3月8日
自宅 大丸の地下で買ってきたもの

 日曜日の昼。ワインが飲みたくなって近所のフレンチに行く。ではなくて歩いて大丸に行ってパンとテリーヌを買ってくる。
 テリーヌは別にそれを食べたくなって買ったわけではない。チーズを買おうと売場に行ったら、「今日のおすすめ」というPOPに「仔牛とフォワグラのテリーヌ」とあったので、これはイケるんちゃうか、と買った。まことに薄いが1切れ600円
 それでチーズはやんびした。が、パン売場に行ったらゴマパンにカマンベールを挟んだのを見つけたのでそれを買った。パンも600円。
 「むっちゃ高いやんけ」とか「デパートはいなかもん相手のぼったくりや」とちらっと思ってしまったのはわたしのビンボ体質ゆえのことであって、バーなら「おー、むっちゃ安い。良心的な店やな」と思うだろう。

 ただしこれは食べてうまかった後の話である。
 買って帰って家で食べるものは、コンビニでマルちゃん正麺醤油味とチキンラーメンのどっちが安いかでそれを決める、みたいなセコい精神が自分にはありまくりだ。
 だからワインはデパートでは買わない。コンビニのワインが「安いが割高」ということは知っているが、つい買ってしまうのは自分の横着な性格からだ。
 元町駅のガード沿い山側の『頃末商店』でワインを買って帰ろと思うが、日曜は頃末が休みなのを知っているので、おとつい昨日と飲んだ家のワインどれだけ残ってるかを思い出して、足らんかったらスコッチがあったはずやしそれで我慢しょか、と考えながら元町駅前のバス停まで歩いて乗って帰った。

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江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅