2020年7月31日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。
【今回の目次】
■古地図サロン(7/17)のレポート
●2020年7月|文学・歴史ウォーク「東住吉区の下高野街道」レポート
●2020年7月|朝日カルチャーセンター中之島「古地図地名物語・北区」講座・レポート
●2020年秋の朝日カルチャーセンター中之島での講座の予定
●「島民」9月号・特集に寄稿
●その他(出版関連・ラジオ番組出演・天保の地球儀など)
■古地図サロンのレポート
開催日:7/17(金)午後3~5時 大阪ガスビル1階カフェ「feufeu」にて
皆さま、お元気でいらっしゃいますか。5月のサロンがコロナ禍で中止となり、6月の緊急事態宣言解除を経て、今回は4カ月ぶりの開催となりました。コロナ以前とは会場のセッティングも変わり、「密」を避けた分散仕様。そのぶんスペースは広め。飲食は別席で済ませたうえで参加、という対応になりました。
いったい、どのくらいの来会があるのかな、と思って会場入りすると、すでに初参加の方が2名、開場待ちをしておられました。「島民の案内を見て来ました」とのこと。案内が載ったのは3月号なので、よく7月まで覚えていてくださいました。その後もぼつぼつと来会があり、2時間のサロンの間に10人ほどがお見えになりました。半分以上が新規の来会です。
今回の展示は大正時代の地図がテーマです。前回と前々回でとりあげた明治の地図と比べると、装丁も描き方も江戸時代的な絵図の要素が影をひそめ、近代測量が標準になって、現在の地図に近くなっています。一部の遊覧地図に絵図的な表現が残っていますが、描く対象が鉄道や海水浴場など新しい風景になっています。そんな中で、「大大阪明細地図」は、大正14年(1925)に人口・面積全国一になった大大阪誕生の瞬間をとらえたグラフ入り地図として異色。それまでの大阪が、江戸時代の大坂三郷を受け継いだ小さな大阪市だったのを思うと、大正時代のこの飛躍が物語る意味は限りなく大きい……というような話を私からはいたしました。
この数回、続けてきた明治時代の地図「改正新版大阪市街新図」の発行年判定は、この日も来会者から新情報がもたらされ、図の内容は明治22年頃のものではないかと推定されるところまで、こぎつけました。当初は明治初年の内容ではないかと言っていたので、明治中期に修正されたのは、大きな違いです。ぱっと見た感じは、実に大らかというか、描き方に素朴さがあり、明治のごく初期の地図の雰囲気に見えたのですが、結論は意外な方向にたどり着こうとしています。サロンの参加者からは、「自分で調べると、いろいろ発見があって面白い」という声も。発行年不明の地図1枚で、ずいぶん楽しめるものです。
さて、今回はサロン初参加で東畑建築事務所の方々がお見えになりました。世界有数の稀覯本コレクション「清林文庫」を所蔵され、その中に非常に貴重な地図資料があるとのこと。ご厚意により、後日閲覧させていただくことになりました。楽しみです。
サロンが結んでくれたご縁の話題がもう一つ。先日、江戸時代の貴重な古地球儀を拝見する機会がありました。そちらの話題は、このレポートの最後の最後に写真付で触れています。ぜひ、ご覧ください。
というわけで、皆さまとまたサロンでお会いできるのを楽しみにしております。
・今回のサロン古地図
《原図》
「改正新版大阪市街新図」明治中期
「大阪市街全図」大正11年(1922)
「大大阪明細地図」大正14年(1925)
《復刻》
「近畿名勝遊覧・最新大阪市街地図」大正9年(1920)
「大阪市街新地図」大正13年(1924)
「大阪市パノラマ地図」大正13年(1924)
他に資料として、『古地図研究』312号(日本古地図学会・2004年5月発行)
◉次回は9/25(金)15:00~17:00
会場は大阪ガスビル1階カフェにて開催。私の30分トークは16:00時頃からです。テーマは「昭和の地図」。サロン参加は無料(ただしカフェで1オーダーが必要)。途中参加・退出OK。必ずマスク着用のこと。年内は11/27(金)にも開催予定。
※新型コロナウィルスの状況によって中止になる場合は、この場で事前にお知らせいたします
■最近の主な古地図活動
●7/5 文学・歴史ウォーク
「東住吉区の下高野街道」レポート
複数の旧街道が交差する東住吉区界隈を歩きながら解説しました。JR阪和線・美章園駅集合。行基ゆかりの榎神社、聖徳太子の伝承が残る股ケ池明神、平重盛創建の法楽寺、他に山坂神社、桑津天神など訪問。『平家物語』前半の主要人物・平重盛と境内に残る諫鼓鳥の逸話は、時間を割いて現地で紹介しました。樹齢800年の楠大明神もも見ごたえがありました。
●2020年秋の朝日カルチャーセンター中之島・古地図講座
以下の2講座を予定しています。
(1)10/5(月)13:00~14:30 『図典「摂津名所図会」を読む』『図典「大和名所図会」を読む』出版記念講座
(2)10/26(月)・11/9(月)10:00~12:00 阿倍野の熊野街道をテーマに教室講座と街歩き・計2回
問い合わせ/06-6222-5222または朝日カルチャーセンター中之島で検索
●「島民」9月号・「水都」特集に寄稿
中之島はいかにして水都大阪の顔になったのかを探る特集号です。大正から昭和の古地図を題材に、7頁まるごと執筆しました。中之島が水都のシンボルになったのはいつ頃か? さて? 「島民」9月号は9月1日発行。
●その他(出版関連)
★『図典「摂津名所図会」を読む』(創元社)が6月中旬刊行されました。副題は「大阪名所むかし案内」。江戸時代の観光案内『摂津名所図会』の図版340点余を掲載し、説明文を添えた決定版。
★ナカノシマ大学での連続講座、大阪24区物語は140Bから書籍化される予定です。140Bからは『鳥観図!』に続いてのナカノシマ大学からの書籍化。題名、発行予定日等は未定。
★毎日放送ラジオ「ありがとう浜村淳です」(7月9日)にゲスト出演。『図典「摂津名所図会」を読む』にまつわる話をしました。
浜村淳さんは歴史にもくわしく、有名名所はもちろん、知る人ぞ知る歴史の跡の話題もいくつか話ができてよかったです。
★天保年間作成の貴重な古地球儀を拝見してきました。「島民」の古地図サロン紹介記事が縁で、古地球儀の持ち主の飯塚修三さんと知り合い、7月初旬に拝見の機会を得ました。各地の博物館に出展され、日本で22番目に古いと公認された逸品です。
飯塚さんは古文書、医学史、和算、天文、古地図など多方面に通じた研究家。古地球儀は箱入りのまま回転させて見る独特の造りで、粘土製の風合いといい、筆描きの色合いといい、見た目がたいへんチャーミング。江戸時代の人々も楽しく未知の世界の想像をふくらませたことでしょう。
掲載写真の古地球儀は[西宮・いいづか眼科 飯塚修三氏所蔵]







5月22日(金)開催予定の古地図サロンは、新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止いたします。なお、2020年後半は以下の日程にて開催を予定しています。もし、コロナウィルス等の状況によって中止・延期などの変更がある場合は、事前にお知らせいたします。
2019年のナカノシマ大学での連続講座「大阪24区物語」の書籍化は、諸事情により滞っていましたが、次回更新の頃には新情報をお届けできると思います。それまで写真の御堂筋地図でお楽しみください。これは昭和何年頃の地図でしょう? 戦前、戦後どちらでしょうか?
さて、気をとりなおして、3月27日のご報告です。この日のサロンは前回のテーマ「明治期の大阪の古地図」の後編となりました。明治20年以降の地図をいくつか広げて、見ていただきました。地図でありながら当時の名所の絵をふんだんに描いた明治25年(1892)発行の「大阪市明細全図・名所細密挿画付」が目立っていましたが、みなさんが長い時間見入っていたのは、明治43年(1910)の「実地踏測大阪市街全図」のほうでした。
古地図とともに大阪の区をめぐる新シリーズの第1期は、月1回計3回の講座が終了しました。テーマは「江戸時代の大坂三郷」「東区」「南区」。最終回の「南区」は3月27日に実施。今は中央区の一部になった南区の生い立ちを昭和初期の南区図をテキストに振り返りました。
●2020年3月14日住まいのミュージアム
★『図典・大和名所図会を読む』(創元社)が刊行されました。副題は「奈良名所むかし案内」。江戸時代の観光案内『大和名所図会』の全図版180点余を掲載し、説明文を添えました。奈良の鹿は江戸時代にも鹿せんべいを食べたか、貝原益軒が訪ねた岩飛びの名所とはいったいどこか等々。詳しくは本書をご覧ください。なお、本書の紹介記事が5月初めの朝日新聞(文化面)に掲載される予定です。
★ナカノシマ大学での連続講座、大阪24区物語の書籍化についての新情報は、もうしばらくお待ちください。それまで、22区時代の大阪市全図をお楽しみください。
早いもので古地図サロンも3年目に入りました。2020年もよろしくお願いします。本年最初のサロンは真冬にしては温かな午後、いつものカフェにて、いつもの調子で始まりました。窓の外はコートなしで歩く人の姿が目立つ御堂筋です。
さて、今日のメインテーマは前回の予告どおり、発行年不明の明治初期の大阪市街図(下記★印)について、いったい何年頃の作成なのか、みんなで考えてみようというものでした。ポイントは年代判定の目印になるものを見つけること。地図に載っている鉄道の駅や路線、有名施設などが何年にできたかを探っていけば、おのずと解答が出ます。検討の結果、今日のところ、問題の地図は明治12年以後の発行であるのがわかりました。次回はたぶん結論が出るでしょう。くわしい話はその時に。
今のような大阪の24区はどうやってできたのか。そのルーツをたどると明治12年誕生の東・西・南・北の4区にたどりつきます。その原型は明治初期の4大組で、さらにルーツをたどると江戸時代の大坂三郷、豊臣秀吉の大坂城下町にあった上町と船場にまでさかのぼれます。明治以後、最初の4区が13区、15区、22区、26区にまで増え、最終的に24区になったのも、それぞれの時代背景に基づく必然性がありました……というような主旨で江戸時代から明治~大正~昭和の地図を見ていただきながらお話ししました。1時30分~4時まで、たっぷり時間がありましたが、それでも全部の区には触れるのは無理で、今日のところは区の物語のあら筋を聞いていただきました。またどこかで、続きをお伝えできればと思います。
ナカノシマ大学ではこれまで何度も講座をいたしましたが、今回がいちばんくだけた内容になりました。地図の中にしかない幻の区、変名(?)で載った名橋、いくつもある梅田、七不思議の木など、古地図に描かれた「何これ?」と言いたくなる七つの謎をとりあげ、あれこれ推理を楽しみながら解答を探してみました。今回初めて私の講座に参加された方も多かったようです。古地図に興味を持っていただく方が増えるのは、うれしいことです。参加者に記念品として進呈された大正14年の電車路線を描いた古地図クリアファイルが美しい出来栄えで、よかったです。私も早速、使っています。
大阪24区をひとつずつ順番にめぐっていく古地図地名物語の新シリーズがスタートしました。1月講座は終了しましたが、2~3月(テーマは東区・南区)の参加申し込みは今からでも可能です。
大阪メトロ天六駅にある住まいのミュージアム(暮らしの今昔館)にて開催の「住まいの大阪学」連続講座の第3回に登場します。古地図に描かれた大阪の災害をテーマに、災害と向かい合ってきた人々の知恵を読み取っていきます。参加無料。要予約。
140Bの新刊、田中輝美・著『
著者プロフィール




本日、また参加者の方から寝屋川の水源にまつわる資料など、いただきました。ありがとうございました。最近、いただきものが続いています。こう書くと、何やら催促しているようですが、そういうわけではありませんので、気をつかわず手ぶらでお越しください。
《原図》
10/18午前10~12時は大阪狭山市公民館にて座学。主に大阪府の明治・大正・昭和初期の地と地質図を見ながら、南河内・狭山地域の地理的個性についてお話しました。ここは摂津・河内・和泉の歴史がまじわる交差点で、地質にも特徴があり、面白いエリアです。ちなみに大阪狭山市は私の現在の地元です。
秋と春は街歩き講座です(冬と夏は教室で「古地図地名物語」)。
12/14(土)午後1時30分~4時、愛日会館(大阪メトロ各線・本町駅徒歩5分)にて。「大坂三郷から大阪24区まで-古地図が語る街の過去と未来-」がテーマ。江戸時代の大坂三郷をルーツに、4区→13区→15区→22区→26区→24区へと変貌した150年間の「区」の軌跡(源は人口問題にあり)。船場と関わりの深い東区・南区(現・中央区)の足跡なども。当日参加OK。
2020年1/15(水)午後7~8時30分、大阪市中央公会堂にて。とても人間臭いメディアである古地図には、まるで人間みたいにわけのわからない一面を、しばしば見せてくれます。小さな不思議から大きな不思議まで、七つ集めてみました。いつものナカノシマ大学古地図講座とは趣向を変えてお送りする令和版のなにわ七不思議をお楽しみください。参加者全員に古地図グッズ進呈。
大阪24区はそれぞれが独自の区史を持っています。2020年に予定されている都構想をふまえた住民投票で「区」の運命が決まりますが、投票の前に「区」とはいったい何なのか知っておきたいものです。第1回は「区」のルーツ、大坂三郷。第2回は東区(現中央区)。第3回は南区(現中央区)です。
大阪メトロ天六駅にある住まいのミュージアム(暮らしの今昔館)にて開催の「住まいの大阪学」連続講座の第3回に登場します。テーマは「災害」。私の回は3/14「災害古地図に学ぶもの」。古地図に描かれた大阪の災害を通して、災害と向かい合ってきた人々の知恵を読み取りたいと思っています。