6月18日
大阪 新梅田食道街 樽金盃

 わたしのなかの大阪の名酒場のひとつ。
 新梅田食道街の店の中でも一番混んでいて「らしい」立ち香みだ。行けばわかるが、ここは絶対一人で行く店だ。酔っぱらうのもあかん。
 酒は樽酒。今は白鶴になった。金盃が造らなくなったそうだ。燗とぬる燗と冷や。「熱燗」「常温」という言葉はこの店は使わない。居酒屋で「燗、ちようだい」と言うと店側が「はい熱燗1合」みたいな感じになってきた。おれは燗は普通の燗が一番好きや。
 アテが抜群で、今日は鯨の刺身。店主が「今日のエエで」と薦めてくれた。なんでも刺身用の鯨の赤身は「(冷凍を)戻してみんとわからん」そうだ。
 そして生キクラゲ、ハモの皮。
 何から何まで文句のつけようがない。
 それにしても、この店の中国人の女子留学生はテキパキよく働きすごく気持ちがいい。彼女たちはどこの国へ行っても多分、いけると思う。

記事一覧
江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅