12月30日
神戸 福原 丸萬

 年末年始はほとんど家にいるが、年末は大晦日が休みの店が多いので、30日に行く店がだいたい外で食べることのシメになる。
 年末は30日午前中に、部屋の扉のガラスを磨いたり網戸を掃除したり、いわゆる大掃除をするのだが、それが終わったら外へ行く。そういう場合は、電車やタクシーに乗ってフレンチや鮨やてっちりといったごっつおの類ではなく、近くの居酒屋に行く。居酒屋は「なんでもある」から、年末にふさわしい。
 『丸萬』は福原にあるから、元町の山手にある家からはそんなに近くない。タクシーよりもバスで10分少々かけていくのが気分だ。
 この日の一発目はナマコ。いきなりコノワタがどかんと出てくる(サービスなのか)。感激で即座に燗酒に突入。酒がススむぜ、コノヤローである。
 そして小蛸。2000年頃、内田樹せんせを初めてお連れしたときに、感激させたこの店のレギュラーである。
 焼鳥類もいって、目板カレイの唐揚げ。大貝。

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江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅