2020.05.24
封鎖六二日目
Lockdown Day 62 晴れときどき曇り、一瞬嵐。
英国は細部に宿る。なんちて。
葡萄は皮ごと種ごと食べるとか、しかもマスカット的な高級品すら激安だとか。柘榴が普通のくだもんとして喰われてるとか、これもイギリス人は種ごと喰いよるとか、そういうのこそが儂にとって【英国的】なるものと申せましょう。よう知らんけど。
フルーツねたが続いたんでついでにこれも。メロン。日本でいうマスクメロン的な上等が、口にあてるマスクみたいな値段なんえ。熟々に熟して蜜の輪ができた半切りで200円そこそこ。100円程のときさえ。
なぜ日本ではコロナ禍ピークにヤフオクで転売されてたマスクの値段が、こっちでは自粛解除で値崩れ起こして転売ヤーがやけくそで叩き売ってるマスクの値段なんか。質は同じマスクやのに……。そのへんを考察すんのが儂の仕事やと思てます。
このコロナ禍の最中でも、ほんまにおんなじウィルスと戦ってるんかと思うくらい対応が違いましたね。むろん現実として罹患者数、死亡率ともにまったく異なる結果が出てるんで違ごて当たり前なんかもしれませんけど、もっと根源的な差異がある気がします。
こういうときも儂の目はディティールに向かいます。ミクロの積み重ねに登ってマクロな視点を獲得しようとするわけです。
こちらには『カジュアリティ(Casualty=不慮の負傷者)』という救急病棟を舞台にした英国版『ER』のような連続ドラマがあります。ほぼ通年、毎週土曜日のゴールデンタイムに放送されるBBCの人気番組。キャラクターが入れ代わり立ち代わり約35年も続いてる……これがロックダウン以降隔週になった。
もちろん役者も含めスタッフの健康管理がいちばんの理由なんでしょうが、撮影スタジオをコロナ患者のために開放しはったんやそうです。長寿番組やし予算もあるので、セットとはいえ設備は病院そのもの。いっときは緊急に病床を必要とする人らが溢れてましたから、ほんまにええことしはった。
英国というのは、イギリス人というのは、こういうことができてしまう国であり人なんやというのがGNPがなんぼやとかPPPがどーやとかよりよほど雄弁なんやないでしょうか。
これは今日、自分の目で見て「これこそ英国やよなあ」と感じたもん。
いまロンドンは各地で滞っていた道路工事が再開されてますにゃわ。まだ交通量が多ないさかい、いまのうちに! みたいな。
うちの目の前の通りも先のほうで完全に行き止まりになってるんですけど、普通に通行止の看板が出してあって、けれど工事してるとこまでに用事のある人もいるやろし道を閉じてはない。なのでわりと頻繁に後戻りしてくる車両がある。そんなUターンカーの運転手に向かって通行止看板の裏にはこんなサインが。
「だから言ったじゃないの(Told U)」。