都内では初めての「140B“だいたい”全点フェア」開催中です。
JR中央線線「武蔵小金井駅」北口のドン・キホーテ地階にある、
くまざわ書店武蔵小金井北口店さんです。
緊急事態宣言下の移動の難しい時期ではありますが、
普段使いの方や小金井市近辺にお住まいのみなさま、
機会があれば見てやって下さい。
よろしくお願いします。

都内では初めての「140B“だいたい”全点フェア」開催中です。
JR中央線線「武蔵小金井駅」北口のドン・キホーテ地階にある、
くまざわ書店武蔵小金井北口店さんです。
緊急事態宣言下の移動の難しい時期ではありますが、
普段使いの方や小金井市近辺にお住まいのみなさま、
機会があれば見てやって下さい。
よろしくお願いします。

第2回は大阪市西区、地下鉄阿波座駅近くにある[福島書店]です。
西区新町3丁目に昭和28年(1953)創業。当時はお店のすぐ近くに大きな病院があって、裕福で本好きの入院患者さんからの注文で商売繁盛していたのですが……やがて病院が移転。街は火が消えたようになり、「1日の売上が週刊誌2冊」という窮地に立たされました。
「店に人が来ないなら外へ広げよう」ということで外商にチェンジ。売上比率は外商9:店売1にまで伸びました。お店も10年ほど前に現在の場所に移転。さぁこれから、という時のコロナ禍は、外商主体の書店にとって大きな打撃になりましたが、長びく「巣ごもり生活」は新しい「読者」を書店に呼び寄せることになりました。
街と書店、大阪の場合
その2『「隅っこにはきっと何かある」で、意外な売れ筋を発見。』はこちらから
中之島にある大阪府立中之島図書館にて、4月19日(月)から、「島民」ヒストリー&奈路道程展が開催されます。

中之島のフリーマガジン「島民」が、3月1日発行号をもって終了したことを記念して企画されたもので、12年間、全号の表紙イラストを手がけた奈路道のさんの表紙イラスト原画が展示されます。
イラストが使用された「島民」も一緒に展示されており、これまでの「島民」の歴史を振り返ることができるようになっています。会場ではバックナンバーの配布もあるほか、ライブラリーショップでは「島民」やナカノシマ大学関連書籍の販売も行われています。
また、同じく奈路さんが挿画を手がけている毎日新聞の人気連載「濃い味、うす味、街のあじ。」(江弘毅著)の原画も展示。カラーで描かれた原画は見応えあり。掲載時の紙面のコピーもあり、江弘毅の文章と合わせて楽しんでいただけます。
2021年3月26日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。
【今回の目次】
■古地図サロン第23回のレポートと次回予定
●2021年春〜初夏の古地図活動(講座・イベント・出版など)
★古地図ギャラリー第4回
①東畑建築事務所「清林文庫」コレクション〈その4〉
②本渡章所蔵地図より〈その3〉
③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図〈その4〉
④鳥観図の今・青山大介の鳥観図〈その1〉
開催日:3/26(金)午後3~4時30分 大阪ガスビル1階カフェ「feufeu」にて
緊急事態宣言が終わり、「島民」最終号で紹介記事が載ったおかげで、この日のサロンは盛況となりました(3月末からは感染者増大。事態は急変)。今回のテーマは「鉄道&電車地図」。日本の近代化を牽引した鉄道と電車が主役の地図を展示しました。
来場者の注目を最も集めたのが大正10年(1921)に鉄道省が刊行した『鉄道旅行案内』です。富士山を描いた箱入り本の中身は、日本初の本格的な鉄道旅行ガイドブック。明治以来、猛烈な勢いで鉄道網が全国に敷かれ、旅行が一気に身近な楽しみになった時代をとらえて刊行。鉄道利用に必要な情報満載の本文を100点以上の鉄道地図と沿線の名所絵が色鮮やかに彩り、楽しくご覧いただきました。
その他では、大阪市電全盛期の電車案内地図に見入る方が多く、温泉名所や酒造家一覧を併記した鉄道地図も興味を集めていました。『鉄道旅行案内』の地図と名所絵を描いた大正の広重・吉田初三郎ついては、5月のサロン「鳥観図特集」でも作品を公開します。というわけで、コロナの動向が気になりますが、皆さまとまたサロンでお会いできるのを楽しみにしております。
◉今回のサロンで展示した古地図
《原図》
「鉄道旅行案内」地図と絵・吉田初三郎 大正10年(1921)
「実用新案日本鉄道パノラマ地図」大正12年(1923)
「全国鉄道地図 付名勝交通案内」大阪毎日新聞社編 昭和初期
「改正鉄道地図 付近畿著名醸造家案内」昭和初期
「新京阪電車沿線御案内」昭和3年(1928)
「最新大坂電車地図」昭和10年(1935)
「最新大日本鉄道地図」大阪毎日新聞付録 昭和11年(1936)
「最新版鉄道案内図 付温泉名所詳図」昭和27年(1952)
「日本国有鉄道線路図」日本国有鉄道編纂・毎日新聞社発行 昭和28年(1953)
《復刻》
「東京名家名物入電車案内双六」明治43年(1910)
会場は大阪ガスビル1階カフェにて開催。私の30分トークは16:00時頃からです。サロン参加は無料(ただしカフェで1オーダーが必要)。途中参加・退出OK。必ずマスク着用のこと。新型コロナウィルスの状況によって中止になる場合は、この場で事前にお知らせいたします。


3月27日(土)天満橋の八軒家浜・特設ステージで開催された「水都大阪川開き」イベントのオープニングに、書道家の真澪さんと出演。私は御舟印ラリーにまつわるトーク、真澪さんは水都繁栄・交通安全祈願の書道パフォーマンス。御舟印ラリーの企画、御舟印帳(写真)の立案(古地図・浮世絵・揮毫)に関わったご縁にて。
①「大阪古地図むかし案内」街歩きと座学は4月26日(月)と5月10日(月)。各日とも時間帯は午前10時~12時。テーマは東住吉の旧街道と名所。
②新刊「古地図でたどる大阪24区の履歴書」出版記念講座は5月19日(水)午後1時~2時30分。
・問い合わせ/06-6222-5222または朝日カルチャーセンター中之島で検索
5/22(土)午前10時~11時30分。中之島図書館・多目的ホール(3階)にて「清林文庫の世界と古地図トピックス」をテーマに講座開催。清林文庫(古地図ギャラリー参照)の古地図コレクションが主なテーマ。他に昭和の伊能忠敬と呼ばれた鳥観図絵師・井沢元晴の作品、天保年間の古地球儀の紹介と展示も。なお、講座開催日の前後に、清林文庫コレクションの特別展示も中之島図書館・展示室で催される予定です。
・詳細はhttps://nakanoshima-daigaku.net/site/seminar/article/p20210522
●新刊『古地図でたどる大阪24区の履歴書』発売新刊『古地図でたどる大阪24区の履歴書』が4月27日に発売されます。ナカノシマ大学の連続講座「大阪24区物語」をもとに大幅に加筆し、区の変遷から見た大阪の近現代を見渡した内容です。地図・現地写真も多数掲載。区に刻まれた足元の歴史を知らずに、大阪の未来はもう語れません。
・詳細はhttps://140b.jp/blog3/2021/04/p3483/
東畑建築事務所(大阪市中央区)の稀覯本コレクション「清林文庫」から、古地図の逸品をご紹介するシリーズも4回目になりました。これまで16~19世紀の国内外の地図をとりあげてきましたが、今回は比較的新しい近代大阪の息吹を感じさせる図を一つ。

明治29年(1896)発行の「大阪湾築港計画実測図」です。大阪湾築港とは現在の大阪港のこと。それまでの自然地形を流用した安治川・木津川上流の川口の港の時代を終わらせ、人の手でつくった近代港の時代に突き進む意思がうかがえる呼び名です。完成は明治36年(1903)とされますが、これは大阪で同年に開催された第5回内国勧業博覧会にあわせて大桟橋竣工を港の完成としたもので、本格的な港湾の構築にはその後もまだ多くの年月が費やされます。工事は、築いた護岸にヒビが入るなど難航し、当初の予算も想定外にふくらんで、一時は築港計画断念も危惧されるほどでした。大阪港はまさに明治の日本が力を注いだ国家的大事業だったのです。
大阪躍進の原動力になった近代港誕生への道は決して平坦ではなかったのですが、当時の人々が新しい港に寄せる期待の大きさが困難を乗り越える力になりました。「大阪湾築港計画実測図」の湾岸一帯には江戸時代に開発された新田の地名が並んでいます。その上をなぞるように海に向かって大きく伸びた突堤の赤いライン、右上に掲げられた築港計画の数字の華々しい列に、時代の大転換期の熱気を感じます。
☆東畑建築事務所「清林文庫」
創設者東畑謙三が蒐集した世界の芸術・文化に関する稀覯本、約15000冊を所蔵。建築・美術工芸・絵画・彫刻・考古学・地誌など分野は幅広く、世界有数の稀覯本コレクションとして知られる。古地図に関しても国内外の書籍、原図など多数を収め、価値はきわめて高い。
「大阪港之図」は、大阪市役所港湾部が昭和6年(1931)発行した「大阪港案内」裏面の図。表面に記載の沿革によると、当時の大阪港は横浜港・神戸港とともに日本三大貿易港に数えられる隆盛を誇り、さらなる発展を期して第2次修築工事にとりかかっていました。
前掲の「大阪湾築港計画実測図」から35年後の大阪湾岸は、港区を中心に此花区・大正区の3区にまたがる巨大な港湾が建設され、見違えるばかりの大変貌を遂げていました。黄色く彩られたエリアをご覧ください。防波堤や突堤だけでなく内陸に深く入り込んだ運河や繋船岸、荷揚げした物資を収める倉庫群など広域を埋め尽くした多様な施設が、近代港の躍動を物語っています。
黄色のエリアは「大阪湾築港計画実測図」の築港計画エリアと重なっています。35年前のそこは見渡す限りの新田地帯でした。市立運動場の近くと天保山に「遊園地」と記されているのも見えます。図中に「パラダイス」と記されたレジャーセンター・市岡パラダイスとともに遊園地が湾岸の名物になりました。
その後、大阪港は室戸台風、戦中の空襲で大きな被害を受けますが、復興を遂げ、現在に至ります。今も海遊館やクルーズ船で賑わう大阪港ですが、「大阪港之図」と「大阪湾築港計画実測図」を並べると、江戸時代の開発ラッシュで拓かれた新田地帯から築港計画、第2次修築に至る海辺のフロンティアの足跡が見えてきます。大阪港は現在も変貌を続けています。

昭和の伊能忠敬と呼ばれた鳥観図絵師・井沢元晴の作品シリーズ第4回は、初期作品をとりあげます。「福山展望図」は昭和28年(1953)作成。福山市(広島県)はかつての10万石の城下町。領主の水野勝成は将軍徳川家光の従兄弟で、福山城には伏見城の御殿、櫓、筋鉄門が下賜されました。その後の福山は領主の交代を経て、明治維新まで西国の要衝として存在感を示します。
福山展望図の中心は、やはり福山城で、伏見櫓と記されているのは伏見城の遺構の櫓。戦災後も残った街の歴史のシンボルです。図の刊行から11年後の昭和39年(1964)に福山城は史跡に指定されました。過去3回紹介してきた井沢元晴の作品を際立たせたダイナミックな山河の描写はまだ見られませんが、市街と陰影のある山並みをとりもつように流れる川の穏やかな構図は、平和をとりもどした戦後まもなくの空気の反映のようにも思えます。
城の周囲に多く記された数字は、地図の下覧に並ぶ市内の企業・商店の位置を示したもの。地図の裏面にも企業・商店の広告がずらりと載っています。この地図は、焼け跡から立ち直った地元の人々によって企画されたものでしょう。小学校に納める郷土絵図ではじまった井沢元晴の画業は、こうして活動の場を広げていきました。
現代の目には、レトロな広告付きマップの印象が先立つかもしれませんが、当時の人々は図の風景に街を元気づける応援メッセージを読みとったでしょう。山間を行く鉄道列車、海辺で煙をはく汽船。のどかな展望のなかに、復興期を駆け抜け、ひと息ついて、また第2のスタートを切ろうとしていた日本の姿が垣間見えます。
☆鳥観図絵師・井沢元晴
井沢元晴は戦後から昭和末までの約40年間に、日本各地を訪ねて多くの鳥観図を描き、昭和の伊能忠敬とメディアで紹介されました。活動の前半期にあたる戦後の20年間は「郷土絵図」と呼ばれた鳥観図を作成。その多くは、子供たちに郷土の美しさを知ってもらいたいとの願いをこめて各地の学校に納められ、校舎に飾られました。学校のエリアは主に西日本です。「郷土絵図」の活動は60年代半ばまで継続し、新聞各紙にとりあげられました。
井沢元晴氏のご遺族は今、「郷土絵図」にまつわる思い出や絵の消息に関する情報をお持ちの方を探しておられます。当時の生徒さん、学校関係者など、このブログをご覧になって、少しでも心あたりがあるという方が、もしおられましたら、次のアドレスにメールをお送りいただければ幸甚です。小さな情報でもかまいません。よろしくお願いいたします。
足立恵美子(井沢元晴長女)emikobook@yahoo.co.jp
青山大介さんは戦後生まれの現役の鳥観図絵師。大阪万博やニューヨークの鳥観図で知られる石原正(故人)を師と仰ぎ、その作風を受け継いで、神戸を拠点に各地の鳥観図を描き続けています。筆者の著書『鳥観図!』(140B刊)に登場していただいた後も交流があり、さん付けでご紹介いたします。

今回ご紹介するのは「梅田鳥観図2013」(部分図)。古地図と呼ぶには年代が新しいですが、鳥観図の魅力を多角的に味わっていただきたく、とりあげました。ご覧のとおり、梅田のビル群が空からまる見えです。屋上の顔にひとつとして同じものがないのがわかります。大阪駅の大屋根がどんな形をしているか、見た人は少ないと思いますが、こんな形でした。屋上にヘリポートのあるビルが意外とたくさんあるのにも気づきます。
青山さんはヘリコプターで撮った1,000枚以上の航空写真をもとに、この図を描きました。制作にパソコンは使いますが、基本的な道具はロトリングペン、シャープペンシル、定規の3つ。精緻な描写は丹念な手わざなしには生まれません。青山さんの話によると、現役の鳥観図絵師は日本に数人しかおらず、作風もそれぞれ独自で似ていないそうです。似てはいないかもしれないけれど、手わざにこめた作者の熱という一点でつながっているのだろうと想像します。
神戸市の防災マップに指定された「港町神戸鳥観図2014」などで知られる青山さんですが、現在は姫路の鳥観図作成に取り組み中。完成が待たれます。
第3回(2021年1月)
①東畑建築事務所・清林文庫より「江戸切絵図(尾張屋版)」「摂津国坐官幣大社住吉神社之図」
②本渡章所蔵地図より「摂州箕面山瀧安寺全図」
③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「小豆島観光絵図」
第2回(2020年11月)
①東畑建築事務所・清林文庫より「メルカトル世界地図帳」「オルテリウス世界地図帳」
②本渡章所蔵地図より「A NEW ATLAS帝国新地図」「NEW SCHOOL ATLAS普通教育世界地図」
③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「大阪府全図(三部作)」
第1回(2020年9月)
①東畑建築事務所・清林文庫より「ブレッテ 1734年のパリ鳥観図」
②昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「ふたつの飛鳥と京阪奈」

大阪市の24区が現在の姿になったのは平成元年(1989)、わずか30年ほど前のこと。この本では、大阪の区がどのような変化を遂げてきたのか、大阪の古地図のスペシャリストである著者が、豊富な古地図資料を手がかりにたどっていきます。
また、現在の24区がいつどのようにして今のような姿になったのか、1区ずつ丁寧に紹介します。大きな歴史の流れを知り、小さな物語を拾い集めることで、大阪市と24の区についての解像度が高まることでしょう。
2020年、大阪市を廃止し4つの特別区を設置することの是非を問う2度目の住民投票が行われました。結果は否決されたものの、人口減による大都市制度の見直しそのものは引き続き大阪にとっての大きな課題です。そうしたトピックについて考えるためには、まずは私たちや家族、あるいは友人知人が暮らす区についてよく知ることが必要です。
本書では、各区を象徴するスポットの写真とともに街歩きに最適な各区の地図も掲載。楽しく歩きながら大阪についてより深く知ることのできる一冊です。
大阪24区を地勢的条件や歴史的経緯を踏まえて3つのエリアに分類。さらにエリア内でも性格ごとに分類し、各区の個性をよりわかりやすくしています。
■エリア1 上町台地とその東西
上町台地センターライン|中央区(旧東区・旧南区)/天王寺区
上町台地イースト|東成区/生野区/鶴見区/城東区
上町台地ウェスト|西区/浪速区/西成区
■エリア2 転換期を担ったフロンティア
ベイエリア・アイランズ|此花区/港区/大正区
ノースアイランズ|北区(北区・大淀区)/福島区
淀川リバーサイド|東淀川区/淀川区/西淀川区
サンライズロード|旭区/都島区
■エリア3 「大」住吉文化圏とそのマージナル
「大」住吉文化圏|住吉区/住之江区/東住吉区
マージナル・エリア|阿倍野区/平野区

株式会社140Bはこの4月に設立15周年を迎えました。
この間に40数点の書籍を刊行し、書店さんにたくさん売っていただきました。
本のテーマは、大阪や神戸、京都。たまに堺だったり八尾だったり。
飲み食いのええ店から重厚なビルに美しいシルエットの橋、華を競うような鉄道、シンボリックな寺社に巨大古墳、そして独特の地形など、地元以外には「日本どころか世界にもちょっとない」ものばかりを出版物を通じてリスペクトし、慈しんできました。
「かけがえのないもの」が周りにたくさんある生活は、私たちの人生を豊かに彩ってくれます。この関西という土地は、それを日々実感させてくれる世界でも稀有な場所ですが、
「ご近所の本屋さんでほしい本が買える」ということもまた、「かけがえのない」楽しみだと言えます。
もちろん、書店で売っている本は大概は、「全国どこでも、同じ値段で買える」商品です。
けれどそれを、スマートフォンをクリックして買うか、それとも「本好き」の匂いがする空間で「なじみの人」から買うか、というのは、ぜんぜん違う体験ではないでしょうか。
そんな体験ができる書店のことを、「街のええとこ」として取材して書いてみたいと思い、この連載を立ち上げるに至りました。
昨年来のコロナ禍の中では、「本を書店で買える楽しみ」がなかなか実感しにくい現状ですが……いやいやなかなか。街の人にしっかり支持されている店は、店に立つ人たちの「顔」も違っていました。
食べたり飲んだり、の名店が「ええお客さん」や「それぞれの街に根づいた歴史」に支えられているように、街の書店もまた同様の財産を持っています。とにかく「書きたくなるネタ」が満載でした。
まずは、140Bのホームグラウンドである大阪24区から、街の「顔」である書店をめぐる旅をはじめたいと思います。
街と書店、大阪の場合
その1『コロナ禍を跳ね返す「本好きが来たくなる」店づくり』はこちらから

2008年、京阪電車中之島線の開業をきっかけに創刊した中之島のフリーマガジン「島民」が、3月1日に発行される136号を持って発行を終了することになりました。
2008年8月、2ヶ月後に控えた中之島線の開業を前に創刊した「島民」。中之島線についてや中之島エリアを紹介するという枠組みを大きく超えて、歴史・アート・建築・働く人々などさまざまなテーマを取り上げ、発行を続けてきました。
また、発行の翌年、2009年10月からはナカノシマ大学もスタート。フリーマガジンだけではなく、リアルな場を創り出すことによって中之島や大阪の面白さをお届けしてきました。スタート時からは予想もしなかったことですが、中之島という場所を通して多くの方々と深く関わることになりました。
これまでご愛読いただいた読者のみなさん、配布に協力してくださった方々、取材でお世話になった方々ほか、「島民」を支えてくださった皆様に心から感謝申し上げます。
また、ナカノシマ大学については、これまで通り毎月1回のペースで開催していく予定です。引き続き、よろしくお願い致します。今後はwebサイトを中心とした情報発信となりますので、ナカノシマ大学webサイトをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしております。
◉ナカノシマ大学webサイト
https://nakanoshima-daigaku.net/
2021年1月22日・本渡章より、これをお読みのみなさまへ。
【今回の目次】
■古地図サロン(1/22)のレポートと次回予定
●2021年初春の古地図活動(講座・イベント・出版など)
★古地図ギャラリー第3回
①東畑建築事務所「清林文庫」コレクション〈その3〉
②本渡章所蔵地図より〈その2〉
③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図〈その3〉
開催日:1/22(金)午後3~4時30分 大阪ガスビル1階カフェ「feufeu」にて
皆さま、お元気でいらっしゃいますか。コロナ禍による緊急事態宣言下での今回のサロンは「30分の時間短縮」「私のトーク無し」「地図は分散展示」での開催となりました。来場者ゼロかもと思いましたが、お二人が来られました。かつてない静かなサロンになりましたが、展示の古地図への質問に答えつつ、雑談も少々。以前より私が探していた地図について、来場者から貴重な情報と資料を提供していただけたのは幸運でした。
今回の展示は、戦前~戦中発行の「大大阪」「大京都」「大神戸」と題された地図がメイン。横に長々とひらく「大神戸市街地図」が特にインパクトあり。光と影が同居した時代にも京阪神3都はそれぞれに個性を競いあいました。前回に続いて鳥観図絵師・井沢元晴の「小豆島観光絵図」も紹介。他に「出身県別入幕力士分布図」など、いくつか変わり種地図もお披露目。戦中生活の一面を物語る「厚生歩行地図」など、またいずれ再登場の機会があるでしょう。
というわけで、今回の報告は短いです。皆さまとまたサロンでお会いできるのを楽しみにしております。
《原図》
「大大阪最新地図」大正14年(1925)時事新報社編
「大京都市街地図」昭和16年(1941)
「大神戸市街地図」昭和16年(1941)
「新区制 東京全図」昭和23年(1948)
「最新交通遊覧案内地図」昭和9年(1934)
「敬神・史跡・探勝 厚生歩行地図・関急沿線編(16枚組)」昭和17年(1942)
「出身県別入幕力士分布図」昭和46年(1971)
「小豆島観光絵図」作・井沢元晴(古地図ギャラリー参照)
《復刻》
「大日本全図」明治9年(1868)作・星唯清
「諸国道中大絵図(大日本行程大絵図)」道中用心集・名所旧跡集印帳付 江戸時代末期
会場は大阪ガスビル1階カフェにて開催。私の30分トークは16:00時頃からです。サロン参加は無料(ただしカフェで1オーダーが必要)。途中参加・退出OK。必ずマスク着用のこと。新型コロナウィルスの状況によって中止になる場合は、この場で事前にお知らせいたします。
●朝日カルチャーセンター中之島での講座①「古地図地名物語」は2月26日(金)、3月26日(金)の実施予定。各日とも午前10時30分~12時。
②「大阪古地図むかし案内」街歩きと座学は4月26日(月)と5月10日(月)。各日とも時間帯は午前10時~12時。テーマは東住吉の旧街道と名所。
③新刊「大阪24区物語(仮題)」出版記念講座は5月19日(水)午後1時~2時30分。
問い合わせ/06-6222-5222または朝日カルチャーセンター中之島で検索
●講演「江戸時代の観光案内で見る住吉」本渡章が「摂津名所図会」、大阪市立大学大学院文学研究科の菅原真弓教授が「浪花百景」を題材に住吉の話をいたします。昨年刊行の『図典「摂津名所図会」を読む』(創元社)とともにお楽しみください。
日時/2021年2月27日(土)午前10時~12時
会場/住吉区民センター小ホール
●「みはらす」に執筆堺市美原区の街案内冊子「みはらす」(1月発行)の歴史紹介4ページを執筆。古代豪族丹比氏と黒姫山古墳の謎、世界文化遺産の百舌鳥・古市古墳群との関係など、美原の奥深い歴史を探訪。
ナカノシマ大学の連続講座「大阪24区物語」がまもなく本になって刊行されます。
●「歴史人」で監修・執筆月刊誌「歴史人」2月5日発売号の「古地図と現代地図で巡る江戸・京都・大坂」特集で、大坂の話題を20ページにわたって監修と本文執筆。江戸時代の大坂の名所と暮らしを一望。
前回に続き、東畑建築事務所(大阪市中央区)のご協力を得て、世界有数の稀覯本コレクション「清林文庫」からご紹介します。
江戸時代は京都、大坂、江戸など大都市を題材にした絵図が盛んに出版されました。多くは一枚ものですが、「江戸切絵図」は分割図。100万人の人口を抱えた巨大な市街をくまなく描くために、エリアを細かく分けたのです。
18世紀の吉文字屋版、幕末近くの近吾堂版、尾張屋版が著名。中でも尾張屋版は色づかいが美しく、江戸土産に好まれたといいます。川や堀の藍色、道と橋の黄色、寺社の赤色の取り合わせがなんといっても絶妙。江戸城を描いた切絵図(写真)も藍と黄色のコントラストが美しく、大名屋敷群は塀の色を連想させる白に家紋の赤が映えています。左上に見えるのは桜田門。図を収めた箱には嘉永6年(1853)発行とあり、同年にペリーの黒船来航。桜田門外の変が起きたのはその7年後でした。もう一つの切絵図は隅田川流域の本所周辺。町屋は灰色。名所の地名、武家、医師などの名が記されています。
尾張屋版の「江戸切絵図」は約30枚でワンセット。どの一枚を観ても、配色の美しさに目を奪われます。川と道と寺社、武家屋敷、町屋の密度はエリアごとに大きく異なっているのに、それぞれが一級品のグラフィックアート。これはもう、実用の地図、旅の土産物の域をはるかに超えています。これほどに美意識に富んだ地図が生まれた背景には、江戸時代末期の成熟しきった文化があったとしか言いようがありません。
同じく「清林文庫」から「摂津国坐官幣大社住吉神社之図」。この図は明治25年(1892)発行。有名寺社の俯瞰図は江戸時代の名所図会でも盛んに描かれましたが、これは一枚もの。印刷技術が進んで地図もより細密な表現が可能になり、広い境内を一枚に凝縮して描く構図が広まりました。住吉大社の門前は松の林で埋め尽くされ、左下に船の浮かぶ浜が見え、名物の高灯炉が建っています。松の姿は一本ずつちがいますが、浜辺、門前、境内の順で松が大きく描かれているのにお気づきでしょうか。風景をリアルに描写しているようで、大社の威風がより際立つようにグラフィックな処理がほどこされているのです。江戸時代に磨かれた絵師の手技は、明治の地図にもさまざまな形で受け継がれました。
☆東畑建築事務所「清林文庫」
創設者東畑謙三が蒐集した世界の芸術・文化に関する稀覯本、約15000冊を所蔵。建築・美術工芸・絵画・彫刻・考古学・地誌など分野は幅広く、世界有数の稀覯本コレクションとして知られる。古地図に関しても国内外の書籍、原図など多数を収め、価値はきわめて高い。
「摂州箕面山瀧安寺全図」は、前掲の「摂津国坐官幣大社住吉神社之図」から30年近く経った昭和4年(1929)に発行されました。江戸時代には役行者作成の弁財天尊像が日本四弁天に数えられて有名に。図は、箕面の山と川と瀧に抱かれ、左下の一の鳥居から弁財天本堂へ続く参詣道を一望。主役の弁財天本堂は題字下の中央に坐し、まわりの樹木も他と比べて高く大きく描かれています。
山裾に流れる雲は神秘感漂う中世絵巻物風。箕面川手前の松を大きく、川向うの松を小さく描いているのは遠近感を演出し風景を大きく見せる工夫です。建物や石垣の描写の細密さは銅版の技術がもたらしたもの。古い絵図や絵巻の表現手法と近代以後の印刷技術が、昭和初期のこの図でひとつになりました。松の樹形はさまざまですが、他の木の樹形は様式化されているなど、独特のデザイン感覚もみられます。
「江戸切絵図」に示された江戸時代の文化の果実は明治以後も途切れずに、近代的なものと混じりあい、新たな個性を生み出しながら継がれてきたのです。地図には日本のグラフィック表現の洗練の足跡が刻まれています。「摂州箕面山瀧安寺全図」も、その一例でしょう。

昭和の伊能忠敬と呼ばれた神戸生まれの鳥観図絵師・井沢元晴の作品紹介も3回目ですが、地名入りは今回が初めて。これまで見ていただいたのは地名が記載される前の原画でした。
「小豆島観光絵図」も原画ですが、ご覧のとおり、びっしり地名で埋め尽くされています。部分図(写真)で地名が浮いて見える箇所があるのは、原画の上に地名を記したフィルムを重ねて撮影したためです。部分図中に「毘沙門堂48」「歓喜寺77」などと数字が付されているのは、小豆島88霊場の番号。オリーブで名高い島の観光名所と霊場の案内を兼ねた観光絵図でありながら、中身は井沢元晴の他の鳥観図と同じく絵画的な色彩表現を基調に見ごたえたっぷり。山々の稜線が線ではなく、緑の色目の違いで分けられ、浜辺の波、川の流れも青と白の色の動きで生き生きと描かれています。
井沢元晴の活動は戦後とともにはじまりました。鳥観図は戦前に大流行し、戦後も多くの絵師が登場しましたが、めざす方向性は絵師によってさまざまです。日本流のグラフィック表現の実験場でもあった地図は、戦後という大きな節目を経て、技法の追求を個々の絵師の個性にゆだねていくことになりました。そんな時代の流れの中で、最も絵画に近いポジションで独特の鳥観図を開拓したのが井沢元晴でした。色彩に富む山・川・海の日本の風景は、絵画的な技法に根ざす井沢式鳥観図にまさにぴったりの素材。郷土絵図を画業の出発点とした井沢元晴がめざした世界は、海と川の青、山々の緑の中にあったといえるでしょう。
☆鳥観図絵師・井沢元晴
井沢元晴は戦後から昭和末までの約40年間に、日本各地を訪ねて多くの鳥観図を描き、昭和の伊能忠敬とメディアで紹介されました。活動の前半期にあたる戦後の20年間は「郷土絵図」と呼ばれた鳥観図を作成。その多くは、子供たちに郷土の美しさを知ってもらいたいとの願いをこめて各地の学校に納められ、校舎に飾られました。学校のエリアは主に西日本です。「郷土絵図」の活動は60年代半ばまで継続し、新聞各紙にとりあげられました。
井沢元晴氏のご遺族は今、「郷土絵図」にまつわる思い出や絵の消息に関する情報をお持ちの方を探しておられます。当時の生徒さん、学校関係者など、このブログをご覧になって、少しでも心あたりがあるという方が、もしおられましたら、次のアドレスにメールをお送りいただければ幸甚です。小さな情報でもかまいません。よろしくお願いいたします。
足立恵美子(井沢元晴長女)emikobook@yahoo.co.jp
第2回(2020年11月)
①東畑建築事務所・清林文庫より「メルカトル世界地図帳」「オルテリウス世界地図帳」
②本渡章所蔵地図より「A NEW ATLAS帝国新地図」「NEW SCHOOL ATLAS普通教育世界地図」
③昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「大阪府全図(三部作)」
第1回(2020年9月)
①東畑建築事務所・清林文庫より「ブレッテ 1734年のパリ鳥観図」
②昭和の伊能忠敬・井沢元晴の鳥観図より「ふたつの飛鳥と京阪奈」
皆さん~! 「きぞく」って言う機関紙ご存知ですか?
貴族が読む新聞と違いますよ!「木族」と書き、「日本の山の木で住宅を建てよう」という活動のもと、国産材住宅推進協会より発行されている機関紙で30年以上の歴史があるそうです。
その『木族』2月号の「ひと」コーナーで『まんが 墓活』の著者・井上ミノルさんが紹介されました~!!
コロナ禍で、墓問題も一層簡素化しているようですが、単に「墓じまい」とひとくくりにするのではなく、ステイホームの今だからこそ、改めて後悔しないようにそいういったことを考えるチャンスにしてもらえる一冊になっています。


