5月1日
大阪 天満 肴や

 あしたからゴールデンウィークの後半が始まるという夜、天満[肴や]へ。
 JR大阪駅から環状線外回りでひと駅。天満駅で乗り降りすると、シュー、ゴトンゴトンと電車の懐かしい音がする。路面電車の音もそうだが、まぎれもなく都会の音だ。
 この店は帰宅しようと大阪駅へ向かう際、まっすぐ帰らんとどっかで食べて帰ろ、となってしまう要因の店だ。大阪駅に着くや思い立って環状線のホームへ、ということもある。この日は阪急中津へ用事があるのだけれどまだ早いし、何か入れて行こかと天満へ。
 [肴や]は立ち呑みの店という分類のなかでは、「飲む」より「食べる」に比重を置くことになる。アテがずば抜けているのだ。
 この日は、カウンターの前のガラスケースに入っていた「これ白海老かなあ」というのを指さし「このエビどうやって食べますのん」と訊いて「ワサビ醤油です」との答え。それでいっときますわ、で瓶ビール。
 その後ワインに切り替えて、あさりパエリアとしらすのピザ。さっと食べてさっと出る。そして大阪駅へ戻り、阪急に乗り換えて中津へ。旧友マルタニカズの音楽バーへ行く。中津駅の[いこい]は健在。時間があったらきっと寄って一杯ひっかけてたと思う。

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江弘毅

編集者・著述家。雑誌ミーツリージョナルを立ち上げ、1993〜2005年編集長を務める。
2006年編集出版集団140B創立。著書「有次と包丁」(新潮社〕、「飲み食い世界一の大阪」(ミシマ社)など多数。毎日新聞連載中の「濃い味、うす味、街のあじ。」の単行本化、140Bから7月15日発売。

江弘毅