2月15日
尼崎 阪神尼崎 大貫

 「創業大正元年、於神戸元町居留地」を看板に掲げる中華料理店。現存する最古の「中華そば」はこの店のそれだと言われている。この店で食べると、「中華そば」「焼き飯」という言い方がものすごくしっくり来る。
 店のHPにはその歴史や、屋台泥棒に盗まれた屋台を京都駅で発見し奪還した話など、ちょっとしたエピソードがアップされている。
 「自家製麺」や「焼き飯の歴史」などHPのコンテンツを読んでいると、あまりに詳しすぎる。ここまで店側から詳細に書かれてると、もうライターの出る幕はないなあ、とも思う。
 ただ、元近鉄バッファローズの金村義明さんが家族付き合いをしているとか、レニー・カストロの奥さんが尼崎に所縁があって、来日の際はやって来るとか、そういう話を写真ともども熱心にアップされているのを見ると、ここのご主人さん、ホンマにネットが大好きで、おまけに書き助なんだと思う。ユニークなアマの店だ。
 ちなみに尼崎に移転してきたのが昭和27年とのこと。わたしは阪神尼崎に用事が出来ると、その数軒並びの『駒寿司』とともにしばしば寄る。

記事一覧
江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅