカノシマ大学。コジマユイさんは学校でも教えていることもあって、講義にムダがなく話が聞きやすかった(2024年10月17日)

コジマユイさんは「絵でよし、接してよし」の人。

絵のフレンドリーなタッチと人柄が見事にリンクしていて、建築物のオーナーや広報の方と初対面で打ち解けるのがほんまに早くて、取材がほいほいと進む。

何よりもコジマさんがその建築物に本当に興味を持ってくれていることが伝わってくるから、みなさん全力でサポートしてくださる。こちらも見ていて楽しい。

ナカノシマ大学でも作品と建物解説をよく通る声で披露してくれると思います。質疑がたくさんあると、サービス精神にターボがかかると思うので、みなさんよろしくお願いします。

会場では、10月25日(土)・26日(土)に実施される「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2025」のガイドブック『OPEN HOUSE OSAKA 2025』だけでなく、コジマユイさんが編集発行する作品集も販売します。お楽しみに。

https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20251020

 

 

 

 

スズキナオさんが環状線の駅前で「飲む」のは酒だけではない

2025年8月17日 日曜日

担当/中島 淳

残暑(しかも猛暑)お見舞い申し上げます。

スズキナオさん(写真)と編集の松村貴樹さんは鼻が利くのだろう。ぶっつけ本番でこんなええ店にたどり着く能力がスゴい(弁天町駅[立呑み 木村屋])©️インセクツ

 

いよいよこの木曜日(21日)はナカノシマ大学で、『大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる』(インセクツ)の著者・スズキナオさんと編集者の松村貴樹さん(インセクツ代表)のコンビが、私たちが知ってるようで知らない、JR大阪環状線駅前の「楽園」について、とっておきの取材秘話を披露してくれるのだが、この本を読み返してみて、改めて「へえ〜」と発見したことがあった。

環状線の駅前は、昭和の終わりに誕生した「大阪城公園駅」や平成になって新設された「今宮駅(関西本線の今宮駅は1899年だが)」以外は、少なくとも半世紀以上の歴史があるし、19駅のうち半分以上の天王寺、桃谷、玉造、京橋、桜宮、天満、大阪、福島、野田、西九条の10駅は明治(しかも19世紀)生まれ。当然125年以上経っている。

昭和7年(1932)開業の寺田町駅の駅名標が2015年、壁面の塗装作業の最中に発見。2番ホーム(外回り)に展示されている©️インセクツ

そんな駅前ゆえに歴史は半端ないのであり、取材者にとっても編集者にとっても「掘り甲斐」のある街なのだ。19駅前の散策はほんまに大変だったとは思うが、読む方としては楽しいことこの上ない。

そして、「降りて歩いて飲んでみる」の「飲む」ほうは期待に違わぬ店が駅ごとにこれでもかこれでもかと登場するが、スズキナオさんはもう一つの「飲む」に対しても貪欲だった。そして「う〜ん、目のつけどころが違うなぁ」と思わせてくれた。

意外であったけど「豆乳」である。酒場や食堂だけでなく、駅前(もあるけど結構遠いところにある)の豆腐屋さんにもこの本の中で何度となく出向いていて、そこも編集者の松村さんが写真に押さえている。彼も一緒に飲んだのだろうか。

JR野田駅と阪神野田駅・地下鉄野田阪神駅を結ぶ「野田新橋筋商店街」にある[豆房] ©️インセクツ

森ノ宮駅の東側、疎開道路をさらに東に入った[斉藤豆腐店]は、残念ながら2024年夏で閉店してしまった ©️インセクツ

 

 

 

京橋中央商店街、創業55年の[のとや豆腐店]©️インセクツ

寺田町駅を5分ほど東へ行ったところに入り口のある、長〜い生野本通商店街。そこから枝分かれした「栄通商店街」にある高部商店 ©️インセクツ

 

 

天王寺駅の南「あべのベルタ」の地下[まるしん豆富店]©️インセクツ

 

スズキナオさんは必ず店頭で豆乳を飲み(酒を飲む前に、というのがええ感じだ)、豆腐やお揚げさん(たぶん)を買っているようだが、いろんな媒体で見る「酒場めぐり」のライターというよりも、「生活者」らしくておもしろい。

お江戸から大阪市内に引っ越してきたスズキナオさんにとっては、「住む街」としての良さを判断するバロメーターが「良い豆腐屋さんがある界隈は暮らしやすい街だ」(『大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる』より)なのだ。

そこに「オーガニック」とか「ヘルシー」とかの言葉を使わず、「街の豆腐屋が近くにある」ことの幸せを力説している。こういうところに、スズキナオさんの人気の秘密があるように思う。

取材先にも読者にも近いし、絶対に「知ったかぶり」とか「俺に言わせりゃ」がない人なのだ。

『大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる』で、「豆腐屋さんで豆乳を飲む」という意外なアプローチも発見することができて、ちょっとラッキーだった。

知らない街で豆腐屋を見つけたら豆乳を1杯いただく。酒を飲まない日でもええような気がする。

……と書いている間に、いよいよナカノシマ大学の開催日が迫りました。8月21日(木)にお会いしましょう。

申し込みはお早めに→https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20250821

最初の駅を見て唸った、スズキナオさんの「大阪環状線」本

2025年8月6日 水曜日

担当/中島 淳

大阪での移動は地下鉄が多いけれど、そうすると目的地に着くまでのプロセスが見えない。だから、ちょっとおもしろくない。

電車に乗った街から、目的地の街までの間に「徐々に景色が変わっていく」というのが、とくにコンパクトシティの大阪ではお薦めの体験なのだ。

40分ぐらいで一周できて、生駒山や六甲山、二上・葛城・金剛山が見えて安治川や木津川、寝屋川も渡って、高層ビル街も工場も商店街も盛り場も住宅街も車窓からよく見える大阪環状線というのは、ほんまに「よう出来ている」路線だと思う。

加えて、「どの駅前にも、湯気の立つウマいものがある」ことが決定的な魅力だろう。

本体2,200円+税。もちろんナカノシマ大学当日に販売します!

8月21日(木)のナカノシマ大学に登壇するスズキナオさんがインセクツから上梓した『大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる』は、編集者でインセクツ代表の松村貴樹さん(共に登壇)と環状線の全19駅を「事前アポ取りなし、打ち合わせなし」でぷらぷらと歩き、立ち寄り(飲み)、また歩き、立ち寄り(飲み)……を繰り返したエッセイだ。

「そうそう、〇〇駅前はこんな感じやった」とか、「環状線とは何だかんだ言うても付き合い長いよなぁ」ということを思い出させてくれて、「こんど、あの商店街歩いてみたろ」という気持ちに、自然となる。

駅ごとにドラマチックな出来事が待っている訳では決してないが、スズキナオさんの文章を読むと、「どの駅前でも、楽しい客として普通に歓迎してくれる街がある」と分かり、改めて「大阪はフトコロの深い街だな」だと感じさせる。

著者の現場での佇まいが「ええ感じ」なのはこのイラストが物語っている。

『大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる』より新今宮駅前の探索。初めての店でも好奇心たっぷり&楽しげに振る舞うスズキナオさんは、どの店からも「上機嫌なお客」として歓迎されたのでは ©️スケラッコ

スズキナオさんは東京生まれ東京育ちで、大阪での生活はまだそんなに長くないと思うが、「大阪は“よそもの”に優しい街」であることが文章から伝わってくるし、彼自身がいろんな店を「まずは受け入れる」というスタンスで楽しんでいる。

変にスカしたり、知ったかぶりしたりしていないのだ。

筆者も(大昔だけど)九州から来た“よそもの”なので、「大阪に住もうかどうしようか」と迷っておられる方はぜひ、この大阪環状線や他の著書を読んでじっくり考えてほしい。

とくに筆者が「おお!」と思ったのは、この本の最初に「野田駅」を持ってきたこと。

こういう本の場合、どうしてもトップに「売れ筋の街」を持ってきたがる書き手なり編集者なりが必ずいる(その誘惑にはなかなか抗しがたい)。

まず京橋や鶴橋、新今宮、西九条などの「私鉄連絡主要駅」か、福島や天満を持ってきてインパクトを出す、という手もあるが、あえて快速が停車しない(けどとても環状線らしい)野田をまず持ってくるとは、この企画に対して著者も編集者も自信満々であることを感じさせる。

「大阪の駅前酒場の特集でなく、環状線の特集やで〜」である。

この本はナカノシマの会場でMoMoBooksさん(『大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる』p25に登場)が出張販売してくれるが、前もって読んでからナカノシマ大学へ行けば、また別の楽しみが広がると思う。

当日は、本には出ていない環状線駅前の楽しみ方もお二人がアレコレ指南してくれるはずで、会場とのキャッチボールも楽しみです。

ナカノシマ大学の申し込みはこちらへ。ちょうど半分を超えたところ。ぜひ!

https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20250821

 

7月の140B出張販売の予定

2025年6月26日 木曜日

7/5(土)11~16時

先月に続いて、ブランチ大津京(大津市)のSELFBOOKSさんの「カギ開放day」に店頭ダイレクト販売に伺います。今月は地元滋賀県彦根市のサンライズ出版さん、先月と同じく京都の英明企画編集さんの3出版社でお待ちしています。
そしてもちろん前回好評だったNami.さんの「本の交換所」も開催されます、いろいろな本の楽しみ方がみつかると思います。ぜひ遊びに来てください。

 

SELFBOOKさんはもともと無人のシェア型古書店という実験的な店舗、いわゆる大型書店とも町の本屋さんともちがう新しいタイプの店舗です。先月も普段はID登録者のみ入店できる店内に興味持たれるお客様が多かったです。

 

7/19(土)~20(日)10~17時

毎年恒例のBOOK MARKET 2025に今年は「英明企画編集」さんとの合同ブースで出展します。BOOK MARKETは今年で15回目の説明不要の人気の本の販売会、全国74の出版社と本と出会えます。そしてスタンプ集めてオリジナルトートバックもらって下さい。

浅草・台東館 7階北側会場
東京都台東区花川戸2-6-5

3連休の前半2日間です、当日は参議院選挙もあります、投票ついでにぜひお出かけ下さい(投票割りも予定しています)。初参加「英明の松下さん」の小気味よいトークを聞きにも、たくさんのお越しお待ちしております。(青木)

 

マクミランさん、23(月)はMBSラジオ「松井愛のすこ〜し愛して♡」に出演

2025年6月19日 木曜日

担当/中島 淳

ピーター・J・マクミランさん登壇のナカノシマ大学「2025年夏、大阪で知るあたらしい百人一首の世界」がいよいよ来週、6月27日(金)に迫りました。すでに7割が埋まっていますので、みなさんお早めにお申し込みください。

マクミランさんは京都嵯峨の、小倉山の麓に住んでおられます。そこから大阪に来るだけでも結構「旅」ですが、来週は三度、来阪されるようです。

〈その1〉

6月23日(月)の午前はMBSラジオ「松井愛のすこ〜し愛して♡(月〜金曜10:00から)」に、わざわざナカノシマ大学のプロモーションも兼ねて茶屋町までお越しいただきます。マクミランさんは11時過ぎから登場されるので、どうぞお楽しみに。

人気者の松井愛アナウンサーのことだから、フレンドリーかつぶっちゃけた質問でぐいぐい聞いてくると思いますが(百人一首のネタは豊富に持っていそう)、それを手練れのマクミランさんがどのように捌くかが聞きどころ。

ユニークな切り返しを楽しみにしておきます。

何よりも、マクミランさんの声と滑舌の良さをたっぷりとお楽しみください。

〈その2〉

27日(金)の講座本番を前に、またまた嵯峨の小倉山の麓から猛暑を押して大阪の「百人一首」の場所を訪ねるようで(たぶん海ぎわかと)、そこで「現場」を体感した興奮のままに翌日、中之島図書館に乗り込んで来られるそうです。

なので、かなり期待できること間違いありません。

ほんまにお忙しい人なので、この機会をお見逃しなく。

申し込みはこちらから。では、27日(金)にお会いしましょう。

https://nakanoshima-daigaku.net/seminar/article/p20250627