2月23日
大阪 ハービスプラザ バーヒラマツ

 ヴューカレ(VIEUX CARRET)というカクテルを初めて飲んだ。
 スペルからするとフランスのカクテルかな、と思いきや「アメリカ南部の19世紀のカクテルです」とバーテンダーの平松良友さん。
 この店のバーメニュー「CLASSIC COCKTAIL」のページ、真ん中あたりにこのカクテルがリストアップされていて(ちなみにネグローニが一番上)、コニャック、ライウイスキー、スイートヴェルモット、ベーショービター、アンゴスチュラピターズ、ベネディクティンと使う酒の種類が書いてある。
 オンザロックで出てくるのだが、予想した通りウイスキーと赤ベルモットがベースのカクテル「マンハッタン」をマイルドにして、薬草類のリキュールの香味を利かせたような感じだ。
 コニャックにウイスキーか。なかなか「何でもアリ」なカクテルだなあ。

 南部ニューオリンズやバトンルージュの音楽も同様に何でもアリで、アフロ・キューバンなリズムとソウルと混じったようなダンス音楽(キューバニズモのマルディ・グラ・マンボは抜群だと思う)はラテン音楽の亜流としてよく聴いている。
 2013年に亡くなったJJケイル(オクラホマのタルサ出身)はロックなんかブルースなんか、はたまたフォークいやカントリーなのか、容易にカテゴライズされることを拒絶する「南部のルーツ系音楽」で、大好きなので大方CDで買い直して持っている。
 アメリカのロックやジャス、ソウルは、それだけで一生懸命聴くことはなくなったが、こういうような融合のされかたは好きだ。
 このカクテル多分、名前忘れると思うけど、味はしっかり記憶すると思う。

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江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅