正月はどこも行かずにずっと家に居る。
ということは当然、ずっと飲んでばかしなのだが、気づいたのはグラスが結構ノベルティ、酒造メーカーのものが多いということだ。
一番気に入ってるのがデュアーズのロックグラスで、これは四つ橋筋堂島にあった[デワーハウス]が閉店したときに記念にもらったレアものだ。開店からずっと使っていたそうなので、もう50年以上前のものだ。形、大きさ、厚さ、重さ…、文句のつけようがない。
ここ数年のもののなかではグレンリベットのごついロックグラスもなかなかだ。
何でもないエビスビールのちいさなコップも愛用というわけではないが頻繁に使っている。
これらは酒を買うときにおまけでついていたもので、食器棚を見ると、あるわあるわスコッチからバーボンのソーダ割り用のもの、ビアグラス、菊正宗の焼き物の酒器まである。というか、別に集めているというわけではないが、8割がそんなノベルティだ。
ワイングラスにしてもグラスはバカラとかルネ・ラリックとかリーデルとかそういう趣味はないが、お酒のノベルティはプロっぽい感じがして気に入っている。何よりもその酒を飲むのにふさわしいというか、持った感じから口をつけるときの感触まで違うと思う。
いろいろ出してきて見ていると、スコッチメーカーの灰皿とか、昔ながらの食堂に行くと出てくる「キリンビール」「キリンレモン」とか書いてある普通のコップもちょっとほしいなあと思った。
編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。