本渡章のサロン
「古地図ものがたり」
毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。
■毎月第4金曜、3:00PM~6:00PM
■大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催
☆2018年3月23日付・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。
拝啓
桜咲く季節となりました。窓の外を行く人の足どりも明るく軽い御堂筋です。みなさま、お元気でいらしゃいますか。
本日、大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、第3回目の古地図サロンをひらきました。1回目からお越しの方が数人お見えになり、新しく参加の方の方も数人おられ、古地図を見ながら歓談されたほか、いま執筆中の本(ナカノシマ大学で進行中の講座の書籍化)に載せる鳥瞰図10数点の撮影も行なわれました。鳥瞰図とは3Dタッチの絵のような地図です。今回はサロン展示の古地図に加えて、鳥瞰図が午後のひとときに華やかさを添えてくれました。
いつもどおり3時にサロンをオープンしますと、まもなくカメラマンの浜田さんが登場。先に来ていた編集者の大迫さんと息のあったコンビで、次々と鳥瞰図の撮影がはじまりました。いずれも戦前の絵師たちが技を尽くした美しい鳥瞰図ばかり(乞うご期待)。著者の私も次の本の完成を楽しみにしています。撮影がすすむ間に、サロンにも来訪者がぼつぼつ。珈琲やジュースを飲みながら、テーブルに広げた本日の展示古地図をのぞきこんだり、隣の人としゃべったり。いつもの時間が流れていきます。
本日の展示のトピックは蒸気機関車全盛期の鉄道地図のミニ特集。鉄道というだけでそこはかとないロマンが香るのは、昔も今も変わりなく、特に蒸気機関車があたりまえに走っていた頃の鉄道地図には、旅することへの憧れが、路線図はもちろん山と海の街々の風景、名物紹介の広告や印刷の色合いにまでにじみ出ていて、味があります。いわゆるレトロ感覚と呼ばれているものの中身は、かつての人々が感じた心情が、こういう機会をとおして、今の人に伝染することなんでしょうね。来場者のどなたかが、「この鉄道地図と同じ色の図を昔、駅で見たことがある」と言われてましたが、そういう記憶を呼び覚ます力が古い地図にはあるのです。

鉄道地図5点のうち「最新大阪電車地図」は路面電車の市電が市内交通の主役だった頃の路線図です。これが本日のジャンケン地図(ジャンケンに勝った人にお見せします)。今回も勝率は5割でしたが、なぜか私がジャンケンに強いというイメージができあがっているのは、惜しくも敗れた人の嘆きの深さを物語っているようです(くやしかったら勝ちましょう)。
今日はそのほかに大正時代の大阪市街図、終戦直後の大阪府図、1960年代の大阪観光写真集も見ていただきました。大相撲春場所にちなんで、およそ50年前の出身地別入幕力士分布図という変り種地図もお披露目したのですが、大相撲がゴタゴタ続きのせいか不人気でした。
毎回展示しているナカノシマ大学作成の復刻古地図15点について、「売り物ではないんですよね」という声がありました。これは私が出講する講座の教材として配布するもので非売品ですと応えると、4月のナカノシマ大学(鳥瞰図シリーズの最終回です)に参加しますとのこと。会場で最新の復刻版をゲットしてください。
もうひとつ、今日の出来事。大迫さんからサロンのことを聞きましたと、読売新聞記者の彦坂さんが来訪。紙面での連載記事について相談がありました。4月から新企画がはじまるそうです。メディアからは初回のサロンで朝日放送ラジオの橋本さんが来られていました。橋本さんとは以前からのおつきあいですが、新しい仕事の話をかねての来訪でした。私の住まいは南大阪の近郊で交通至便というわけではないので、こうして気軽に立ち寄っていただけ、顔をあわせられるのも街なかサロンのいいところです。
さらにもうひとつの今日の出来事。ナカノシマ大学の受講者で、執筆中の鳥瞰図の本の資料提供者でもある泉さんが収集された京阪電鉄関係の図版をどっさり収めたファイルを持参して来訪されました。大正の広重と呼ばれた絵師・吉田初三郎の貴重な鳥瞰図を含む質量ともに充実したコレクションで、この場ではとても内容を紹介しきれません。ファイルから鳥瞰図数点を選んで、その場で撮影させていただいたことだけ記しておきます。泉さんのコレクションについては、いずれまた、あらためてお話する機会があると思います。
午後6時、サロンを終え、本日3杯目の珈琲をいただいて、ほっとひと息。カフェの松田店長と少しお話。最後に、スタッフの巴里さんといっしょに写真を撮らせていただきました。いつもいろいろ気をつかっていただいて、ありがとうございます。珈琲も美味しくいただいております。
というわけで、本日の展示の古地図の題名は、次のとおりです。
●鉄道ミニ特集
「大阪毎日新聞壱万五千号記念・全国鉄道地図・付名勝交通案内」(大正14年・1925)
「改正鉄道地図・付近畿著名醸造家案内」(昭和初期)
「最新大阪電車地図」(昭和10年・1935)
「最新版鉄道案内図・付温泉名所詳図」(昭和27年・1952)
「日本国有鉄道編纂・毎日新聞社・日本国有鉄道線路図」(昭和28年・1953)
●その他
「大阪市街全図」(大正10年・1921)
「日本新分県地図・大阪府」(昭和21年・1946)
「出身地別入幕力士分布図」(昭和46年・1971)
以上8点、すべて〔原図〕です。この他にナカノシマ大学特製復刻古地図15点、高島屋ギャラリーで展示した特製古地図ポスター6点、60年代の写真集「大阪観光」も展示しました。
★「最新大阪電車地図」のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。
☆〔原図〕とは、発行年が明治であれば、明治のその年に発行されたオリジナル版という意味です。そのほかは原図をもとに作った復刻版です。ナカノシマ大学の復刻版と古地図ポスターはサロンに常設しますが、原図は展示内容が毎回変わります。
なお、本も4冊展示しました。
『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』本渡章
(いつも歩いている街がタイムトンネルに変わる)
『大阪古地図パラダイス』本渡章
(古地図と遊ぶ。クセになる)
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
(誰もが知ってる。でも、ちゃんと読んだかな)
『ゴットハルト鉄道』多和田葉子
(人体はトンネル、神への迷路。めくるめく幻想小説)
古地図サロンは御堂筋の名建築・大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて、毎月第4金曜の午後3~6時開催。どなたでも参加できます。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、どうぞ気軽にお越しください。古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。
では、次回サロン(鳥瞰図特集を予定)で、みなさまとお会いできるのを楽しみにしています。
敬具
平成30年3月23日
本渡章
★本渡章のサロン「古地図ものがたり」
第4回は4月27日(金)15:00〜
大阪ガスビル1階カフェ[feufeu]にて開催します。

毎回、古地図数点を公開。見るだけOK、話しかけOK、古地図マスターこと本渡章さんがお話し相手をつとめる楽しいひととき。ここでは、1月に開かれた初めてのサロンの様子をご紹介。本渡さんが訪れた人へ宛てたメールの形式で綴ります。
たあと、展示していた本を手にとり、椅子に座って静かに読んでおられました。テーブルでは数人の方たちが、古地図をのぞきこみながら、あれやこれやとおしゃべりしておられます。
★「京都指掌図」のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。本日のジャンケン勝率は前回に続き、ぴったり5割でした。惜しくも敗れた方、泣かないでください。
古地図サロンはどなたでも参加できます。地図が読めない、方向音痴だとおっしゃる方も大丈夫です(じつは私も方向音痴)。もし、これを読んで興味をもたれた方がおられましたら、気軽にお越しください。古地図を見るだけでもオーケー、私に話しかけていただいてももちろんオーケーです。
オープン時刻は3時でしたが、30分前からすでに3人の方が、珈琲や善哉などご飲食がてら待ち状態に入っておられました。出足の早さに驚きつつ、展示コーナーのセッティングを急ぎました。「古地図ものがたり」の案内スタンドの工作に手間どっている私を見かねて、店長の松田さんが助けて完成してくださいました。ご協力ありがとうございます。そもそもこの古地図サロンは、カフェfeufeuのご厚意がなければ実現しなかったものです。中之島の目の前、御堂筋沿いの名建築の1階カフェという最上の舞台を提供していただき、感謝々々です。
さて、3時少し前にオープンしますと、次々と来会者がありました。テーブルからテーブルへ、古地図をのぞきこまれ、私に目で訴えてこられます。これまで古地図にまつわる講座やイベントをたびたび行なってきましたが、至近距離でこういう目に囲まれたのは、この日が初めてでした。ひとりひとりから、いろいろなお話やご質問をいただきました。古地図の実物を見るのは初めてという方が多く、そのぶん新鮮な驚きを持たれたようでした。いっぽうで歴史や地理に詳しい方もおられ、やがて、それぞれのテーブルに人の輪ができると、その方たちが中心になって話が盛り上がりました。もちろん、じっと見つめ、耳を傾けるだけの静かな方もおられて、それもまたサロンにふさわしい空気をかもしだしていたと思います。
初回としては大成功で、主催者としては喜んでおります。3時間ずっと会場におられた方、おつかれさまでした。仕事を抜けて来られた方、ご苦労様でした。行き帰りに雪に降られた方、風邪をひかれませんように。初めてお会いした方、お話した方がほとんどでしたが、古地図のどこが面白いのか、ツボはほんとに十人十色で、私のほうも気づかされることが多く、大いに楽しみました。なお、本日の来場者は(途中からちゃんと数えられなかったのですが)およそ20人、男女比は6対4でした。ご参集ありがとうございました。かんたんですが、今回の報告はこのへんで。書けなかったこぼれ話は、また別の機会にいたします。
この他に昨年の高島屋ギャラリー「古地図・大阪まちものがたり」でお披露目した特製古地図ポスター6点。さらにもう一点、「名所細密挿画付・大阪市明細全図(明治26年・1893)この地図のみ私にジャンケンで勝った方にお見せしました。本日のジャンケン勝率はぴったり5割でした。惜しくも敗れた方、次は頑張ってください。







定価:1,300円+税
『古地図で歩く大阪ザ・ベスト10』
古地図を見ることで、なぜその街が今の姿になったのかがわかってきます。そして、それを理解した上で歩けば、街で過ごすことがさらに楽しくなってきます。本で読んだ知識だけではなく、自分の足で歩くことで、街の歴史に触れたような、今と昔のつながりを実感できるような面白さがあります。
その他、古地図を展示として楽しめるミュージアムの紹介や、図書館での古地図の調べ方や、書店や古本屋さんでの手に入れ方の紹介も。古地図の見方だけではなく、古地図を楽しむための入門編としても楽しんでいただけます。オールカラーで、古地図を一挙47点も掲載! 本渡さんも「初めて」というほどボリューム満点の1冊です。
紀伊國屋書店梅田本店でこの本を購入すると、先着順で特製復刻地図を進呈。本にも掲載されている「実地踏測大阪市街全図」(明治43年発行・著者蔵)をプレゼントします。また、7月18日(火)には著者の本渡章さんによるトークイベントも(入場1,000円)。本に掲載された古地図の展示もあります。
定価:1,500円+税