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拝啓・古地図サロンから⑥

2018年7月13日 金曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年6月25日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

先日、地震がありました。まだ一部の交通機関が復旧作業中ですが、お変わりありませんか。被害にあわれた皆様にはお見舞い申し上げます。

本日、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、午後3~6時、第6回目の古地図サロンをひらきました。今回は開催期間のちょうど半分、折り返しの月に当ります。地震後の梅雨空の晴れ間を見上げつつ、年末まで無事にサロンが進行できるよう願うばかりです。

先月もお知らせしたとおり、10月までは予定通り毎月第4金曜にサロンを開催します。11月はお休み。12月の最終回は、今のところ第1金曜で開催を検討しています。最終回といっても特別なことはしないと思いますが、もしかしたらするかもしれません。とりあえず日程のみ次回お知らせします。今しばらくお待ちください。

さて、今日は前回に続いてゆったりした時間の流れるサロンになりました。何度か来られてなじみになった方が、ぽつぽつと来られて、珈琲など飲まれたあと、サロン・コーナーで展示の古地図を眺め渡し、目にとまった図の前で立ち止まり、しばらく見入って、少しお話して、また見入って、少しお話して、次の図を見て、気がすんだら帰られる。このサイクルの、のんびりした繰り返し。私一人になる時間帯はちょっとだけで、みなさん、阿吽の呼吸で来場の時間帯をずらしておられるようです(そんなわけはないのですが)。

サロンにはほとんど(全員かもしれません)の方が一人で来られて、一人で帰って行かれます。話はたいてい私とされるのですが、来会者同志でうちとけて話される方もいます。質問のかたちで話しかけてこられることが多いですが、疑問を明らかにしたいというよりも、古地図をはさんでちょっと人と会話をしてみたいという雰囲気でしょうか。

中には、私が気づかなかったことを教えてくれる方もいます。今日も吉田初三郎の鳥瞰図に載っているお寺に番号が記されているのを見つけて「これは何でしょう」と尋ねてこられた方がいました。よく見ると、確かにそういうお寺がいくつかあって、他のお寺は番号無しです。どういうわけかと私も首を傾げましたが、おそらく西国三十三所の札所の番号でしょう、という結論に。「よくこんな小さい数字を見つけられましたね」と言うと、その方はうれしそうな顔をされました。

来会者のお名前をきいたり、住所などを記帳していただいたりはしていません。毎回来られても、次回も来られるとは限らないので、どの方とも今日が最後のつもりで接しています。私の知人にはあまり声をかけていませんので、来られる方もほとんどがサロンで初めて知り合った方たちです。サロンでだけお会いして、古地図をはさんでの会話を楽しんで、それだけのサロン。そこが、いいのです。続いているのが不思議に思えてきますが、これもやはり古地図に秘められた力のなせる技でしょう。

ジャンケンは前回に続いて、なんとなんと、またも私の全勝でした。今日の対戦者の中には「通算5連敗中です」という方もいました。勝つ気が全然ないと、反対に勝ってしまうみたいです。あまりに気の毒なので、今回も特別に本日のジャンケン地図(大正の広重・吉田初三郎の鳥瞰図・挿絵が多数載ったベストセラーのガイドブック)をみなさんに見ていただきました。次回は勝って、正々堂々とご覧ください。

カフェ(サロン会場)の松田店長さんから『大正・昭和の鳥瞰図絵師 吉田初三郎のパノラマ地図』(別冊太陽)をいただきました。古書店でしか入手できない貴重本。ありがとうございました。本日の展示に加えたあと、自宅でゆっくり拝見いたします。

 

サロン終了の午後6時。御堂筋は半袖姿が目立ちます。帰宅の人、仕事中の人、飲みに行く人、それぞれの顔が行き交うガスビル前。ちょっとだけ蒸し暑いような6月の夕暮れ。明日の天気予報は雨だそうです。

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。

鳥瞰図ミニ特集(第3弾)
「日本鳥瞰近畿東海大図絵」昭和2年(1927)吉田初三郎・作
「日本鳥瞰中国四国大図絵」昭和2年(1927)吉田初三郎・作
「日本鳥瞰九州大図絵」昭和2年(1927)吉田初三郎・作
「箱根名所図絵」大正6年(1917) 吉田初三郎・作
「UNZEN」大正10年(1921)吉田初三郎・作
「鉄道旅行案内」大正10年(1921)
※全300頁余の本。鳥瞰図・挿絵は吉田初三郎・作
「古京飛鳥路とその周辺」昭和中頃 井沢元晴・作
「京都府蝅葉図絵」昭和4年(1929)金枡長観・作
「びわ湖八景めぐり」昭和初期 京阪電車発行
「近畿名勝遊覧・大阪市街地図」大正7年(1918)
「最新交通遊覧案内地図」昭和9年(1934)
「日本遊覧旅行地図」昭和11年(1936)高橋勝・校閲

 

以上12点、すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

★鉄道旅行案内 大正10年(1921)が本日のジャンケン地図でした。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

なお、本も5冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章(夏の街歩きは給水を忘れずに)
『大阪古地図パラダイス』本渡章(吉田初三郎・作の大阪府鳥瞰図が付録)
『古地図が語る大災害』本渡章(南海トラフ大地震、上町断層地震、どっちも怖い)
『大正・昭和の鳥瞰図絵師 吉田初三郎のパノラマ地図』別冊太陽(初三郎の鳥瞰図がたっぷり)
『江戸切絵図散歩』池波正太郎(江戸の2次元ウォークにぴったり)

 

古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、毎月第4金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。途中参加・途中退場オーケー、古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

では、次回サロン(7月27日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年6月22日
本渡章

★本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

第7回は7月27日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

【イベント】本渡章さん『鳥瞰図!』発売記念イベント一覧

2018年6月28日 木曜日

本渡章さんの最新刊『鳥瞰図!』の発売を記念したイベントが各地で開催されます。大阪だけでなく、東京にも登場。読者のみなさんとお会いできるのを楽しみにしております!

 

※詳細が決まったものからアップしていきます。

 


9/13(木)|紀伊國屋書店新宿本店

紀伊國屋書店新宿本店トークイベント
「鳥瞰図絵師・吉田初三郎の人生」

大正2年(1913)、デビュー作となる「京阪電車御案内」が時の皇太子(のちの昭和天皇)の目にとまり、お誉めの言葉を賜ったことから鳥瞰図絵師としての人生を歩み始めた吉田初三郎。大胆なデフォルメやわかりやすさを重視した作風は、大観光時代の旅行ブームに沸く日本人を魅了し、鳥瞰図ブームと言える流行をつくり出しました。

まさに「時代の寵児」と言える初三郎は、日本にとって鳥瞰図の父と呼ぶにふさわしい存在です。その人生や人物像を解説すると共に、東京周辺が描かれた鳥瞰図もたっぷりご紹介!本渡さんのコレクションの中から、選りすぐりの華やかな作品を実際にご覧いただきます。

日時:9/13(木)19:00〜20:30(18:40開場)
会場:紀伊國屋書店新宿本店9階イベントスペース
参加費:500円 定員:50名

◎終了しました。お越しくださったみなさん、ありがとうございました。

 


7/28(土)|東京カルチャーカルチャー

スリバチナイト6

恒例、真夏のトークバトル、スリバチナイトがこの夏も実現!東京スリバチ学会設立15周年記念トークイベント!! 今や全国に拡散し、ノリノリの東京スリバチ学会も設立15周年! 今年はオリジナルのメンバー、東京スリバチ学会の皆川会長・石川副会長そして大山顕氏の3氏に加え、6月に『鳥瞰図!』を出版した本渡章氏をゲストに迎え、トークバトルを行います。まち歩きが趣味の方、そして地図好き・地形萌えの方々など、全員集合です!!

出演:皆川典久(東京スリバチ学会会長)、石川初(東京スリバチ学会副会長・GPS地上絵師)、大山顕(住宅都市整理公団 総裁・デイリーポータルZ)、本渡章(地図研究家、鳥瞰図研究家)ほか
日時:7/28(土)18:00〜(17:00開場)
会場:東京カルチャーカルチャー
参加費:前売チャージ券2700円(税込・要1オーダー)、当日チャージ券500円増

◎終了しました。お越しくださったみなさん、ありがとうございました。

 


7/20(金)|大阪工大OITタワー

紀伊國屋書店梅田本店トークイベント 「鳥瞰図絵師・吉田初三郎の人生」

大正2年(1913)、デビュー作となる「京阪電車御案内」が時の皇太子(のちの昭和天皇)の目にとまり、お誉めの言葉を賜ったことから鳥瞰図絵師としての人生を歩み始めた吉田初三郎。大胆なデフォルメやわかりやすさを重視した作風は、大観光時代の旅行ブームに沸く日本人を魅了し、鳥瞰図ブームと言える流行をつくり出しました。まさに「時代の寵児」と言える初三郎は、日本にとって鳥瞰図の父と呼ぶにふさわしい存在です。その人生や人物像はどのようなものだったのでしょうか。本渡章さんに解説していただくと共に、本渡さんのコレクションの中から、初三郎の初期から全盛期にかけての華やかな作品を実際にご覧いただきます。

日時:7/20(金)19:00〜20:30(18:45受付開始)
会場:大阪工大OITタワー201号室
参加費:500円 定員:50名

◎終了しました。お越しくださったみなさん、ありがとうございました。

 

 

【新刊情報】本渡章『鳥瞰図!』が発売されます

2018年6月20日 水曜日

『鳥瞰図!』

定価:本体1,600円+税
判型:A5判
頁数:192ページ(オールカラー)
発刊:2018年7月3日

 

 

 

明治36年(1903)、ライト兄弟による人類最初の動力飛行機が大空を舞いました。その10年後、ある日本の絵師が1枚の鳥瞰図を発表した。のちに「大正の広重」と呼ばれることになる吉田初三郎です。初三郎の登場をきっかけに、やがて日本に空前の鳥瞰図ブームが訪れます。遊覧旅行の世界的な流行の波にも乗り、列島を空から見下ろす鳥瞰図は人々の心を広大なパノラマへと解き放ちました。

空前の鳥瞰図ブームはなぜ起きたのでしょうか。その背景には、飛行機の登場の他に、鉄道路線網の発展とそれが可能にした旅行ブーム、博覧会の流行など、さまざまな要素がありました。つまり、鳥瞰図は20世紀日本の風景や社会を色濃く反映しながら発展していったメディアなのです。

カバーにも使用している「日本鳥瞰近畿東海大絵図」(本渡章蔵・1927年)

 

また、空から見下ろす=鳥瞰するという手法は、鉄道路線図・交通案内図など隣接するジャンルに取り入れられ、互いに影響し合いながら進化し、領域を拡大していきました。こんなところにも鳥瞰図が使われているのかと驚くほど、その用いられ方には豊富なバリエーションがあります。

東京・横浜・名古屋、大阪といった大都市を描いた鳥瞰図はもちろん、伊勢や島根・広島などの観光地も含め、北は北海道から南は長崎まで、この本では日本全国のさまざまな鳥瞰図を紹介しています。図版点数は約100点。まさに盛りだくさん、見ごたえたっぷりの内容です。

 

◎紀伊國屋書店梅田本店にて
本渡章さんのトークイベントを開催!

「鳥瞰図絵師・吉田初三郎の人生」
お申し込み・詳細はこちらから

 

 

拝啓・古地図サロンから⑤

2018年6月6日 水曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年5月25日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

ゆっくり歩く御堂筋、今日は何のイベントか、ゆるゆる走るゴーカートを見かけました。みなさま、お元気でいらっしゃいますか。

本日、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、午後3~6時、第5回目の古地図サロンをひらきました。1年間の予定で始めたサロンですが、月日が経つのは早いものです。そう思いつつカレンダーを見ていると、重大事に気がつきました。サロンは毎月第4金曜開催なのですが、なんと11月のその日は祝日でカフェはお休み。さらに12月のその日も年末休みに入るとのこと。どうしたものかと考えましたが、今のところわかりません。とりあえず、11月のサロンはお休みにして、12月の初めか中旬に最終回を催そうかと、そこまで思案したところです。ちゃんと決まりましたら、あらためてお知らせいたします。しばしお待ちを。

さて、本日は静かな一日になりました。ぽつぽつとお客さんはお見えになりましたが、私一人の時間帯もあり、その間は古地図を眺めたり、文庫本を読んだりしました。じつを言うと、こういうのが、サロンを始める前に頭に描いていたイメージで、今までが予想外の展開でした。こんなに来会者があるとは思わなかったというのが正直な感想です。そういうわけで、今回はのんびりしたペースで時が経ち、そのぶんお話もいろいろとできました。

いつも思うことですが、何を面白いと感じるかは人によってまちまちです。しかし、まったくバラバラなのかと言うと、そうでもなく共通しているところがある。矛盾するようですが、本当です。サロンでは毎回、古地図を展示していますが、どれに興味を持つかは人によって違います。それでも、話をしてみると、古地図を通して感じとっている面白さには共通したものがあるのです。

例えば、今日の来会者から耳にした言葉の中に、「あの頃はこうだったんですね」という一言がありました。明治時代のある古地図に見入りつつ、とてもしみじみとした口調で言われたのです。それがその方の面白がり方だったわけです。来会のみなさんは昭和から平成の生まれだと思うのですが、明治の古地図が示している「あの頃」をじっさいに見たわけではないのに、まるで思い出を懐かしむかのように愛でている。不思議なことですが、人にはどうも、自分が知らない過去の記憶を楽しむ能力があるのですね。古地図が、それを引き出してくれる。耳を傾けていると、具体的な話の内容は人によって異なりますが、結局はみなさん、自分の知らない「あの頃」を楽しんでいるのです。

変なことを書いてしまいました。でも、こういう話はこの場以外に書く機会がなさそうなので、とりあえず書いておきます。これを読まれているあなたは、どう思われますか。静かな一日もいいものです。今日のサロンの空気が、これを書かせてくれたのだと思います。

本日のジャンケン地図は、なんと私の全勝でした。申し訳ないので、挑戦してこられた方には、その意欲にお応えして、ジャンケン地図をお見せしました。本日の挑戦者はラッキーでした。

サロンが終了しても、まだ明るい御堂筋でした。だんだん日が長くなってきます。駅に向かって歩いている間に少しずつ灯がともりはじめました。この感じ、好きです。

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。

●鳥瞰図ミニ特集(第2弾)
「第5回内国勧業博覧会」明治36年(1903)
「大日本大阪名所廻双六」明治31年(1898)
「東京日日新聞日露戦争地図」明治37年(1904)
「御本山御遠忌記念京都明細地図」大正元年(1912)
「神戸市案内絵図」しんび堂・作 昭和初期
「吉野山名所図絵」香陽・作 昭和2年(1927)
「三朝温泉案内図絵」金子常光・作 昭和3年(1928)
「西国三十三所御開扉」昭和3年(1928)
「摂州箕面山瀧安寺全図」昭和4年(1929)
「小豆島八十八箇所霊場案内絵図」昭和17年(1942)

 

以上10点、すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

★「御本山御遠忌記念京都明細地図 大正元年(1912)・大丸呉服店発行」のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

なお、本も3冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
(オールカラー・図版多数の最新刊です)
『大阪古地図パラダイス』本渡章
(吉田初三郎作の鳥瞰図が付録です)
『地図集』董啓章
(どこにもない街、どこにもある街。地図による奇想小説集)

 

古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、毎月第4金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。途中参加・途中退場オーケー、古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

では、次回サロン(6月22日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年5月25日
本渡章

★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第6回は6月22日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

【新刊情報】『ザ・古墳群』いよいよ発売!

2018年5月11日 金曜日

『ザ・古墳群
〜百舌鳥と古市 全89基』

定価:本体1,500円+税
判型:A5判(ビニールカバー装)
頁数:224ページ(オールカラー)
発刊:2018年5月21日
協力:堺市、堺市博物館、藤井寺市、羽曳野市、
百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進本部会議

 

 

この本は、2017年に世界遺産登録国内推薦が決定した、大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」にある全89基の古墳と、地元の街を歩いて楽しめるガイドブックです。「学術書」でも「解説書」でもなく、それぞれに名前と歴史があり、かたちが違う89基の古墳を現地で見て、登って、体感して楽しむことが目的です。


89基の古墳には、「立入禁止」になっている天皇や皇后の「陵(みささぎ)」も10基以上ありますが、逆に墳丘に上がることができて、地元の「行楽地」になっている古墳もまた10基以上あります。またスーパーの裏手、学校の構内、工場の敷地内、高速道路の高架下、住宅のきわにもある古墳は、得も言われぬ不思議な光景を創り出していますが、それらをライヴな写真で紹介しています。百舌鳥(堺市)・古市(藤井寺市・羽曳野市)をそれぞれ6つのエリアに分けた詳細な地元マップとも掲載しており、使い勝手はバツグンです。

取材には、百舌鳥44基=橘泉さん(堺市博物館学芸員)、古市45基=山田幸弘さん(藤井寺市世界遺産登録推進室室長)という2人のエキスパートが同行しました。古墳のことを知らない読者にもわかるように懇切丁寧な読みやすい解説を掲載。さらには全古墳の「航空レーザー測量図」などの情報も掲載し、ダイナミックに古墳の魅力を体感することができます。

 

また、古墳と共に発展してきた地元の神社仏閣や教育文化施設、古墳の地元らしい店などもご紹介。現地で古墳を案内してくれる観光ボランティアガイドやレンタサイクル、空から古墳が見られる遊覧飛行、近ごろ話題の古墳イベントなどの情報もてんこ盛り。交通アクセスが便利な大阪近郊の住宅地でありながら歴史が深い、百舌鳥・古市という「街」を歩きたくなるガイドです!

 

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拝啓・古地図サロンから④

2018年5月11日 金曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年4月27日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

ぽかぽか陽気の午後、かすかな風が心地よい御堂筋です。みなさま、お元気でいらしゃいますか。

本日、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、第4回目の古地図サロンをひらきました。2回目以降はリピーターの方の来場がほとんどなのですが、今日は新しい参加者がお一人のみで、ぼちぼち何かPRを考えたほうがいいのかな、という感じになってきました。ただ、少人数になるのは悪いことばかりではなくて、落ち着いてゆったり過ごしていただける一面もあるので、もうしばらく、様子を見ようかなと思っています。

4回目になって、気のついたことがあります。これまでのところ、サロンに来られる方は全員がお一人さまなのですね。不思議といえば不思議ですが、それはそうかもしれないと妙に納得してしまうところもあります。古地図とは孤独を愛する人の趣味なのか。同好の人が周りにいないだけなのか。あるいは、これまでが単なる偶然で、次回は同伴、団体の来場がどっと増えるのか(なさそうな話ですが)。私としては、お一人さまで気ままに来られて、自由にくつろいで、好きなだけ居て、気がすんだら帰るという利用の仕方が、サロンの基本イメージだったので、予想どおりの経過です。気にしていません。来場者数の多い少ないも、実はあまり気にしていません。たくさん来ていただければ、もちろんうれしいのですが、サロンという場では大事なことがほかにある気がするのです。

今日は、サロンのオープン前から来られて、私が地図の展示など準備しているのを見て手伝ってくださる方がいました。3時間のサロン開催中、いつもにも増して熱心に古地図を見ていく方が多く、もうひとつ言えば、珍しいことに女性の来場が男性を上回った日でもありました。同じことをやっていても、その日によって空気は少しずつちがっています。今日の空気は今日だけのもの。その日に来られた方たちとのあいだで自然にできあがったもので、再現は二度とできません。文章でお伝えしようとしても、限りがあります。このブログの読者で、まだサロンにお越しでない方も、よければ一度、空気を吸いに来てみませんか。別に古地図の話をしなくてもかまいません。サロンはマニアの集まりではありません。私はいつも本の中で、古地図はとても人間的なメディアだと書いていますが、サロンもそのような場だと考えています。

とはいえ、古地図の話ももちろんいたします。今回の展示の中心は「鳥瞰図」でした。じっくり覗きこんでいく方が多かったのは、各地の美しい風景を絵画のように描いた作品の力でしょう。鳥瞰図はすべて原図(オリジナル原版の地図)で、特に色合いの鮮やかな図には立ち止まって見入る方が目立ちました。次回(5月25日)の展示も鳥瞰図を特集する予定です。今回とはまたちがう趣きの作品を用意いたします。一方で、常設の復刻地図の方も時間をかけて見ていかれる方が多かったのですが、それは展示の仕方を変えたからでしょう。復刻地図は台紙入りのビニールに入れるようにしましたので、手にとって見やすくなりました。

恒例のジャンケン地図は、円山応挙原画の「大坂旧城之図」でした。内容が少し異なる2種類の図があって、一方は大正時代発行、もう一方は昭和の天守閣復興記念阪です。これも好評でした。ほかにも大正時代の平和記念東京博覧会の会場鳥瞰図2点が、「ウォーリーを探せ」的な面白さで、みなさんで輪になって囲んで見入る場面がありました。お一人さまで来られても、会話が自然にはじまるのも、古地図があいだをとりもってくれるからでしょう。

終了はいつもよりちょっと遅くなりました。片づけを終えて大阪ガスビルを出ると、黄昏の御堂筋でした。この時間帯は、街角が一番きれいに見えるマジック・アワーです。

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。

 

●鳥瞰図ミニ特集
「実用新案・日本鉄道パノラマ地図(大正12年・1922)
「日光山両社真図(明治33年・1900)
「大阪旧城之図」円山応挙原画・林基春筆写(昭和6年・1931)
「大阪旧城之図」円山応挙原画・福島豊次郎編(大正11年・1922)
「最新式大東京地図」裏面「平和記念東京博覧会会場鳥瞰図」(大正11年・1922)
「平和記念東京博覧会会場全景」(大正11年・1922)
「箱根名所図絵」吉田初三郎作(大正6年・1917)
「UNZEN」吉田初三郎作(大正10年・1921)
「比叡山御遊覧のしほり」吉田義人作 昭和初期
「近畿名勝遊覧・最新実測大阪市街地図」(大正7年・1918)

 

以上10点、すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

★「大阪旧城之図」2点のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

なお、本も4冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
(オールカラー・図版多数の最新刊です)
『大阪古地図パラダイス』本渡章
(吉田初三郎作の鳥瞰図が付録です)
『烏有此譚』円城塔
(言葉に羽根が生えた小説。鳥瞰図を連想)
『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』川上未映子
(鳥瞰を音にしたらすこん、かも。頭の中で鳥が羽ばたくエッセイ集)

 

古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、毎月第4金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

では、次回サロン(5月25日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年4月27日
本渡章

★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第5回は5月25日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

拝啓・古地図サロンから③

2018年3月28日 水曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


 

☆2018年3月23日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

桜咲く季節となりました。窓の外を行く人の足どりも明るく軽い御堂筋です。みなさま、お元気でいらしゃいますか。

本日、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、第3回目の古地図サロンをひらきました。1回目からお越しの方が数人お見えになり、新しく参加の方の方も数人おられ、古地図を見ながら歓談されたほか、いま執筆中の本(ナカノシマ大学で進行中の講座の書籍化)に載せる鳥瞰図10数点の撮影も行なわれました。鳥瞰図とは3Dタッチの絵のような地図です。今回はサロン展示の古地図に加えて、鳥瞰図が午後のひとときに華やかさを添えてくれました。

いつもどおり3時にサロンをオープンしますと、まもなくカメラマンの浜田さんが登場。先に来ていた編集者の大迫さんと息のあったコンビで、次々と鳥瞰図の撮影がはじまりました。いずれも戦前の絵師たちが技を尽くした美しい鳥瞰図ばかり(乞うご期待)。著者の私も次の本の完成を楽しみにしています。撮影がすすむ間に、サロンにも来訪者がぼつぼつ。珈琲やジュースを飲みながら、テーブルに広げた本日の展示古地図をのぞきこんだり、隣の人としゃべったり。いつもの時間が流れていきます。

本日の展示のトピックは蒸気機関車全盛期の鉄道地図のミニ特集。鉄道というだけでそこはかとないロマンが香るのは、昔も今も変わりなく、特に蒸気機関車があたりまえに走っていた頃の鉄道地図には、旅することへの憧れが、路線図はもちろん山と海の街々の風景、名物紹介の広告や印刷の色合いにまでにじみ出ていて、味があります。いわゆるレトロ感覚と呼ばれているものの中身は、かつての人々が感じた心情が、こういう機会をとおして、今の人に伝染することなんでしょうね。来場者のどなたかが、「この鉄道地図と同じ色の図を昔、駅で見たことがある」と言われてましたが、そういう記憶を呼び覚ます力が古い地図にはあるのです。

鉄道地図5点のうち「最新大阪電車地図」は路面電車の市電が市内交通の主役だった頃の路線図です。これが本日のジャンケン地図(ジャンケンに勝った人にお見せします)。今回も勝率は5割でしたが、なぜか私がジャンケンに強いというイメージができあがっているのは、惜しくも敗れた人の嘆きの深さを物語っているようです(くやしかったら勝ちましょう)。

今日はそのほかに大正時代の大阪市街図、終戦直後の大阪府図、1960年代の大阪観光写真集も見ていただきました。大相撲春場所にちなんで、およそ50年前の出身地別入幕力士分布図という変り種地図もお披露目したのですが、大相撲がゴタゴタ続きのせいか不人気でした。

毎回展示しているナカノシマ大学作成の復刻古地図15点について、「売り物ではないんですよね」という声がありました。これは私が出講する講座の教材として配布するもので非売品ですと応えると、4月のナカノシマ大学(鳥瞰図シリーズの最終回です)に参加しますとのこと。会場で最新の復刻版をゲットしてください。

もうひとつ、今日の出来事。大迫さんからサロンのことを聞きましたと、読売新聞記者の彦坂さんが来訪。紙面での連載記事について相談がありました。4月から新企画がはじまるそうです。メディアからは初回のサロンで朝日放送ラジオの橋本さんが来られていました。橋本さんとは以前からのおつきあいですが、新しい仕事の話をかねての来訪でした。私の住まいは南大阪の近郊で交通至便というわけではないので、こうして気軽に立ち寄っていただけ、顔をあわせられるのも街なかサロンのいいところです。

さらにもうひとつの今日の出来事。ナカノシマ大学の受講者で、執筆中の鳥瞰図の本の資料提供者でもある泉さんが収集された京阪電鉄関係の図版をどっさり収めたファイルを持参して来訪されました。大正の広重と呼ばれた絵師・吉田初三郎の貴重な鳥瞰図を含む質量ともに充実したコレクションで、この場ではとても内容を紹介しきれません。ファイルから鳥瞰図数点を選んで、その場で撮影させていただいたことだけ記しておきます。泉さんのコレクションについては、いずれまた、あらためてお話する機会があると思います。

午後6時、サロンを終え、本日3杯目の珈琲をいただいて、ほっとひと息。カフェの松田店長と少しお話。最後に、スタッフの巴里さんといっしょに写真を撮らせていただきました。いつもいろいろ気をつかっていただいて、ありがとうございます。珈琲も美味しくいただいております。

 

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。

●鉄道ミニ特集
「大阪毎日新聞壱万五千号記念・全国鉄道地図・付名勝交通案内」(大正14年・1925)
「改正鉄道地図・付近畿著名醸造家案内」(昭和初期)
「最新大阪電車地図」(昭和10年・1935)
「最新版鉄道案内図・付温泉名所詳図」(昭和27年・1952)
「日本国有鉄道編纂・毎日新聞社・日本国有鉄道線路図」(昭和28年・1953)
●その他
「大阪市街全図」(大正10年・1921)
「日本新分県地図・大阪府」(昭和21年・1946)
「出身地別入幕力士分布図」(昭和46年・1971)

 

以上8点、すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点、60年代の写真集「大阪観光」も展示しました。

★「最新大阪電車地図」のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

なお、本も4冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
(いつも歩いている街がタイムトンネルに変わる)
『大阪古地図パラダイス』本渡章
(古地図と遊ぶ。クセになる)
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
(誰もが知ってる。でも、ちゃんと読んだかな)
『ゴットハルト鉄道』多和田葉子
(人体はトンネル、神への迷路。めくるめく幻想小説)

古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、毎月第4金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

では、次回サロン(鳥瞰図特集を予定)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年3月23日
本渡章

★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第4回は4月27日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

拝啓・古地図サロンから②

2018年3月17日 土曜日

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

本渡章のサロン「古地図ものがたり」

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


 

☆2018年2月23日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

窓の外は、ぽかぽか陽気の御堂筋です。春は目の前。みなさま、お元気でいらしゃいますか。

本日、大阪ガスビル1階カフェfeufeuにて、第2回目の古地図サロンをひらきました。先月のように月刊「島民」での案内もなく、ほかに宣伝らしいことはしていなかったのですが、午後3時のオープンから切れ目なく来訪があり、それでいて、ゆったりとした空気が流れ、古地図を見たり、おしゃべりしたり、珈琲を飲んだり、今回はなかなかサロンらしいひとときが味わえた気がします。第1回サロンを盛り上げた「はじまりの熱気」はおさまって、これからはサロンとしての色あいがだんだんと出てくるのでしょう。サロンは12月まで続ける予定ですが、御堂筋の四季のようにいろいろな色を楽しめたらいいなと思います。

オープン前の準備中に、「島民」編集・発行人の大迫さんが来られました。サロンのことや次の本(只今執筆中)のことなど、ちょっとお話。今日の展示の古地図もひととおりご覧になると、鞄からとりだした「島民」最新号をひと山置いて風のように去っていかれました。いつも多忙な大迫さんです。こちらのカフェにも先月から「島民」は置いてありますが、きっと、またすぐになくなるでしょう。

さて、今回も3時のオープン前後からぽつぽつと、来会の方がありました。「こちらが古地図サロンですか」とたずねてこられた女性は、中央公会堂のスーベニア・ショップでサロンの案内を見て来ました、とのこと。案内はどこにもお願いしていないので、たぶんショップの方が「島民」を見て、中之島近辺の催しとして紹介してくださったのでしょう。ありがたいことです。その女性は古地図をひととおり見たあと、展示していた本を手にとり、椅子に座って静かに読んでおられました。テーブルでは数人の方たちが、古地図をのぞきこみながら、あれやこれやとおしゃべりしておられます。

サロン・スペースはとても小さいのですが、つかず離れずの距離感で人それぞれの時間を過ごすには、ほどよい広さともいえそうで、そこまで計算していたわけではないのに、雰囲気ができあがりつつあるのは、やはり中之島、御堂筋という場所柄が大きいように思います。オープン直後の雰囲気は、そのあとも人が入れ替わりながら、終了まで変わりませんでした。

本日、公開した古地図で人気があったのは、江戸時代の京都絵図、それと明治中頃の大阪・和歌山の地図でした。江戸時代の地図は、どれもそうですが、見れば見るほど縮尺も方角もいいかげんで、見せたいものを大きく、そうでないものは小さく描かれていて、当時の人々が何を思っていたのか、いろいろ想像させられます。もうひとつの図は、明治の陸軍大演習記念という内容も興味深いですが、今は消えてしまった地名がたくさん記されていて、歴史のうつろいをまのあたりにできます。それは今まで本にくりかえし書いてきたことですが、来会の方といっしょに古地図を囲んでお話ししたり、質問に応えたりしているうちに、私ももういちど新鮮な目で古地図を見る時間が持てました。

本日の来会者は12人。男女比は2対1。初めての方が3分の1。前回も来られた方が多かったです。ナカノシマ大学の受講者や島民読者が多く、ほとんどがサロンではじめてお話する方です。リアクションは次につながるエネルギー源でもあります。なんとなく、こういう場があったらいいなという感じではじめたサロンでしたが、やっぱり、はじめてよかったです。

本日の主役となった展示の古地図の題名は、次のとおりです。

「文久改正・京都指掌図」(文久2年・1862)★
「大演習枢要地図」(明治31年・1898)
「大大阪最新地図」(大正14年・1925)
「全日本最新名物名勝地図」(昭和7年・1932)
「大大阪氏街新地図」(昭和12年・1937)
「大阪市案内図」(昭和15年・1940)
「最新大阪地図」(昭和27年・1952)
「近畿名勝遊覧・最新大阪市街地図」

 

以上8点、すべて☆〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点、1970年万博前の「大阪写真集」も展示しました。

★「京都指掌図」のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。本日のジャンケン勝率は前回に続き、ぴったり5割でした。惜しくも敗れた方、泣かないでください。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

 なお、本も4冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
(私の最新刊。これを読んだら歩きたくなる)
『大阪古地図パラダイス』本渡章
(古地図と遊ぶ本。付録が吉田初三郎の大阪府鳥瞰図)
『電車道』磯崎憲一郎
(時空の感覚を拡大する鳥瞰小説。表紙が初三郎式鳥瞰図)
『鳥たち』よしもとばなな
(生死を越えて、人は鳥の目を持てる。著者代表作になるかもしれない小説)

 

古地図サロンはどなたでも参加できます。地図が読めない、方向音痴だとおっしゃる方も大丈夫です(じつは私も方向音痴)。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、気軽にお越しください。古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

今回は、店長の松田さんがご不在で、女性スタッフのみなさんにいろいろお世話になりました。ありがとうございました。

では、次回サロン(3月23日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

                                                           敬具
平成30年2月23日
本渡章

★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第3回は3月23日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

本渡章の「拝啓・古地図サロンから」①

2018年2月9日 金曜日

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

本渡章のサロン「古地図ものがたり」

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


 

☆最初のメール(本渡章よりみなさまへ)

拝啓

窓の外は、大粒の雪が降る御堂筋です。寒いですが、みなさま、お元気でいらしゃいますか。

本日、かねてよりの予告どおり、大阪ガスビル1階カフェfeufeuにて、第1回古地図サロンをひらきました。宣伝媒体は月刊「島民」の月報コーナーのみだったにもかかわらず、予想以上の反響がありました。3時間の開催中、まったく来場が途切れず、ほとんどの方が長時間話し込んでいかれました。カフェの一角の小さなサロンながらあふれる熱気、みなさまにもご覧いただきたかったです。

オープン時刻は3時でしたが、30分前からすでに3人の方が、珈琲や善哉などご飲食がてら待ち状態に入っておられました。出足の早さに驚きつつ、展示コーナーのセッティングを急ぎました。「古地図ものがたり」の案内スタンドの工作に手間どっている私を見かねて、店長の松田さんが助けて完成してくださいました。ご協力ありがとうございます。そもそもこの古地図サロンは、カフェfeufeuのご厚意がなければ実現しなかったものです。中之島の目の前、御堂筋沿いの名建築の1階カフェという最上の舞台を提供していただき、感謝々々です。

さて、3時少し前にオープンしますと、次々と来会者がありました。テーブルからテーブルへ、古地図をのぞきこまれ、私に目で訴えてこられます。これまで古地図にまつわる講座やイベントをたびたび行なってきましたが、至近距離でこういう目に囲まれたのは、この日が初めてでした。ひとりひとりから、いろいろなお話やご質問をいただきました。古地図の実物を見るのは初めてという方が多く、そのぶん新鮮な驚きを持たれたようでした。いっぽうで歴史や地理に詳しい方もおられ、やがて、それぞれのテーブルに人の輪ができると、その方たちが中心になって話が盛り上がりました。もちろん、じっと見つめ、耳を傾けるだけの静かな方もおられて、それもまたサロンにふさわしい空気をかもしだしていたと思います。

今回は明治から大正、昭和前半にかけての古地図を用意しました。絵柄や彩色の美しいもの、味のあるものがやはり人気で、「美しい日本の古地図」というキャッチフレーズが頭に浮かびました。古地図の地名で見えてきた上町台地の地形も話題になり、「地球は生きている」というキーワードで、また盛り上がりました。

初回としては大成功で、主催者としては喜んでおります。3時間ずっと会場におられた方、おつかれさまでした。仕事を抜けて来られた方、ご苦労様でした。行き帰りに雪に降られた方、風邪をひかれませんように。初めてお会いした方、お話した方がほとんどでしたが、古地図のどこが面白いのか、ツボはほんとに十人十色で、私のほうも気づかされることが多く、大いに楽しみました。なお、本日の来場者は(途中からちゃんと数えられなかったのですが)およそ20人、男女比は6対4でした。ご参集ありがとうございました。かんたんですが、今回の報告はこのへんで。書けなかったこぼれ話は、また別の機会にいたします。

本日の主役となった展示の古地図の題名は、次のとおりです。次回はがらりとちがうラインアップになります。

「近畿名勝遊覧早わかり地図」(昭和6年・1931)
★今年1月のナカノシマ大学・付録地図の原図です。
「東宮御成婚記念・日本交通分県地図」其一 大阪府(大正12年・1923)
「賜光栄皇后御買上・伊勢参宮名所図絵」(大正13年・1924)
「大大阪実測地図」(大正15年・1926)
「新京阪電車沿線御案内」(昭和3年・1928)
「大阪市区分地図」(昭和27年・1952)

 

この他に昨年の高島屋ギャラリー「古地図・大阪まちものがたり」でお披露目した特製古地図ポスター6点。さらにもう一点、「名所細密挿画付・大阪市明細全図(明治26年・1893)この地図のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。本日のジャンケン勝率はぴったり5割でした。惜しくも敗れた方、次は頑張ってください。

なお、本も3冊展示しました。

『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
『メルカトル』長野まゆみ(地図収集館にまつわる異色の小説)
『歩く』ヘンリー・ソロー(歩くことは考えることと教えてくれる名著)

 

末筆ながら、風邪とインフルエンザにはくれぐれも御注意を。次回サロンで、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

                                                           敬具
平成30年1月26日
本渡章

★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第2回は2月23日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

【新刊情報】『京都喰らい』

2018年1月23日 火曜日

 

『京都喰らい』

定価:本体1,700円+税
判型:四六判・並製
頁数:352ページ
著者:入江敦彦
発刊:2018年1月22日

 

 

【食】には京都の言葉が塩梅ええんやないかゆう、

そういう確信がありました。

この本は京言葉で書かれた「喰いもん」の本です。

「まえがき」より

 

お待たせしました! 入江敦彦氏の『京都喰らい』がついに発売になりました。

2013年5月より小社ウェブサイトで「喰いしん坊漫才」として連載された全62回を解体して大幅に加筆・修正を加え再構築したものです。連載時からのテーマ「京言葉で喰うを語る」によりフォーカスすることで、著者・入江敦彦氏が人生をまるごと「喰う」に絡めて語った記念碑的な一冊になったと思います。

京都、ロンドン、パリ、カフェ、あん、継ぎ茶碗、ボロー市場、栓、病気、胡瓜、エプロン、西山の筍、ドーナツ、葱、柘榴、ウスターソース、山椒、Z椀、ジビエ、豆落雁、柿、牡蠣、アスパラガス、白菜の炊いたん、林檎、朝ごはん、シシカバブー、お節、苺サンド、BUT FIRST COFFEE 。。。そして先に逝ってしまった同じ釜の飯を喰うた特別な友達のこと。

 

本書は著者のファンのみならず、「食エッセイ」「京都もの」というジャンルの本としても新しい読者にも楽しんで頂けるように「京言葉」で書かれてはいますが親しみやすさ、カラー写真の多数収録やなどビジュアル面にも気をつかった一冊になっています。

ぜひ一度、書店さんで手に取ってみてやってください。楽しい読書に誘われると思います。

【著者プロフィール】
入江敦彦(いりえあつひこ) 1961年京都市上京区の西陣に生まれる。多摩美術大学染織デザイン科卒業。ロンドン在住。エッセイスト。「京都人だけが」シリーズ、『イケズの構造』、『怖いこわい京都』、『英国のOFF』、『テ・鉄輪』、など京都・英国に関する著作が多数ある。2015年刊行の書評集『ベストセラーなんかこわくない』に続き、2018年春には『京都を読む(仮)』 刊行予定(ともに本の雑誌社)。現在、『webでも考える人』にて「御つくりおき」、140Bのウエッブサイトで「年寄りの冷や飯」を連載中。