2020.07.02
封鎖一〇一日目
Lockdown Day 101 曇りときどき雨。
わたしはジェットコースターが嫌いです。自殺願望の表れだとすら考えてる。けど大半の人たちは平気みたいですね。よくわかりません。だって、あれってスピードを愉しんでるというより「振り落とされるかもしれない」というスリルを味わっているわけでしょう? そんなスリルは恐怖でしかない。ホラーは好きですがフィクションに限ります。
ロックダウンが緩み始めたとたん懸念がそのまま現実になってリゾート地を賑わわせています。あれって自分は絶対にジェットコースターから落下したりしないという〝根拠のない自信〟みたいなものに似ているかもしれません。絶叫マシンよりはコロナのがよほど死亡率高いような気がするんすけど。
もしそうならばみんな避暑地でマスクしないのも頷けます。だって罹らないという自信があるんだから。英国だけじゃなくあんだけひどい目に遭ったイタリアや、都市部ではかなり神経質だというフランスですら遊びに行った先ではさほど変わらぬ能天気ぶりだそうですよ。びっくり。
再封鎖されたレスターで発見された最大のクラスタは紡績工場だったようですが、感染経路は芋洗い海岸だったとか。マシンから続々墜落中。
しかしきっちり1週間で結果を出してくるとは、コロナって勤勉なウィルスですね。この週末にはほぼイケイケになる英国ですが、その次のウィークエンドにはどうなっていることやら。「怖かったねー愉しかったねー♡」ですんでいることを心から願います。
あの空っぽ騒動は何だったの? というくらい、スーパーの棚にはもはや物がひしめいています。買い占め軍団も影を潜めました。それどころか50%増量中! とか2個買えば1個おまけ! 的なナショナルブランドのセール品も出回り始めてます。トイレットペーパーがあからさまに山積みで売られているのは何かの皮肉であるようにさえ見えます。
ソーシャル・ディスタンスの目印はもちろんそのままだけれど、日常レベルには安寧が帰ってきました。もしかしたらいまわざわざリスクの高い場所に突進している人達は日常を奪還しようと戦っている……わきゃないか。やっぱ、あれは逃避だよね。
絶妙に美味いクリームを発見した話を書きましたが、その新スペオキショップ『Harringay Local Store』では週に一度ドーナツを販売します。英国料理の名店『St. John』が卸しているの。かれこれ25年近いお付き合いがあるレストランで、開店来2、3ヶ月に一度はお邪魔してます。が、今年は当然一度も食べられてません。そこの名物がひとつだけとはいえ戴けるなんて最高の
リスキーな非日常遊山などしなくても、こうしてこちらの日常にアプローチしてくれる非日常の愉悦がある。その場所を一刻も早くこちら側に奪還できるよう、わたしはもう少し我慢して日常にとどまり続けたいと思います。