2020.06.25
封鎖九四日目
Lockdown Day 94 晴れ。サハラ熱波
朝、まだ夜の冷気の名残があるうちに珈琲を飲みにでかけました。そのときはまだ雲も浮いていて、子供のころ、夏休みに見たような空だなあと思っていたのですが、午後になるとのっぺりとした蒼穹になって、天空全体が発熱しているような暑さになりました。32℃。冷房のないロンドンでこれはけっこうきついの。
こういう話をすると「日本はそんなもんじゃない!」とカンカンになる人が必ずSNSに現れるんですが、そんなん解ってますがな。こういう人に限って日本の死者の少なさを盾に「コロナなんてただの風邪」と4万3千人が死んだ英国の人間に向かって言うんだろうな。相手を慮る気持ちを持ちたいですね。
朝の新聞に7月4日から美術館や映画館をオープンするプランを政府が発表したというニュースが掲載されていて、いよいよこの日記も出口が見えてきました。うまく抜けられますようにと願わずにはおれません。しかし保守党の政治的な思惑とは反対に医療関係の専門家は懸念を示しています。
たぶんこの対立傾向は世界中大なり小なりあるんでしょうね。あからさまな御用医や整形外科医は別として、まともな医者ならば普通は人の命が大切だからです。現在めきめき死者が急増して世界第二位まで来てしまったブラジルなんかは完全にウヨ党首の経済優先戦略による悲劇。単純な話。
現在全世界で120もの対コロナワクチン開発が進められているそうで、そのうち13件が人体治験を始めているという報道がありました。中国が5、アメリカが3、英国が2、あとはオーストラリア、ドイツ、ロシアが1件ずつという内訳。残念ながら #日本スゴイ はまだその段階に至っていないようです。
ロンドンのインペリアル大学の研究室で行われている開発はかなり期待が持てるらしく、うまくいけば来年の半ばにはイギリス国民がすべて摂取できる可能性もあるそう。となると、そこに至るまで持ち堪えられるビジネスプランを立てることができるか否かがサバイバルの分かれ目になってきそうです。
政治(経済)主導か医療主導かの考え方は、猛暑に見舞われたときクーラーに頼るか、なにか他の方法で凌ぐかに似ているかもしれません。日本くらい暑くなったら冷房がないと生死にかかわる。けれどクーラーそのものが一般的でない英国ではなんとか暮らし方で工夫するしかない。
今日の晩ごはんは、もう、もろに夏対策メニュー。鮪とアボカド、葱のタルタル(山葵しょうゆ)。生姜たっぷりのハムとレタスの炒め物。そして冬瓜のスープ。乾燥貝柱と桜海老で取った出汁でなるべく濁らぬようにゆらゆら6時間。
柔らかーく半透明に煮えた冬瓜が冷たーいスープに浮かぶ様はそれだけで爽涼。
ところで食事が半分くらい済んだところで、なにか足りない……という気分になりました。バランスはいいけど全体的にまったりしすぎ。あ、そうだ! と思いついて奈良漬けを切ってきました。もちろん『田中長奈良漬店』さんの。これこれって感じ。薄氷を割るような、パリパリと瓜を噛む音も涼しかりけり。
田中長奈良漬店
京都市下京区綾小路通烏丸西入童侍者町160