8月13日
大阪 堂島 ニュー神戸

 ドーチカの一人しゃぶしゃぶ。
 しゃぶしゃぶの発祥については、京都、大阪諸説あるが、大阪の北新地の「スエヒロ」という説が有力だ。
 が、この店のオリジナリティは、忙しい合間のランチでスピード勝負の一人しゃぶしゃぶ、というとてつもない発想にある。
「鍋を囲む」というのではない、さっと食べてさっと出るというところが、お湯の中でスライス肉を箸で挟んだまましゃぶしゃぶして食べる速さとマッチしていい。
 そしてオフィス街の下をもぐる堂島地下街にある、というところも気分だ。この独特のしゃぶしゃぶ店は、デパート内の「味の名店街」フロアでもないし、商店街の路面店ならお好み焼き屋やうどん屋の方が似合う。
 それにしてもメニューの設定、質量、値段から何から何までいい店だ。いつも牛豚のミックスを食べるのだが、ごまダレとポン酢の「どっちも」と頼んでしまう。

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江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅