1月5日
大阪 梅田地下街 江戸寿司

仕事初めの日。昼はオフィスから近い北新地の「山守屋」で洋食。13時過ぎなのにいっばいで、ご主人は「おせちに飽きて、今日はみなさん食べに来はるんですわ」とのこと。
 帰りに新梅田食道街の『樽金盃』で立ち飲みして帰ったろ思ったが、気が変わって鮨に行く。年始めはこういことがよくある。このウメ地下の鮨屋はカウンター5〜6席の店。初めて行ったのはいつの頃か忘れたが、「えらいとこにえらい鮨屋あるんや」と一人で入ったのをおぼえている。震災に遭って大阪に逃げてきたときに「10年以上来てへんで」と思ったのを記憶している。
 去年は2回か。さっと食べてさっと出る店で、ここ出てくるにぎり鮨、「上にぎり7カン1700円」が大阪のスタンダードだと思っている。
『江戸寿司』という名前は今書いてやっと思い出した。わたしのなかでは「ウメ地下の泉の広場へ行く途中のちっこい鮨屋」という固有名詞だ。「元東京新ばし」という暖篇の肩書きがいい。そういやミナミの『福喜鮨』は「元東京柳ばし」やったな。値段はこの4〜5倍やけど。

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江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅