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拝啓 古地図サロンから⑬

2019年4月22日 月曜日

2019年4月16日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

〈今回の目次〉
■新・古地図サロンの(3月22日)のレポート
●4/15|ナカノシマ大学「大阪24区物語②フロントエリア編」レポート
●3/24|ナカノシマ大学「東京vs大阪・地形自慢バトル」にゲストで登場
●4/22・5/13|朝日カルチャーセンター中之島「天王寺七坂めぐり」の予告編
●4/30|森之宮ミューズモール「まちライブラリー・ブックフェスタ」に登場
●6/2|「文学・歴史ウォーク」で案内と60分トークの予告編
●7月〜9月|朝日カルチャーセンター中之島「古地図地名物語」の予告編

 

■新・古地図サロンのレポート

開催日:3/22(金)午後3~6時 大阪ガスビル1階カフェにて
旧サロンから数えて通算12回目の古地図サロン・レポートです。「島民」での告知を見て、という方が大半で、最終20人くらいの来場がありました。今回より30分ほど私のトークを途中に挟むと予告したとおり、4時から本日公開の古地図にまつわるお話あれこれ。テーマは明治~昭和の大阪の区の移り変わり。終わってからも質問、雑談その他で終了時刻間際まで賑やかな会になりました。

去年も思ったことですが、古地図を囲みながらドリンク一杯で気軽に歓談できる雰囲気は、講演や講座とはまた違う良さがあります。「日本一気楽に古地図と遊べる場」と私は呼んでいますが、そういう場だからこそ聞ける来場者の声があって、その場で生まれる発見もあるのですね。小さな発見でも、歓談の中でみんなで見つけたものには、ワクワクがもれなく付いてきます。そこがサロンの値打ちです。

本日公開の主な古地図は次のとおりです。全て当時発行のオリジナル版です。
「摂津国大阪府区分新細図」明治12年(1879)
「新撰大阪市中細見全図」明治14年(1881)
「大大阪明細地図」大正14年(1925)
「区域変更図」昭和18年(1943)
「南区詳細図」昭和30年代(1960年前後)
他に復刻版の古地図など約10点をご覧いただきました。

★次回は5/24(金)午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェにて開催します。
トークは午後4時頃から。テーマは3月に続き大阪の区の変遷。
サロン参加は無料(但し、カフェで1オーダーして下さい)。途中参加・退出OKです。
★以後、年内の予定は7/26(金)、9/20(金)、11/22(金)

 

【最近の主な古地図活動】
◆4/15|ナカノシマ大学「大阪24区物語②フロントエリア編」レポート

「区」を通して暮らしの足元の歴史をたどる3回講座の第2回は、ベイエリア、リバーサイド、サンライズロード、生長点エリアなど、近代大阪の牽引車になった10区がテーマです。成長と拡大の主役エリアは年代ごとに入れ替わり、方向性にも違いがあります。過去の歴史が繰り返されることもしばしばです。「区」の誕生や消滅にはどんな意味があるのか、各時代の地図を見ていただきながらお話しした90分でした。

付録の「大大阪明細地図」は、大正14年(1925)に人口日本一になった大阪を描いた地図。当時13あった区の人口と面積のグラフ付で、意外な各区のプロフィルが見えてきます。この講座は次回が完結編。今夏、開催の予定です。

●3/24|ナカノシマ大学「東京vs大阪・地形自慢バトル」にゲストで登場

皆川典久さん(東京スリバチ学会)、新之助さん(大阪高低差学会)による「地形自慢バトル」のお話の後、ゲストで登場。地形の楽しみ方などについて質問。持参した鳥観図のお披露目もいたしました。

 

 

【春~夏の主な古地図活動・予告編】
●4/22日(月)・5/13日(月)朝日カルチャーセンター中之島で
「大阪古地図むかし案内・天王寺七坂めぐり」講座」

教室講座と町歩きが1セットの本講座も早や8年目。古地図を手にして訪ねる今回のスポットは天王寺七坂です。よく知られているようで、案外と知られていない坂の街の由緒来歴をご紹介します。
→時間帯は午前10時~12時。問い合わせ:朝日カルチャーセンター中之島教室(06-6222-5222)

●4/30(火)森之宮ミューズモール「まちライブラリー・ブックフェスタ」に登場

恒例の「まちライブラリー・ブックフェスタ」が今年も関西各所で催されます。私は4月30日午後3時20分より、森之宮キューズモールでのイベントに登場します、と前回アナウンスしましたが、同イベントすでに予約で満席になりました。ありがとうございました。

●6/2(日)「文学・歴史ウォーク」で案内と60分トーク

2001年にはじまり、200回以上も続いている講演とウォークを楽しむ団体「文学・歴史ウォーク」主催のイベントです。6月2日(日)午前10時、地下鉄谷町線大日駅・改札口前に集合。佐太天神宮、来迎寺、津嶋部神社など守口市の古社寺を訪ねます。途中で私の60分トークあり。当日参加OK。
→問い合わせは文学・歴史ウォーク事務局 080-5333-5783(担当・井尻)

●7月〜9月|朝日カルチャーセンター中之島「古地図地名物語」

古地図を楽しみながら大阪市と大阪府の地名の由来や街の歴史を探るシリーズも、いつのまにやら5年目になりました。地名の由来と変遷の一つひとつはとても小さな歴史ですが、集まると奥行きと広がりが見えてきます。今夏の講座内容は次の通りです。
7月26日(金):桜ノ宮・淀川沿い周辺と交野市
8月23日(金):中之島西端・川口周辺と貝塚市
9月27日(金):住之江周辺と泉大津市
→時間帯は午前10時~12時。問い合わせ:朝日カルチャーセンター中之島教室(06-6222-5222)

●古地図の新刊、執筆中

現在進行中のナカノシマ大学「大阪24区物語」の書籍化をめざして、原稿を書いているところです。古地図ももちろんたくさん載る予定。いつ刊行されるかは未定ですが、夏に開催の同講座完結編の頃にはお知らせできるかもしれません。今なにかと話題の大阪の「区」にスポットをあてた、これまでにない本になると思います。乞うご期待。

 

また、みなさんとどこかでお会いできるのを楽しみにしています。

 

 

拝啓・古地図サロンから⑫

2019年3月4日 月曜日

2019年2月21日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

2019年バージョンの新・古地図サロン開幕の3月22日(金)まで、あと約1ヶ月。お待たせしておりますが、このへんでオープン前の近況報告とお知らせをいくつか。

まずは見出しのピックアップ。

■新・古地図サロンの2019年の日程
(前回のお知らせから一部変更あり)
■新・古地図サロン3月22日の予告編
◆1/30|ナカノシマ大学「大阪24区物語①上町台地編」レポート
●3/22|の朝日カルチャーセンター中之島「古地図地名物語」の予告編
●3/24|ナカノシマ大学「東京vs大阪・地形自慢バトル」に登場予定
●4/15|ナカノシマ大学「大阪24区物語②フロントエリア編」の予告編
●4/22|朝日カルチャーセンター中之島「天王寺七坂めぐり①」の予告編
●4/30|森之宮ミューズモール「まちライブラリー・ブックフェスタ」に登場予定

 

■新・古地図サロンの2019年の日程

前回のお知らせから9月の回のみ日程が変わりました。
9月20日(金)午後3~6時 ※第3金曜に変更です。
3月22日・5月24日・7月26日・11月22日(各第4金曜・午後3~6時)は変わりません。

■新・古地図サロン3/22(金)の予告編

大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、午後3~6時開催。参加無料(カフェで1オーダー必要)。明治~大正~昭和の大阪の「区」の劇的な変貌を地図でたどります。大正14年と昭和18年がポイント。4~5時の間に30分間、私のトークあり。ナカノシマ大学での講座「大阪24区物語」とあわせて聞くとふむふむふの内容です。
※月刊「島民」3月1日号の「月報」にも案内が掲載されます。

◆1/30|ナカノシマ大学「大阪24区物語①上町台地編」レポート

大阪市中央公会堂で午後7時開催。「市」よりも歴史が古い「区」の成り立ちを各年代の地図を見ながら考える3回講座の第1回。街の背骨の上町台地から肋骨のように延びる街道筋の姿、台地の東西にひらけた水辺と交流の風景、そこで育まれてきた生活文化と区の関わり。その他てんこ盛りの90分になりました。

付録の「古今対照大阪市街地図」は古代~中世~近代の大阪を一枚に収めた時間地図で、ここにも区のルーツが隠されています。キーワードはやはり上町台地。講座と並行して、書籍化のための原稿も執筆中です。乞うご期待。

●3/24|ナカノシマ大学「東京vs大阪・地形自慢バトル」

皆川典久さん(東京スリバチ学会)、新之助さん(大阪高低差学会)の待望の顔合わせが実現した。「地形自慢バトル」の軍配は果たしてどちらに挙がるのか。さらにびっくり。東西の地形のスペシャリスト対決という注目の舞台に、なんと、私にも登場せよとの指令が届いた。主役はもちろんみながさん・新之助さんのお二人だが、何やら私にも出番が与えられるらしい。詳細は当日のお楽しみ。
※講座は満員御礼につき申し込みは締め切っています。

●4/15|ナカノシマ大学「大阪24区物語②フロントエリア編」

「区」から見直す大阪の歴史・第2弾。大都市に変貌していく大阪の最前線となり、さまざまな形で成長を支えた10区がテーマ。川と海、そこに浮かぶ島々が果たした役割を振り返りながら、10区がどのようにしてできあがっていったかを考察します。付録の大正14年発行「大大阪明細地図」は、大大阪と呼ばれた13区時代を知る格好の資料。3月1日より申し込み受付開始!
→ナカノシマ大学の情報はhttps://nakanoshima-daigaku.net/

●3/22|朝日カルチャーセンター中之島
「古地図地名物語」

大阪市と大阪府の地名を訪ねる古地図講座も5年目に入り、3月は第27回となりました。今回の「古地図地名物語」は、難波周辺と高石市・忠岡町・田尻町がテーマ。地名の由来と変遷のひとつひとつはとても小さな歴史ですが、集まると奥行きと広がりが見えてきて、味わい深い。
→時間帯は午前10時30分~12時。問い合わせは朝日カルチャーセンター中之島教室(06-6222-5222)

●4/22・5/13|朝日カルチャーセンター中之島
「大阪古地図むかし案内・天王寺七坂めぐり」

教室での講座と町歩きの2回講座。古地図を手にして訪ねる今回のスポットは天王寺七坂。よく知られているようで、案外と知られていない坂の街の由緒来歴をご紹介します。
→時間帯は午前10時~12時。問い合わせは朝日カルチャーセンター中之島教室(06-6222-5222)

●4/30|森之宮ミューズモール
「まちライブラリー・ブックフェスタ」

毎年恒例になった「まちライブラリー・ブックフェスタ」が今年も関西各所で開催されます。私が登場するのは、森之宮キューズモールでの4月30日のイベント。午後3時20分より、古地図を広げて森之宮と大阪のタイムトラベルを参加者といっしょに楽しみます。詳細は後日あらためて発表。

また、みなさんとどこかでお会いできるのを楽しみにしています。

 

 

『奈路道程の堺を歩けば。展』がサカイノマにて開催中!

2019年1月17日 木曜日

140Bの本や発行物でおなじみのイラストレーター奈路道程さんの個展
「奈路道程の堺を歩けば。展」がサカイノマにて、2月14日(木)まで開催中!

堺のど真ん中「旧堺」エリアをまるごと楽しめるガイドブック「堺を歩けば。」は2017年5月の発売以来、地元・堺の住民をはじめ全国の旅好き・待ち歩き好きから好評を博して完売し、2018年8月に増刷となりました。表紙や題字、本文イラストを手がけた奈路道程さんの個展がSAKAINOMAcafeにて開催されています。

「堺を歩けば。」表紙絵や挿絵のほか、個展に合わせた書き下ろしの作品も発表予定。ポストカードや書籍も販売。実は、140Bからは「堺を歩けば。」と「ザ・古墳群」のポストカードが新発売!※こちらからもご購入いただけます。→ナカノシマ大学書店

 

【特別企画】
奈路道程さんによる対面似顔絵制作

2019年2月9日(土)
11:00-14:00/15:00-18:00
ワンドリンク付き1000円(税込)

SAKAINOMA cafe
〒590-0947
大阪府堺市堺区熊野町西1-1-23
TEL 072-275-7060

奈路道程の堺を歩けば。展 [入場無料]
会期:2019年1月12日(土)〜2月14日(木)
時間:8:00〜19:00

 

オープニングパーティーの写真と合わせて、SAKAINOMAcafeでの個展の様子をご紹介!

奈路さんと今まで最も仕事を共にしてきたであろう江が乾杯の音頭を!

「堺を歩けば。」でも紹介されている名だたる名店からごちそうが勢ぞろい。

新聞社から取材を受けている奈路画伯。

「堺を歩けば。」の担当編集である弊社の中島がご挨拶。ご協力くださった皆様も参加されています!

対面似顔絵制作中の奈路画伯。特徴をつかむのがとても速いです!

みなさま、是非「堺を歩けば。」片手に、SAKAINOMAcafeにお立ち寄りください。堺の魅力を再発見してみましょう!

拝啓・古地図サロンから⑪

2018年12月28日 金曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」
毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。2018年最後のサロンの様子を、本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。


☆2018年12月7日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

あっというまに冬が来ました。御堂筋はイルミネーションきらきらの季節です。皆様、いかがお過ごしですか。

今月の古地図サロンは、12月7日午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、予定どおり開催されました。2018年1月からほぼ毎月続けて、これで11回目。最終回のつもりでしたが、季節とともにうつろう心、いろいろあって来年からの新バージョン古地図サロン(詳細後述)へのバトンタッチの会となりました。

本日は江戸時代の古地図がメインテーマです。公開した中でいちばん古い図は、刊行日が天明年間の日付で、今からざっと230年前に作られたものです。よく生き残ってくれました。虫食いもあって、かなり傷んでいますが、隣に並べた現代の復刻版と比べると、色合いの深さといい、紙のしっとりした質感といい、味わいに明らかな差があります。年代を経たものが持つ風格です。

表紙のある図は、みなさんに指で表紙に触れてもらいました。見た目には目立ちませんが、花や草木の浮彫りがほどこされていて、指先でその奥ゆかしい美しさを感じ取ることができます。江戸時代の地図の復刻版の中には、色をかすれさせるなど古びた感じを再現した一見本物風のものもあるのですが、和紙の趣きや、こうした繊細な浮彫りまでは真似できないようです。

天明年間の図には裏面に、もとの持ち主が筆で描いたと思われる江戸時代の家の間取り図が載っています。地図として古くなっても、紙が貴重な時代なので裏面を有効利用したのでしょう。大きな蔵を併設した商家の間取りに、当時の暮らしの一コマが想像されます。

色刷り、モノクロを問わず、原図の味わいは格別です。江戸時代の原図は観る機会が少ないので、本日お越しのみなさんには喜んでいただけたと思います。

復刻版の江戸時代地図にトレース紙に描いた昭和地図を重ねた、ちょっと変わった大阪の図があり、これを広げた時も盛り上がりました。トレースには難波にあった大阪球場が載っていたり、少し前の昔と江戸時代の昔が地図の中で折り重なって見えます。建築事務所に勤めていた方からもらい受けた図で、トレース図は精度の高い本格的なもの。公開する機会がほとんどなかったのですが、大勢で囲んでわいわいと観るには楽しい図でした。

途中までご参加の方も、最後まで残られた方も、常連の方も、本日初参加の方も、どなたさまもおつきあいありがとうございました。サロンからの帰りはイルミネーションたけなわの御堂筋が夜を照らしていました。

というわけで、大事なお知らせ

さて、本日2018年の古地図サロンは終了です。当初は1年間の予定で、これが最終回のつもりだったのですが、続けてほしいとの声があり、会場のお店からも快諾が得られましたので、来年も継続することにしました。

2019年の新・古地図サロンの日程は次のとおりです。いずれも第4金曜日。会場はこれまでと同じく御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて。

3月22日(金)午後3~6時
5月24日(金)午後3~6時
7月26日(金)午後3~6時
9月27日(金)午後3~6時
11月22日(金)午後3~6時

 

各回とも4時以降に、私の30分程度のトークあり。その日の公開地図にちなんだ話をします。どなたでも参加できます。途中参加・途中退場オーケーです。

その他のお知らせ

☆2019年1月30日(水)ナカノシマ大学「大阪24区物語①上町台地編」を開催します。
会場は大阪市中央公会堂。すでに満員御礼となってしまったのですが、現在、大阪24区の本のための原稿を執筆中。並行してシリーズ講座をひらきます。

☆最新刊『カラー版・大阪古地図むかし案内』(創元社)が12月10日刊行されました。
旧版(モノクロ)のリニューアル版。大坂大絵図(元禄時代)のカラー拡大図版を多数収録。

今後、古地図サロンがない月も、このブログで毎月の予定など、まとめてご紹介します。お見逃しなく。

なお、本日の展示古地図は次の12点でした。

【原図】7点

★「増補大坂図」天明7年(1787)
「文久改正大坂図」文久3年(1863)
「改正大坂細見図」弘化2年(1845)
「改正摂津大坂図」天保13年(1842)
「文久改正京都指掌図」文久2年(1862)
「摂津国大阪府区分新細図」明治12年(1879)
「改正新改大阪市街地図」明治初期

【復刻】5点

「慶応改正大阪細見全図」慶応元年(1865)
「増補大坂図」天明7年(1787)
「改正大坂細見図」弘化2年(1845)
「摂州大坂大絵図」(昭和地図トレース付)宝暦年間
「摂津国大阪府区分新細図」明治12年(1879)

 

いつもはすべて原図を展示していますが、今回は同じ内容の原図と復刻を並べたり、特徴のある復刻を観てもらいました。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点も展示しました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。また、復刻は原図をもとに近年になって作られたものを指します。

今回のセレクト地図は★増補大坂図(原図)でした。天明7年(1787)刊行。かなり虫食いありですが、そこが味わい深い。虫もおいしかったのでしょう。裏面は江戸時代の商家の間取り図面が筆で描かれています。

なお、本も2冊展示しました。

 『鳥瞰図!』本渡章(私の近刊。吉田初三郎はじめ古今の鳥観図約100点がオンパレード)

 『燃えつきた地図』安部公房(都市という迷宮に地図はない。迷える者こそ幸いあれ)

それでは、どなたさまも、よいお年をお迎えください。

再び、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

                                                                          敬具
平成30年12月14日
本渡章

 

 

拝啓・古地図サロンから⑩

2018年11月13日 火曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」
毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、10月に開かれたサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年10月26日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

見上げれば、青と白のコントラストがくっきり。御堂筋もすっかり秋の空です。皆様、いかがお過ごしですか。

今月の古地図サロンは、10月26日午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、予定どおり開催されました。

本日もオープン待ちの方がお一人。サロンが始まってからも、ぽつぽつ来場があり、それぞれの都合に合わせて退席という感じで、常時数人おられる感じで最後まで続きました。気候がすごしやすくなって、みなさん外出がしやすくなったのかもしれません。秋はいい季節です。

今回の展示は「教科書になった古地図」がメインテーマ。明治・大正・昭和初期の学校で使われた地図帳のほか、教科書、副読本を7点。これ以外に、昭和の大阪の古地図5点を用意しました。(詳細は末尾に記載)

意外と手に取ってじっくり見る人が多かったのが、明治の「日本の歴史」教科書です。古代の日本列島図に旧国名を記して、時代順にいくつか載っています。本文は天皇に関する記述が主です。正直言って、これが一番人気になるとは思っていなかったので、びっくり。もちろん来場の方たちが戦前教育復活の支持者というわけではなく、明治時代の歴史教科書とはどんなものだったのか、そこにどんな日本地図が載っていたのか、と純粋に好奇心をそそるものがあったということなのですね。

実を言うと、私もこの教科書の中身をまだよく見ていなかったので、神話や記紀に出てくるような地名を記した古代の日本地図が載っているのを知らず、へえという感じで、みなさんと一緒に驚いてしまいました。本文は旧仮名遣いで読みにくいのですが、読んでいくと当時の教室の空気がふわっと行間からたちのぼってくる感じもします。本の紙質や文字の書体、挿絵の雰囲気など、すべてが時代を語っています。学校の世界地図も、明治から大正、昭和にかけて大きく変わりました。今はなくなった国が実に多いのです。国境も移動しています。新しい国も数え切れません。今も世界は変わり続けているのです。

昭和の古地図では、此花区の「伝法」という地名がみなさんとの話題になりました。仏法の伝来にちなんだ地名の伝法が、此花区の区名の由来とも関係があるという話なのですが、昭和4年と昭和20年代の大阪市街図で伝法の場所を探してみると、意外なことに気づきました。伝法は、今は此花区の地名ですが、その前は別の区に所属していたのです。なんと区の境界が移動していました。時代とともに世界も大阪もどんどん変わっていたのです。あたりまえといえばあたりまえですが、気づくたびに、へえと思ってしまいます。

さて、次回(11月は休みで12月7日開催)のサロンは江戸時代の古地図を中心に公開します。お見逃しなく。

というわけで、本日の展示古地図の題名は、次のとおりです。


本日の公開古地図
(学校で使われた地図帳)
★「教科摘要・帝国新地図」明治24年(1891)
「小学外国地図」明治29年(1896)
「普通教育世界地図」大正4年(1915)
「高等小学地理書付図」昭和15年(1940)
「尋常小学校修身書」明治25年(1892)
「日本歴史」明治33年(1900)
「小学綴方」大正6年(1917)
(古地図)
「最新大大阪市街全図」昭和4年(1929)
「大大阪区勢地図・北区」昭和13年(1938)
「最新大阪市街地図」昭和20年代
「新世界全図」昭和28年(1953)
「堺市詳細図」昭和31年(1956)

 

以上12点。すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。また、復刻古地図は原図をもとに作った復刻版です。

今回のセレクト地図は「教科摘要・帝国新地図」でした。学校で使用された地図帳。モダンな装丁にひかれて頁を開けると、中は片面印刷。きれいな色刷りです。

なお、本も2冊展示しました。

『鳥瞰図!』本渡章(私の最新刊。「本の雑誌」9月号の書評欄で紹介されました)
『文学地図』加藤典洋(ひとつの世界を知るには、俯瞰する地図的視点がいつも役に立つ)

 

地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて。以後の日程は次のとおり。

11月は休み
12月は7日(金)3:00PM~6:00PMに開催(※この日がサロンの最終回です)

 

どなたでも参加できます。もし、興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。途中参加・途中退場オーケーです。では、次回サロン(12月7日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年10月26日
本渡章

★本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

最終回は12月7日(金)3:00PM〜6:00PM
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

【新刊情報】『いっとかなあかん店京都』

2018年11月6日 火曜日

『いっとかなあかん店 京都』

著者/バッキー井上
写真/打田浩一
装画/長友啓典(生前の作品)
デザイン/中村 健(長友啓典の弟子)
判型/A5版
頁数/184ページ(オールカラー)
定価/本体1,500円+税(税込1,620円)
発売/2018年11月上旬

 

〈要旨〉
本書は京都生まれ京都育ちで、Meets Regionalやdancyu、毎日新聞(大阪本社夕刊)に連載を執筆する著者が40年の歳月の中で出会った「京都のたまらん店案内」です。

「実は店のことについての具体的な紹介をほとんどしていない」(あとがき)と書いている通り、メニューや価格、席数などWEBの店ガイドのような「情報」にはほとんど触れていないのに、一瞬でその店の匂いや湿気、ぬくもり、ざわめきの中に連れていかれる。著者が「人生込み」で店と付き合い、紡ぎ出してきた小骨のようなフレーズが心地よく刺さり、そのゴキゲンな空気の中に身を置きたいと強く願ってしまう、不思議な本です。

48の店、55の話を京都のど真ん中で読んでシビレるもよし、ですが、京都を想いながら「あの店いこう」と考える時間もきっと楽しいはずです。どうぞご笑覧くださいませ。

〈刺さるフレーズ〉
「大人という字はダサい」「立ち飲み屋は磯辺の浅瀬である」「街のご馳走は過ぎていった時間だ」「セコスタンスときつい旅」「酒場のことは夢まぼろしだ」「ポン酢とネギでドリブル人生」「腕も折れよと上げ下げグラス」「人は歌にやられる。ましてや京都」

〈絶好調!「いっとかなあかんシリーズ」はコチラ!〉
「いっとかなあかん店大阪」江 弘毅
「いっとかなあかん神戸」江 弘毅

【新刊情報】『生きた建築 大阪 2』

2018年10月12日 金曜日

『生きた建築 大阪 2』

著者:倉方俊輔 髙岡伸一
監修者:橋爪紳也
定価:本体1,600円+税
判型:A5判
頁数:192ページ(オールカラー)
発刊:2018年10月23日

 

 

 

いつの時代も建築は、その当時の社会背景や流行を反映して建てられ、建築を見ることは、その街がどのように歩んできたのかを知る手がかりになります。この本では、大阪を代表する建築を時代ごとに紹介する中で、大阪という都市の成り立ちについて考えます。

明治時代に建てられた近代化を象徴する重厚な建築群、大正〜昭和初期にかけての近代建築、そして戦後の高度成長期や大阪万博の空気感をまとった建築から、大阪ステーションシティやあべのハルカスなどの現代建築まで。今なお生き続ける建築の物語を紐解いていきます。

本書の著者のお二人、倉方俊輔さん(右)と髙岡伸一さん(左)  撮影/西岡潔

 

この本の構成について、著者の一人である髙岡伸一さんは、このように語っています。

本書では、53件の建築をおおよそ建設された年代順に並べました。建っているエリアで分類した前書とは、対照的な構成になっています。年代順に読み進めることで、近代から現代に至るまでの建築の変化がわかるだけでなく、そこから大阪という都市の歴史が読み取れるように配慮しました。また建築の歴史は木造からコンクリートへ、そして装飾的な洋風建築から合理的なモダニズム建築へと、必ずしも単線的に進化したわけではない、ということにも気づいていただけると思います。大阪という限られたエリアの中でも、常に建築は多様な可能性に開かれていたのです。

そして本書が歴史の教科書と大きく異なるのは、年代順に並べられたすべての建築が、私たちと共に現代に「生きている」ということです。それぞれが固有の物語を内包する建築の集積として都市はあり、私たちは複数の時空が絡まり折り畳まれた、実に豊かな多次元の空間を生きているのです。それこそが、都市という人類最大の創造物の魅力なのだと思います。一つひとつの建物は、その時空間への入口であり、本書が扉を開くきっかけになれば幸いです。

(髙岡伸一「まえがき」より)

 

生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪の盛り上がりに見られるように、今や大阪は建築の街といっても過言ではありません。その街を歩くのにぴったりのガイドとしても、建築史の教科書としても役立つ1冊です。シリーズの第1弾である『生きた建築 大阪』やイケフェス大阪の公式ガイドブックと合わせて、ぜひお読みください!

『生きた建築 大阪』の紹介ページはこちら

 

拝啓・古地図サロンから⑨

2018年10月10日 水曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」
毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、9月に開かれたサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年9月28日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

先月に続いて今月も台風のニュースを気にしながらのサロンになりました。今日のところは御堂筋の空に明るい晴れ間がのぞいています。秋はもうそこに。皆様、いかがお過ごしですか。

今月の古地図サロンは、9月26日午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、予定どおり開催されました。

10分前に会場に入り、珈琲を注文していると、早くも来場の方がお一人。お話をしながら、古地図を広げてサロンの準備している最中に、またお一人。その後も最後まで、ぽつぽつの来場が続く一日でした。「月刊島民」発行人の大迫さんも来場。「島民」編集部は、このブログを運営している株式会社140B(毎回のブログ更新ありがとうございます)にあって、140Bは大阪ガスビルのご近所なのでした。大迫さんは仕事の話が終わると、展示の古地図をひととおりじっくり閲覧。来場者との記念写真にも加わっていただきました。大型台風接近中にもかかわらず、今日はとてもなごやかな雰囲気です。

今回の展示テーマは「大阪以外特集」でした。いつもは地元大阪の古地図がほとんどなのですが、東京・京都・滋賀・神戸の古地図をならべてみました。参加者はみなさん大阪とその近隣の在住なので、他都市の地図はどうなんだろうと思っていたのですが、心配無用でした。いつもと同じように、興味をもってゆっくり見て帰られる方ばかりで、むしろなじみの薄い場所だからこそ疑問もいっぱいで、話のタネが尽きなかったように思います。大阪の古地図も一部まぜておいたので、比較という面からもいつもとちがう面白味がありました。話もなかなか弾みました。

たとえば、明治14年の大阪の地図には梅田ステーション(大阪駅)が絵入りで載っていますが、明治11年の東京の地図では東京駅を探してもありません。新橋は載っていて、「新橋を早やわが汽車は~♪」という懐かしの鉄道唱歌を思い出し、この時点では新橋までしか鉄道が通じていなかったと納得。地図を見ながら、あると思ったものがなかったり、ないと思っていたのにあったりする意外性に直面して、軽い驚きとともに自分たちなりの発見を体験できるのが古地図の面白さです。こういうのはネットで検索すればたぶんすぐわかるのですが、小さな疑問、小さな発見でも自分で見つけてこそ楽しみが大きいのですね。

サロンでは毎回、来場の方たちが古地図を熱心にのぞきこむ姿が見られます。きっと、古地図の中にそれぞれの楽しみを見つけて心を遊ばせているのだと思います。展示の中に東京市が東京都になった当時の地図があります。大京都、大神戸という呼び名が題名に付けられた地図もあります。近代化が大いに進んで人口が増え、市街区域も拡大して、それぞれに大都市となった自信が地図にもあふれています。銅板で印刷された明治の京都地図は、繊細な線描の表現と淡い彩色がなんともいえない味を出しています。地図そのものの味だけで充分楽しめそうです。

今回は明治時代の東京風景を描いた石版画も二枚、お見せしました。吾妻橋と上野の東照宮。いずれも当時の有名な名所です。グラデーションがかかった赤と青の色調がきれいです。地図ではありませんが、この時代の印刷物がかもしだしている美意識には、注目させられます。印刷技術はその後の時代のほうが優れているのですが、明治の印刷物には、なんというか人間味、ぬくもりを感じさせるものが多いのです。

こういう感触は、写真では充分に伝わらないと思います。来月以後のサロンの日程は余すところ2回です。発行された当時の古地図をまとめてご覧いただく機会も、あとわずかになりました。珈琲一杯でどなたでも出入り自由のサロンを定期的に開催できるのは、これが最初で最後になるかもしれません。次回のサロンは教科書になった地図を特集。なかなか見る機会がないので、必見です。大阪の古地図も用意します。お見逃しなく。

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。


本日の公開古地図
★「京都府管内地図」明治初期
「京都府・滋賀県交通地図」昭和初期
「大京都市街地図」昭和17年(1942)
「実測東京全図」明治11年(1878)
「東京都政地図」昭和18年(1943)
「新区政・東京全図」昭和23年(1948)
石版画・東京名勝「上野東照宮之図」
石版画・東京名勝「吾妻橋之図」
「大神戸市街地図」昭和16年(1941)
「最新実測・大大阪明細地図」大正14年(1925)
「最新大大阪市街全図」昭和4年(1929)
「大阪府大地図」昭和30年代

 

以上11点、石版画2点。すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

今回のセレクト地図は★京都府管内地図でした。明治初期の銅板地図です。

なお、本も3冊展示しました。

『鳥瞰図!』本渡章(私の最新刊。朝日放送ラジオ「武田和歌子のぴたっと」のおすすめ本コーナーで紹介されました)
『凸凹を楽しむ東京スリバチ地形散歩』皆川典久(東京での地形ブームの原点となった本)
『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』伊藤比呂美(東京のとげ抜き地蔵よりも効く悩み多き人生の特効薬)

古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、10月以後の日程は次のとおり。

10月26日(金)午後3~6時
11月休み
12月7日(金)午後3~6時 ※この日がサロンの最終回です。

 

どなたでも参加できます。もし、興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。途中参加・途中退場オーケー、古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。では、次回サロン(10月26日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年9月28日
本渡章

★本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

第10回は10月26日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

拝啓・古地図サロンから⑧

2018年9月25日 火曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、8月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年8月30日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

台風20号の大風が吹き荒れた夜が明け、御堂筋は一転、晴れわたる青空におおわれ、いい気分の昼下がりです。皆様、夏の終わりをどのようにお過ごしですか。

今月の古地図サロンは、8月24日午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、予定どおり開催されました。

前回は来場が少なく、ゆったりしたサロンだったので油断して、3時ぎりぎりに会場入りしましたら、この日は「オープン待ちの方がおられますよ」と、カフェのスタッフさんから言われ、あわてて展示をセッティングすることになりました。その方と、広げた地図を前にお話していると、まもなくお母さんと娘さんの2人連れでの来場者があり、「この日を待っていたんです」とお母さんからひと声。仕事の都合で、今日しか見に来られないので、ほんとに楽しみにしてましたとのこと。

こういう方たちがおられるので、油断できません。親子連れの方は、新刊の『鳥瞰図!』を買って読まれ、興味が湧き、ネットで探して古地図サロンを知り、わざわざ足をはこばれたそうです。

あいにくこの日の展示は、8月の終戦記念日にちなんで戦争にまつわる地図特集だったのですが、鳥瞰図に限らず、古い地図全般に興味があるそうで、そのあと話は俄然盛り上がりました。先にオープン待ちしておられた方は書店勤務で、やはり鳥瞰図も古地図もお好き。地図の話題に、本をめぐっての最近のニュースなども加わって、話のネタは尽きません。そのあともポツポツと来場があり、切れ目のほとんどないサロンになりました。

戦争にまつわる地図は、話題としては重いので、サロンではどうかなと思っていたのですが、意外というか、これまででいちばん反響が大きい展示になりました。私は戦後生まれですし、来られた方たちもほとんどが戦争の実体験のない世代です。若い来場者にはなおさら遠い昔の話でしかないだろうと、勝手に思い込んでいました。

ところが、地図の力はすごいです。戦前、戦中、戦後まもなく作成された当時の地図には、戦争を知らないはずの人にも、かつてその場所で起きた出来事をありありと想像させる何かがあるのですね。

空襲で焼失した地域を赤く塗った大阪地図があります。主に市街中心部と湾岸部、淀川流域が真っ赤です。中心部は行政とビジネス、湾岸と淀川流域は軍需工場、軍事施設が多かったエリアです。戦後の復興計画を描き込んだ大阪地図があります。道路整備と市街の区画整理が主な内容ですが、焼失エリアと復興計画エリアが重なっているのがわかります。あたりまえと言えばあたりまえですが、2枚の地図を見比べていると、単に焼けたから復興するというだけではない、いろいろな感慨が湧いてきます。焼失エリア地図であれば、実際にその地図を作るために、敗戦直後の焼け野原の街を、どこまでが焼け、どこが焼け残ったか、自分の目で見て歩いた人がいたことに思いがおよびます。

ソ連での抑留者が戦後になっても日本に帰れず、彼の地で埋葬されたのを示す埋葬地分布地図があります。大陸のじつに多くの地域に埋葬地が散らばっていたのがわかります。平成になってソ連から渡された40,000人の日本人名簿をもとに作成された地図です。初めて見た時、何も言葉が出ませんでした。この日、この地図を見た方たちはどんな思いを抱かれたでしょうか。

今回からジャンケン地図はなくなりました(理由は前回書いています)。1枚だけ、セレクトした地図を用意しますが、希望があれば広げて見ていただくことにします。今回のセレクト地図は抑留者埋葬地分布地図でした。そのほかの地図も、戦争の記憶を濃密に伝えてくれました。たとえば、明治の地図は、今の地図と紙じたいが違うという話を来場者としましたが、紙もまた何かを語っています。当時作られた実物の地図が持っているその時代の空気です。

5時20分頃になって来場が途切れ、来場の方が帰り際に注文してくださったアイス珈琲(ごちそうさまでした)をいただきながら、ひと息ついていると、また1人来場がありました。何度も来られて、たぶん来場回数いちばんの方。いつも地図をひととおり、じっくり見られて、言葉少なに帰られます。いいですね、こういうのも。今日はカフェのスタッフさんからも、1人、地図を見に来られました。仕事が忙しいと思いますが、よかったら、またいつでもお越しください。

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。


本日の公開古地図
★「戦後強制抑留者の主な埋葬地」平成3年(1991)
「第十六師団機動演習地図」大正元年(1922)
「大演習枢要地図」明治31年(1898)
「東京日日新聞日露戦争地図」明治37年(1904)
「双璧の天橋立・国民精神総動員」昭和14年(1939)
「最新大大阪全図」昭和17年(1942)
「戦災焼失区域明示・大阪市地図」昭和21年(1946)
「中支戦局詳解地図」昭和12年(1937)
「大阪地形図」昭和7年(1932)
「大阪市計画街路及土地区画整理事業区域図」昭和39年(1964)
「大阪都市計画高速道路及び都市計画街路図」昭和39年(1964)

以上11点、すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

 

★「戦後強制抑留者の主な埋葬地」が本日のセレクト地図でした。平成発行ですが、内容から見て古地図サロンでの戦争地図特集にふさわしいと思います。

なお、本も3冊展示しました。

『鳥瞰図!』本渡章(私の最新刊。鳥の目で日本を見下ろしたら……)
『ヒコーキ野郎たち』稲垣足穂(鳥瞰図の黎明期は飛行機の誕生期でもあった)
『米朝ばなし 上方落語地図』桂米朝(地図入りの落語本は珍しい)

 


古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、9~10月は毎月第4金曜、11月休み、12月は第1金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。途中参加・途中退場オーケー、古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

では、次回サロン(9月28日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年8月30日
本渡章

★本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

第9回は9月28日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

 

拝啓・古地図サロンから⑦

2018年8月2日 木曜日

本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。

■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催


☆2018年7月30日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。

拝啓

台風一過。地震、豪雨からこのかた、大荒れの天地。陽射しが戻ったかと思うと、酷暑も再来。難儀なこの夏、皆様どのようにお過ごしですか。

今月の古地図サロンは、台風12号上陸目前の7月27日午後3~6時、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、予定どおり開催されました。当日は御堂筋を行き交う人も台風情報を耳にして、どこか空模様をうかがうようす。私もちょっと落ち着かない気分での会場入りでした。

結果は天気の崩れはなかったものの、「明日あさっては外出禁止令?」などの報道の心理的影響か、サロン来場者は過去最低の3人のみとなりました。お越しくださった皆様ありがとうございました。

というわけで、最初に、2018年後半のサロン日程のお知らせです。

8月24日、9月28日、10月26日(いずれも第4金曜)

11月はお休み。

12月7日(第1金曜)※サロン最終日。2019年以後の開催は未定

こんなオープンなかたちで古地図のサロンを定期的にひらく機会は、もう無いかもしれません。少なくとも、大阪ガスビルでのサロンはあと4回で終了です。お見逃しなく。

さて、今回の公開地図の主役は江戸時代(天保年間)の大坂絵図です。題名を「改正摂津国大坂図」といいます。草花の文様が浮き彫りされた臙脂色の表紙が渋いです。折りたたまれた図を広げると、木版刷り独特の落ち着いた色調に彩られた大坂の姿があらわれます。虫食いが数箇所ありますが、これも発行からおよそ180年を経た歴史のしるし。今まで残ったのが幸運だったといえます。

天保山の載っている部分が、地図からはみ出ています。木版では、今のように簡単に版をつくりなおせないので、あとから築造された天保山を、こんなかたちで地図に付け足したのです。面白いですね。つまり、天保山の部分と他の部分は作成時期がずれているのですが、それを何食わぬ顔で(?)ひとつにしてしまっているわけで、今とは感覚がちょっと違います。

というような話を本日の来場者といたしました。毎回、こんなふうに会話が弾むとは限りません。二、三度目の来場で、会話ができるようになった方も少なくありません。

サロンでは私から解説はしますが、会話が一方的になるのは避けています。関心を持つツボはみんな違うと思うので、私としてはその違いの部分を知りたい。なので、来場の方が口をひらくのをじっと待つこともしばしばです(決して解説を惜しんでいるのではないのです)。

来場者によっては、静かに地図を眺めていたいというオーラを発している場合もあって、そういう時は、私も椅子に座るなどして、邪魔をしないようにしています(無愛想に見えたらすみません)。時々、距離の置き方に迷うケースもあり、話をするタイミングがつかめないまま、来場者が帰ってしまったりすると残念な気持ちが残ります。迷い多きホストです。

古地図サロンは「見るだけオーケー、話しかけオーケー」ということで始めたのですが、あまり他にないタイプのイベントなので、来場された方も勝手がわからず、とまどいがあると思います。そういう時は、ホストのほうもとまどいながらお迎えしているのだと思っていただくと、気が楽(?)になるかもしれません。いちどお試しください。私としては楽しく、くつろいでいただきたいのです。

 

というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。


本日の公開古地図
★「改正摂津国大坂図」天保13年(1842)
「日本府県管内地図・大阪府」大正7年(1918)
「大大阪市街全図」大正15年(1926)
「近畿名勝遊覧早わかり地図」昭和6年(1917)
「大阪市電車地図」昭和12年(1937)頃
「全日本最新名勝名物地図」昭和初期
「改正神戸市地図」大正4年(1915)
「新版京都案内地図」昭和21年(1932)
近畿名勝遊覧・実測大阪市街地図 大正9年(1920)

 

以上9点、※の1点を除く8点が〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点も展示しました。

☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。

★「改正摂津国大坂図」天保13年(1842)が本日のジャンケン地図でした。次回からはジャンケンをやめ、希望があればその都度お見せする形式に変えたいと思います(ジャンケンで負けたショックをひきずる方もおられるようなので)。

なお、本も3冊展示しました。

『鳥瞰図!』本渡章(私の最新刊。大正~昭和の鳥瞰図全盛期の作品満載)
『パノラマ地図の世界』別冊太陽(現代の鳥瞰図絵師たちの作品世界)
『宇宙の目』P,K.ディック(究極の鳥瞰は宇宙を見下ろす)

 

古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、8~10月は毎月第4金曜、11月休み、12月は第1金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。途中参加・途中退場オーケー、古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。

では、次回サロン(8月24日)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。

敬具
平成30年7月30日
本渡章

★本渡章のサロン
「古地図ものがたり」

第8回は8月24日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。