2020.06.28
封鎖九七日目
Lockdown Day 97 雨のち晴れ。
英国各地で殺傷事件が相次いでいます。
南部レディングでは、明るい夕刻が遠浅の海のように続く公園で、厳しいロックダウンから解放されて漫ろ歩く人たちが次々とナイフで襲われました。逮捕されたリビア出身のカイリ・サアダラ容疑者はすでにMI-5が以前から把握していた人物だという話で、テロ事件として捜査されていることになりました。
続いてグラスゴーのホテルでもナイフを持った男が暴れて6人の死傷者が出ました。駆け付けた警官によってすでに犯人は射殺されています。こちらも移民の青年が起こした事件ですが、どうやら前述のものとは無関係らしい。むしろ怖いのは事件の連続が同時多発テロではなく、それぞれに独立した殺人だということかもしれません。
ロンドン北西部郊外のハールスデンでは男性がナイフで刺され重傷。真昼間の商店街で起きた通り魔のような事件です。まだ犯人は捕まっていません。プレミアリーグ30シーズンぶりの優勝で湧くリバプールの近郊でも殺人が起きました。このケースでは刺されたのが移民の青年。ギャングの抗争などではなく親切で働き者の好漢だったそう。
うちの近所でもナイフ殺人が起きてしまいました。ここいらも移民が少なくありませんが数年前までは本当に安全な街だったんですけどねえ。地価が上がって、むしろ黒人やイスラム系が減りだしてから、ちょくちょく事件が起こるようになってきました。
これは普段なら「物騒な世の中ねえ」で済むような現象かもしれません。しかしロックダウン以降DVの相談施設への問い合わせが倍増した事実などと照らし合わせても、封鎖がイギリスに住む人々の気持ちをすさませたのは間違いないでしょう。無関係ではありえない。「ストレス」の一言で解説するのは乱暴に過ぎますが、なんなりとストレス解消は大事。
そんなわけでひさびさにケーキを買ってきました(笑)。たまには自家製でない甘いものを食べなきゃやっとられんわい。『Dunn's Bakery』のマジパンボックス。ちょっとクラシックですが、しっかりした手を抜かないベーカリーです。歩いてゆける範囲内にあってよかった! と感謝してます。
対コロナのワクチン研究で頭一つリードするロンドンのインペリアル・コレッジが、学術誌「ネイチャー」にロックダウン措置を行わなかったら欧州全域で300万人以上が死んでいた可能性があると発表しています。しかし、もしロックダウンが1週間早く始まっていれば英国の死者は半分に収まったのではないかという試算もあります。
一刻も早く! と封鎖を迫る医師たちに、ジョンソン首相は時期尚早だと首を振りました。いまこの国を荒れさせている真原因はもしかしたらそこにあるのかもしれません。
Dunn's Bakery
6 The Broadway, Crouch End, London N8 9SN